若い消費者の"所有"に対する姿勢が、ファッション業界に大きな変化をもたらしつつある

レント・ザ・ランウェイashion-industry

Rent the Runway

  • 新たな装いをより持続可能な方法で手に入れたい若い消費者のニーズを背景に、「レンタル」は主要なファッショントレンドになった。
  • アメリカでは、2008年頃に創業したデザイナーズブランドやアクセサリーなど女性服の月極レンタルを手がける「レント・ザ・ランウェイ(Rent the Runway)」に加え、最近では「アーバン・アウトフィッターズ(Urban Outfitters)」や「アメリカンイーグル(American Eagle)」、「エクスプレス(Express)」が独自のレンタル・サービスを立ち上げている。
  • こうした購買習慣の変化は、新商品を毎週、大量生産しているファストファッション・ブランドにとっては問題だ。

アメリカでは、独自のレンタル・サービスを立ち上げるアパレル・ブランドが相次いでいる。

実際、服は買うよりも借りたいという若い消費者のニーズを確信しているからこそ、ブランドはそれに応えるため、新たなビジネスを立ち上げているのだ。その直近の例が、アーバン・アウトフィッターズが今夏、スタートさせる「ニューリー(Nuuly)」だ。ニューリーでは、アーバン・アウトフィッターズ以外にも、同社が展開する「アンソロポロジー(Anthropologie)」や「フリー・ピープル(Free People)」のほか、リーボック(Reebok)やリーバイス(Levi's)、ラングラー(Wrangler)といった100を超える第三者のブランドからアイテムを借りることができる。

こうした市場の変化に対応すべく、アメリカンイーグルやエクスプレスといったブランドもすでに独自のレンタル・サービスを提供し始めている。

イギリスを拠点とするファッションメディア「ビジネス・オブ・ファッション(Business of Fashion)」は2018年、「レンタル」はファッション業界の次の最大のトレンドの1つであり、自然な成り行きだと指摘した。

ビジネス・オブ・ファッションとマッキンゼー・アンド・カンパニーのレポート「State of Fashion 2019」は、「より多くのカテゴリーで、消費者はモノを完全に所有するよりも借りることを選択している」とし、ネットフリックス(Netflix)やスポティファイ(Spotify)、ジップカー(ZipCar)をその例に挙げた。若い世代が家や車、最新の映画を買っていないなら、どうして服だけ買い続けるだろう?

同レポートは「これは消費行動の根本的な進化であり、今後、何年にもわたってファッション業界に大きな影響を与えるだろう」と書いている。

服のレンタルでは現在、レント・ザ・ランウェイがリードしている。同社は3月、1億2500万ドル(約137億円)を資金調達し、その価値は10億ドルだ。CEOのジェニファー・ハイマン(Jennifer Hyman)氏は、"レンタル界のアマゾン・プライム"を目指しているという。

「わたしたちが作ったこの新たな生きているクローゼットは、人々がどう装うかだけでなく、人々が使う全てのものに利用されるようになるでしょう」と、ハイマン氏は3月、ニューヨーク・タイムズに語った

同氏は「あらゆる可能性があります」とBusiness Insiderに語っていて、実際に進展を見せている。「ウエストエルム(West Elm)」との提携を通じて、レント・ザ・ランウェイは最近、子ども服や寝具類を提供し始めた。

所有に対する姿勢の変化

"週末の結婚式のためにタキシードを借りる"以上の服のレンタルは、これまでさほど盛り上がっていなかった。服を買うことそのものに対する姿勢が変化してきたことで、レンタルがトレンドになったのだ。

専門家は、若い消費者はより持続可能な方法で買い物をしたいと考えていて、"こんまりメソッド"で整理整頓された暮らしを選択していると指摘する。

そしてレンタルは、新しさとそれを持続可能な方法で求めることを両立させてくれるのだ。

ただ、このシナリオには明らかな敗者が存在する。H&Mやフォーエバー21、エイソス(Asos)といった、低価格と定期的な商品の入れ替えで若い消費者を引き付けてきた、ファストファッションの店だ。

こうした店に対する反発はまだ広まってはいないものの、確実に醸成されている。

イギリスの「マークス&スペンサー(Marks & Spencer)」のサステナブル・ビジネスの責任者、マイク・バリー(Mike Barry)氏は、「(ファッションは)プラスチックや森、肉の代替品と同じ道をたどろうとしていることを示している」と、ガーディアンに語った

バリー氏は「次の12カ月、18カ月を見据えず、そんな風にはならないと言うビジネス・リーダーは非常に勇敢だ」という。

[原文:Millennials' attitudes towards clothing ownership are bringing about a major change in the fashion industry]

(翻訳、編集:山口佳美)

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