ついにスマートディスプレイ「Google Nest Hub」日本上陸 ── 国内後発のグーグルの勝算は「写真」と「翻訳」

Google Nest Hub

7インチ1024×600ドット解像度の液晶を搭載したスマートディスプレイ「Google Nest Hub」がついに日本上陸となる。

撮影:小林優多郎

グーグルは6月5日、スマートディスプレイ「Google Nest Hub」の国内発売を発表した。価格は1万5120円(税込)で、6月12日から直販サイトのGoogleストアのほか、全国家電量販店の店頭およびECサイトでも取り扱われる。

Google Nest Hubは、アメリカでは「Google Home Hub」として2018年10月から発売されていたもの。グーグルは2019年5月、ホームIoT製品を「Nest」ブランドで統一する方針を打ち出しており、それに伴って製品名が変更された。

アメリカではサーモスタットやホームカメラなど、すでに複数のNest製品が発売されているが、日本ではこのGoogle Nest Hubが、初のNestブランド製品となる。

スマートスピーカーがディスプレイでより便利に

秋山有子氏

Google Nest Hubを国内で発表したGoogle Nest事業本部長の秋山有子氏。Google Nest Hubは「Google Home」「Google Home Mini」同様、インテリアや好みにあわせて選択でき、カラーはChalk、Charcoal、Aqua、Sandの4色。

撮影:太田百合子

このような背景からブランド名こそ異なるものの、Google Nest Hubはスマートスピーカーである「Google Home」「Google Home Mini」と同様の機能を持つ製品だ。

Google Homeに7インチのタッチディスプレイを着けたようなものだと言えば、イメージしやすいかもしれない。すべてがタッチ操作のタブレット端末とは異なり、操作のベースとなるのはあくまでも音声。Google Homeと同様に、「OK Google」あるいは「ねぇGoogle」と話しかけると待機状態となる。

ホームビュー

対応するスマート家電をまとめて管理できる「ホームビュー」機能も搭載。Google Nest Hubから、つながっているスマート家電の設定やコントロールができる。

撮影:太田百合子

ディスプレイを持つ利点は、耳だけでなく目で素早く情報をチェックできること。例えば、料理のレシピ機能では、材料や手順を読み上げてるだけでなく、写真や映像でも手順を確認できる。スマートフォンなどでレシピを調べ、料理しながら参照することがよくあるが、スマートディスプレイでは音声で料理を検索し、材料や手順を目で確認しつつ、音声で先送りなどの操作ができる。

タッチ操作も可能だが、音声だけで完全ハンズフリーでの操作に最適化されているのがタブレット端末との大きな違いだ。

このほかGoogle Home同様、6人までの声を聞きわける「Voice Match」機能に対応。特定のキーワードを言うと、複数の操作を行う「ルーティン」も設定可能で、例えば、朝に「おはよう」と話しかけるだけで、その日の天気や交通情報、自分の1日の予定などをまとめてチェックできる。

また、対応するスマート家電を音声で操作したり、音楽や動画などの対応コンテンツを楽しむことも可能。Google Home Hub購入者には月額1180円の「YouTube Premium」が3カ月無料で試せる特典も用意されている。

後発のグーグルにとっての強みは「Googleフォト」連携機能か

Google Nest Hub正面

Google Nest Hubの正面にはマイクや照度センサーがあるだけで、カメラはない。

撮影:小林優多郎

アメリカではカメラ付きでビデオ通話が可能な上位モデル「Google Nest Hub Max」も発売済みだが、発表会に登壇したGoogle Nest 事業本部長の秋山有子氏は「カメラ付きモデルについては、現時点でお伝えできることはない」とし、今後の発売予定についても示唆されなかった。

スマートスピーカーのシェア争いで火花を散らすライバルのアマゾンは、すでに1年近く前からスマートディスプレイ「Echo Spot」「Echo Show」を発売していて、6月26日からは1万円を切るスマートディスプレイ「Echo Show 5」も発売予定など、ラインナップを広げている。

中でもビデオ通話は注目機能の1つとなっていて、Echo Spotの発売当初はこれを体験できるように、2台でのセット販売も行われて話題を集めた。ライバルに1年近く遅れて、しかも、ビデオ通話なしのスマートディスプレイを投入するグーグルに勝算はあるのか。

Google フォト

スマートフォンで撮った撮影を自動でバックアップ、顔認識などが行える「Googleフォト」はGoogle Nest Hubのキラーコンテンツだ。

撮影:小林優多郎

ひとつ、グーグルにとって大きな強味と言えるのが「Googleフォト」が利用できる点だ。Google Nest HubにはGoogleフォトと連携するフォトフレーム機能が備わっていて、ディスプレイを使用していないときは、デジタルフォトフレームとして写真を表示できる。

Googleフォトの「リアルタイム共有アルバム」機能を利用し、特定の写真を自動的にフォトフレーム用のライブアルバムに追加し、表示させることもできる。例えば、子どもの写真を祖父母に共有すれば、祖父母は自宅のGoogle Nest Hubで、いつでも最新の孫の写真が楽しめるというわけだ。その際、重複した写真やピンボケ写真など、AIが不適切と判断した画像は自動的に取り除かれる。

29カ国語対応の翻訳機能でインバウンド需要にも対応

翻訳モード

発表会では家庭での利用シーンを想定したデモが披露されたが、Google Nest Hubの通訳モードはインバウンド対応に追われる法人の需要に応える機能と言える。

撮影:太田百合子

発表会では言及されなかったが、もうひとつ「Google Nest Hub」ならではの強力な機能が、2019年1月のCESで発表された「通訳モード」だ。

「OK Google、スペイン語を通訳して」のように話しかけると待機状態となり、いま話されているのがスペイン語、日本語のどちらかを自動で認識して相手の言語に自動翻訳する。切替不要で相互に通訳ができるのが特徴で、6月5日現在、29言語に対応している。

アメリカではホテルのフロント等にも導入されている。日本でも今後、インバウンド(訪日外国人)が拡大する中で、多言語に対応して手頃な価格で導入できるGoogle Nest Hubは、外国語対応を迫られる小売店や飲食店のニーズに応える製品として、注目を集めるだろう。

(文・太田百合子)


太田百合子:フリーライター。パソコン、タブレット、スマートフォンからウェアラブルデバイスやスマートホームを実現するIoT機器まで、身近なデジタルガジェット、およびそれらを使って利用できるサービスを中心に取材・執筆活動を続けている。

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