ホームセンターが手作りの子ども用歩行器を贈った"美談"が、アメリカの医療制度の暗い真実を明らかに?

ホーム・デポ

Tim Boyle/Getty Images

  • アメリカのホームセンター「ホーム・デポ(Home Depot)」のジョージア州にある店舗では、従業員が筋緊張低下症の2歳の子どものために、ポリ塩化ビニル(PVC)のパイプで歩行器を作った。
  • この話はアメリカで大きな話題となったが、これを美談として伝えたメディアに対し、批判の声も上がっている。
  • 必要な医療を受けるために、家族はホーム・デポに頼るべきではなかったと指摘する声もある。

今から約1カ月前、クリスチャン・ムーアさんはフェイスブックの友人に、自身の2歳になる息子ローガンくんのために、どこへ行けば「安い後方支持型歩行器」が買えるか、尋ねた。

ローガンくんは筋緊張低下症で、母親のムーアさんによると、家族は健康保険から大した支援は受けられていないという。

「この子の保険はひどいもので、とても高いんです」と、ムーアさんは書いた。通販サイト「MedicalEShop」では、後方支持型歩行器は666ドル(約7万3000円)で売られている。

結局、ムーアさん一家は歩行器を購入する代わりに、ホーム・デポで材料を買って、自分たちで作ることにした。

ところがホーム・デポの従業員は、ムーアさん一家に材料を売らず、PVCのパイプでローガンくん専用の歩行器を作ってプレゼントした。

「笑顔で歩き回るローガンくんの姿を見て、みんな泣いていました。家族はお金を払おうとしたけど、わたしたちはいらない、これはわたしたちからのプレゼントですと言ったんです」と、あるホーム・デポの従業員はフェイスブックに書いた

ホーム・デポの広報担当者は、「我々の価値観に沿い、さらにそれ以上のことをローガンくんとその家族のためにした、我々の仲間を心から誇りに思います」と、Business Insiderに語った。

この話はNBCやNowThis、Fox 5が取り上げるなど、アメリカで大きな話題となった。

素晴らしい! 2歳のローガン・ムーアくんは歩行器を必要としていたが、家族は保険がカバーしてくれるかどうか分からず、地元のホーム・デポが材料を集めて作ってくれた。

しかし、この話がポジティブに伝えられていることに、多くの人が疑問を感じたようだ。ローガン一家の話は美談などではなく、アメリカの医療制度を告発するものだという声が上がった。

ホーム・デポのスタッフは素晴らしかったけど、この話から本当に学ぶべきは、a) 雇用主提供医療保険は最低、2) 医療提供者ならおそらく機能的に同じもので500~1000%以上の料金を請求しただろうということだ。

アメリカでは、ホーム・デポが唯一、無料の医療介護提供者。

いや、違う。素晴らしくなんかない。これはいかにアメリカの医療制度が壊れているかを告発するものだ。

この子はかわいい。彼の両親がこれほど必要としているものを保険がカバーしてくれるかどうか心配しなければならないなんて、ひどすぎる。今の医療制度は最低。子育てはそうでなくても、十分大変なのに。

これは美談じゃない。

欠陥だ。

素晴らしい話じゃなくて、恥ずかしい話。

アメリカの医療制度は壊れている。

これは美談じゃない。いかに全てが最低か、いかにわたしたちが自分たちと同じくらい苦しんでいる他人のやさしさを頼りにしなければならないかを示すものだ。

[原文:Home Depot built a makeshift walker for a toddler, and some people say it reveals a dark truth about health care in America]

(翻訳、編集:山口佳美)

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