アップルが狙うのは脱GAFA? プライバシー問題でグーグルやFacebookと一線を画す

アップルのプライバシー

プライバシー問題で取り沙汰される「GAFA」だが、アップルはほかの3社と一括りにされるのを嫌っている。

巨大ITプラットフォーム「GAFA」として、グーグル、アマゾン、Facebookと一括りにされているアップル。しかし、ティム・クックCEOは「我々は個人情報で商売はしていない」として、他社と一緒にされることを嫌っている。

そんな中、6月3日(現地時間)から開発者向け会議「WWDC」がアメリカ・サンノゼで開幕した。基調講演ではtvOS、watchOS、iOS、iPadOS、macOSとアップルが持つ製品プラットフォームの方向性が明らかにされた。

2019年秋に公開される予定のiPhone向けOS「iOS13」はプライバシー保護を前面に押し出し、利便性を高めた。グーグルのAndroidとの違いを見せつけた格好だ。

アップル新参入する「Sign in with Apple」は何がすごいか

Sign in with Apple

地味ではあるが、大きな意味をもつ「Sign in with Apple」。

2時間20分近い基調講演のなかで「地味ながら便利そう」かつ「Facebookとグーグルに対抗してきたな」と多くの人が興味を持ったのが「Sign in with Apple」という機能だ。

ここ最近、多くの会員制ウェブサイトなどでは、自社のIDやパスワードではなく、グーグルやFacebookのアカウントを入力して会員登録とログインができることが多い。しかしその際、それぞれのサービスで登録されている個人情報が、各ウェブサイトやサービスに筒抜けになっているケースがある。

フェイスブックやグーグルのサインインサービス

Facebookやグーグルも同様のサービスを展開しているが、アップルの考え方は大きく異なる。

アップルは、そうした個人情報の取り扱いについて警鐘を鳴らすとともに、対抗策として「Sign in with Apple」を提供すると明らかにした。

Sign in with Appleは、その名の通り、ユーザーはApple IDだけを使ってウェブサイトなどにログインできるようにするというもの。

会員登録する際、名前やメールアドレスを求められた時にはアップルがランダムなメールアドレスを生成して登録。ユーザーは、自分のメールアドレスを非公開にした状態でサービスを受けられるというものだ。

ランダムな文字列

Sign in with Appleを導入したサービス側には、トークンとしてのメールアドレスが登録される。

実際にログインする際、iPhoneのFace IDやTouch IDでユーザーが簡単に認証できるのが特徴だ。

まさに、グーグルやFacebookと似たような機能を提供しているにも関わらず、実は真逆だというのがおもしろい。グーグルとFacebookは個人情報を提供するが、アップルは頑なに個人情報を守っていく。

しかも、アップルの場合はiPhoneだけではなく、iPadやMacBookにもFace IDやTouch IDが搭載されている。Sign in with Appleがあれば、あらゆるデバイスからウェブサービスにログインする際には、IDやパスワードの入力が不要になる世界がやってくるかもしれない。

「ユーザーのプライバシーを守る」という企業ポリシーが結果として「ユーザーに選ばれる製品」になっていく、というわけだ。

iOS13では地図や位置情報関連もアップデート

Apple Map

アップルは位置情報の関わる機能のアップデートも行った。

もうひとつ、アップルがグーグルを意識してiOS13で強化してきたのが位置情報関連だ。

ユーザーは地図アプリなどがいつ自分の位置情報を取得しているかなどを情報を知ることができ、どのようにアプリ側に位置情報を共有するかなどを選べるようになるという。

マップの新機能

WWDC19で披露されたマップの新機能。

Look Around

360度見渡せるアップル版「ストリートビュー」とも言える「Look Around」。

アップルでは、自社のマップアプリでナビゲーションをする際には、ユーザーの移動に対して、ある間隔ごとにトークン(特定のIDを識別する情報)を書き換えて、アップル側がユーザーを特定できないような仕組みを入れている。

ただ、どんなにプライバシー保護がしっかりしているからといって、アップルとグーグルの地図サービスを比べると、やはりアップルの方が地図情報が薄く、グーグルマップの方が使い勝手がいいというのは否めない。

Apple Map Car

アップルマップのロゴが入った車を日本でも見かけた。

そこでアップルは、地図情報を強化するため、クルマを100万マイル走らせ、道路を網羅し、歩行者向けデータ、住所の正確性、土地情報データを強化。すでに一部の都市とアメリカの州で利用可能になっている。2019年末までに米国全体、2020年には他の国でも利用できるようになるという。

実際、筆者はアップルのカメラをたくさんつけたクルマが走行しているのを東京・大田区内で目撃している。おそらく、日本の地図も2020年には大幅に更新されることになるかもしれない。

アップルはユーザーのプライバシー保護を貫く

iOS13では、写真アプリにおいても、デバイス上の機械学習機能を利用して、さらに見やすく、整理されたライブラリを表示できるようにしている。

アップルは、これまでも写真データの機械学習をクラウドに任せることなく、iPhoneのデバイス上で処理するという設計思想を貫いている。これも「ユーザーのプライバシーを守るため」という考えからきている。

アップルは「いかに個人情報をデバイスから出さずに、スマホを進化させるか」に日々、まい進している。

(文、撮影・石川温)


石川温:スマホジャーナリスト。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜22時からの番組「スマホNo.1メディア」に出演。

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