学生は「仕事の探し方がわからない」大学はいまだに大企業向け就活支援でいいの?

就活

6/1に就活は「解禁」となる。職業は多様化するが、大学のキャリア支援は多様化に順応できているだろうか。

「どうやって仕事を探せばいいですか?」

今年、私が学生からキャリア相談を受ける中で驚いたことは、この手の相談が意外に多いことだ。

今のご時世、スマホを開けばいろんな就活情報サイトにアクセスできる。そのサイトの多くは、希望の勤務地や職種がチェックできるようになっており、検索をかけると希望に沿った求人が検出される機能がある。

大学のキャリアセンターに行けば企業のパンフレットを持ち帰ることや、学内で開かれる就職セミナー(通称:学内セミナー)に出て、企業の情報を収集することだってできる。

これだけ情報があふれているにも関わらず、それでもなお、学生たちは、仕事の探し方が分からないという。一体なぜなのか。

大企業を中心とした見覚えのあるロゴがズラリ

ビル

撮影:今村拓馬

私がキャリアカウンセラーとして務めていた大学で、学内セミナーのプログラムを見た時、見覚えのある大企業の社名がズラッと並んでいた。私が就活生の時に受けた大学のキャリア教育でも、就活の第一歩として、就活情報サイトに登録することを勧められ、そこには大企業を中心とした見覚えのあるロゴが並んでいた。

極め付けは、就活成功者として大企業に受かったOBOGが学内セミナーに登壇し、その教えを乞う場面だった。振り返ってみると、会社員以外の選択肢は一切考える機会がなく、身の回りに流れてくる情報は、大企業のものばかりだった。

そして、その事実さえも気付かないまま、就職活動をしてしまっていた。

学生の話を聞く限り、この大企業への就職を誘導するかのような動きは、私が在籍した大学だけではなく、多く大学で見られるようだ。

これでは大企業に興味がない学生からすると、欲しい情報や出たいセミナーがない状況で、「どうやって仕事を探せばいいのだろう」と悩むのは当然のことだ。

大企業に行きたいというより「他を知らない」

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shutterstock

では、大手企業に興味がない、または他の仕事も見てみたいと考える学生は、どんな仕事の情報が欲しいのだろうか。「大企業でないとすれば、他にどんな仕事や働き方に興味があるのか」と聞くと、答えられずに、そのまま黙り込むケースが多かった。

確かに、この質問自体が愚問だ。なぜなら、その他を知らないのだから。

ただ、答えられない人に共通しているのは、「これ!というものは決まっていないけど、大企業はどうせ入っても合わない気がする」という大企業への違和感だった。

また、答えが返ってきたケースでは、「ベンチャーに興味がある」「ゆくゆくは起業したい」「フリーランスについて知りたい」といった声があがった。相談を受けていて、1日5人中3人くらいのペースで、こうした大企業以外も検討している学生に出くわした。

未だに大企業向けキャリア支援でいいの?

Youtuberやブロガーのような、数年前には想像もつかなかった職業がポンポン生まれ、副業を解禁する企業も増え、終身雇用制度の維持も怪しくなってきた今、大学側の就活支援がキャリアの選択肢を会社員、しかも大手に限定するのはどうなのだろう。

大学は、誇らしげに大企業への内定実績をパンフレットに乗せ、必死にその「数」をアピールしている。親ウケはいいかもしれないが、PRに使われる学生の身にもなって欲しい。そこには一人一人の尊重すべき思いがあり、希望する人生の歩み方がある。「最初は大企業に行っておいたほうがいい」「大企業の方が安全」など、その人のためを思っているかのようなアドバイスも、結局はエゴだ。

それは当の本人も分かっているのである。それでもなお、大企業にはない自由さを求める学生や、大企業を受けるかどうか、そもそも会社員になるかどうかを検討している学生も出てきた中で、大学は、大企業に仕向けるキャリア支援の仕方でいいのだろうか。

私が大学のキャリアセンターに務めていた時、ベンチャー企業で活躍する人や大企業勤めでも副業している人なども紹介する場を作り、学生のニーズに合わせた企画を行っていくべきではないかと何度か提案したが、検討されることはなかった。

民間キャリアセンターを立ち上げる理由

working together

Getty images

やがてその大学のキャリアセンターを離れ、複数の組織で働くパラレルワーカーとして、いろんな角度から就活やキャリア支援のあり方について考えるようになった今、私はある目標に向かい、一歩を踏み出すことにした。

その目標とは、今までの常識に囚われない、自由で新しいキャリアセンターとして「minatos」(ミナトス)を作ることだ。

目指していることは、大手志向で“右にならえ”な就活にモヤモヤしている学生はもちろん、自分のキャリアについて考えたい社会人も、ここに来たらキャリアの選択肢が増え、なんとなく気が楽になるような場を作ることだ。

イベントやキャリア相談サービスを実施することで、ここに立ち寄ったり、ここから出発したり、そんな港のような存在になりたい。人によって使い方は違ってよく、一つでいろんな意味を持つという意味で、「港」に複数形のsをつけ、minatosと名付けた。

働き方が多様化する今、世の中には、本当にいろんな生き方の人がいることを、もっと多くの人に届けたい。いや、届ける必要があると感じている。

だから7/1のminatosオープンに向け、今日も働いている。

(文・境野今日子、写真はイメージ)

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