Purina
- ペットケア業界が活況だ。市場調査会社エッジ・バイ・アセンシャル(Edge by Ascential)によると、北米ではペットケア業界の売り上げが2023年までに2810億ドル(約31兆円)に達する見込みだ。
- ピュリナ・トリーツ(Purina Treats)のシニア・ブランド・マネジャー、ライアン・ガス(Ryan Gass)氏によると、ミレニアル世代の若者たちは、結婚や子どもを持つことを先送りにする一方で、「その隙間を埋める」ためにペットに向かっているという。
- ペットフード・ブランドは、より高級でよりグルメな商品を立ち上げていて、ピュリナはブロガーでテレビの料理番組にも出演しているリー・ドラモンド(Ree Drummond)氏が自身の家族のために作っているレシピをベースにした「パイオニア・ウーマン(Pioneer Woman)」ブランドを発表した。
- ドラモント氏は「共通しているのは、わたしたちをペットがどんな気持ちにしてくれるかだと思います。わたしたちはこれまでになくストレスフルな世界に生きています。だから、こうした慰めや安心を頼りにするのでしょう」とBusiness Insiderに語った。
世界中の人々 —— 中でもミレニアル世代の若者たちが、人間の子どもと同じくらいの愛情を動物に注ぐ中、ペットケア業界が活況だ。
エッジ・バイ・アセンシャルのデータによると、2018年の北米のペットケア市場は2250億ドル規模だった。同社は2023年までにその数字が2810億ドルにまで伸びると見ている。
大手ブランドは、ペットの"人間化"をビジネスに生かそうと積極的だ。アメリカのペットショップチェーン大手ペトコ(Petco)は、シェフが作ったペット用のフードが買える専用キッチンを店内にオープンさせている。ウォルマート(Walmart)は、100店舗に動物病院を置いている。そして、ピュリナは新たに「パイオニア・ウーマン」ブランドを立ち上げ、ライフスタイル・ブランド分野に参入しようとしている。
ピュリナ・トリーツのシニア・ブランド・マネジャー、ライアン・ガス氏は、「ミレニアル世代はこれまでの世代に比べて、早くからペットを家に迎え入れている。彼らは結婚を先送りにしているようだが、こうしたペットがその心の隙間を埋めている」とBusiness Insiderに語った。
料理番組『パイオニア・ウーマン』に出演するリー・ドラモンド氏。
The Pioneer Woman Facebook
ブロガーでテレビの料理番組『パイオニア・ウーマン』のホスト役を務めるリー・ドラモンド氏も、こうした心情に共感を寄せている。
オクラホマ州の牧場で暮らしているドラモンド氏は「現実的な観点から言えば、ルイ・ヴィトンの犬用キャリーバッグは理にかなっていないし、持てません。でも、もし都会に住んでいたら、そうはいかないかもしれません。人間の子どもと犬の子どもの区別がもっとあいまいになるでしょうから」という。
そして「共通しているのは、わたしたちを犬がどんな気持ちにしてくれるか、ペットがどんな気持ちにしてくれるかだと思います。わたしたちはこれまでになくストレスフルな世界に生きています。だから、こうした慰めや安心を頼りにするのでしょう」と付け加えた。
2018年にはウォール・ストリート・ジャーナルが、飼い主がペットによりグルメなフードを与えるようになったことで、マース(Mars)の「ペディグリー(Pedigree)」やネスレ(Nestlé)の「ピュリナ」、J.M. スマッカー(J.M. Smucker)の「グレイビー・トレイン(Gravy Train)」や「キブルス・アンド・バイツ(Kibbles 'n Bits)」といった一般的なペットフードの売り上げが減少していると報じた。
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業界では、より流行りの、より質の高い商品を多く生産するようになった。データ分析会社GfKによると、2017年だけで新たに4500以上のペットフード —— その半数以上がプレミアム・フード —— が発売されていて、前の年に比べて45%増加した。
エッジ・バイ・アセンシャルのアナリストであるIoli Macridi氏は、「ペットの"人間化"というトレンドが広まっていて、このトレンドは、健康やウェルネス、持続可能性、透明性に注目するエシカル消費といった人間のトレンドにますます影響を受けるようになっている」と指摘する。
ピュリナの「パイオニア・ウーマン」ブランドもこうしたトレンドに合致する。なぜなら、ドラモンド氏が人間の家族や友人のために作る料理にインスパイアされたレシピだからだ。
ガス氏は言う。「わたしがピュリナで働き始めてから11年が経つ。我々のフードにもトレンドがあり、そのトレンドが明白なものになるまでに2、3年かかることもある。だが、そのタイムラインは縮まってきている」
(翻訳、編集:山口佳美)