アメリカのKFCでは、通常のフライドチキンに並び、人工チキンがメニューに加わるかもしれない。
Hollis Johnson
- 米ケンタッキー・フライド・チキンは、植物由来「人工肉」の主要メーカーとビーガン向けフライドチキンの可能性について話し合っている。アメリカのKFCのケビン・ホックマン社長がBusiness Insiderに語った。
- デル・タコ、バーガーキング、カナダのティム・ホートンズといったファストフード・チェーンがここ数カ月の間に、ビーガン向け代替肉をメニューに追加した。
- アメリカの大手チキン・チェーンはまだ、どこも代替肉メニューを発表していない。だが、チックフィレイもビーガン向けメニューの追加を検討し始めている。
ビーガン向けの、植物由来の「人工肉」がデル・タコやバーガーキングのようなファストフードチェーンのメニューに加わっている。次に、この波に乗るのはチキンチェーンかもしれない。
アメリカのケンタッキー・フライド・チキン(KFC)のケビン・ホックマン(Kevin Hochman)社長にとっては、かつてはあり得ないと考えていた未来。今、同氏は確信が持てずにいる。
「正直言うと、6カ月前に聞かれていたら、ノーと言っていただろう」とホックマン社長はBusiness Insiderに語った。
「なぜなら、我々はフライドチキンを売っているのだから」
だが、もし現在インポッシブル・フーズ(Impossible Foods)やビヨンド・ミート(Beyond Meat)のような企業を取り巻く話題が長期的な顧客の需要になるなら、KFCはもちろん植物由来の代替肉をテストすることになるとホックマン社長は語った。
同チェーンはイギリスではすでに、ベジタリアン向け「フライドチキン」をテストしている。
「この2週間で、アポを数件取った。ちょっと調べてみようかと —— 代替タンパク質のチキンがどんな感じなのか」
チックフィレイもビーガン向け商品を検討中。
Hollis Johnson/Business Insider
ホックマン社長の言葉は、チックフィレイのメニューを担当するエグゼクティブ・ディレクター、アマンダ・ノリス(Amanda Norris)氏が5月はじめにBusiness Insiderに語ったことと同じ。ノリス氏によると、チックフィレイはビーガン向け商品をメニューに追加することを検討し始めている。
「確実に我々の考えを広め、潜在顧客の中で真に重要な存在となり、顧客を獲得したい」とノリス氏は述べた。
「単なる肉の入っていないサラダや肉の入っていないラップサンドを確実に超えていると考えている。サンドイッチの中である種の代替メニューになるだろう」
植物由来の「人工肉」はここ数カ月で、ファストフード業界に広がっている。
TGIフライデーズ(TGI Fridays)、カールス・ジュニア(Carl's Jr.)、レッド・ロビン(Red Robin)などのチェーンは、インポッシブル・フーズ、もしくはビヨンド・フーズの人工肉を使ったメニューを提供している。
デル・タコのビーガン向けメニュー、ビヨンド・タコ(Beyond Taco)は、同社史上最高の新製品となりそうだ。バーガーキングはインポッシブル・フーズと提携し、2019年末までにインポッシブル・ワッパー(Impossible Whoppers)をアメリカ全土で展開する。
「絶対にないとは言わない」とアメリカのKFCのケビン・ホックマン社長はBusiness Insiderに語った。
Hollis Johnson
「長期的な売り上げを構築することができる新しいカテゴリーと考えている」と、バーガーキングの親会社レストラン・ブランズ・インターナショナル(Restaurant Brands International)のホセ・シル(José Cil)CEOはBusiness Insiderに語った。
「植物由来の人工肉バーガーなどの新しいメニューは、長期的に当社の事業を支えていく」
代替人工肉メーカーは需要増加に伴い、売り上げを増加させている。インポッシブル・フーズは5月半ば、テマセク(Temasek)と香港のホライゾン・ベンチャーズ(Horizon Ventures)の主導による3億ドル(約330億円)のシリーズEの資金調達ラウンドを発表。これに先駆け、ビヨンド・ミートは5月はじめに新規株式公開を行い、大きな話題となっていた。初日の終値は163%高の65ドル75セントとなった。
そして、この大成功は、KFCが「ケンタッキー・人工チキン」に挑戦することを意味しているかもしれない。
「絶対にないとは言はない。6カ月前なら絶対にないと言っていただろう」とホックマン社長。
「今は、考えを改めた。我々は人工肉についてもっと学ぼうとしている……、まだ少し早い気もするが、学ぼうとしている」
(翻訳:Ito Yasuko、編集:増田隆幸)