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カネカ、育休明けの転勤内示は「見せしめではない」。就活クチコミサイトでは「内定辞退決めた」の書き込みも

カネカ

出典:カネカの公式ホームページ

夫の育児休業明け直後に転勤内示を受け、退職を余儀なくされたと告発するTweetにより批判が殺到していたカネカが6月6日、「転勤の内示は見せしめではありません」とする公式見解を出した。

公式サイトのトップページに「当社元社員ご家族によるSNSへの書き込みについて」と、大きく貼り出した見解によると、多くの社員が育児や介護の事情を抱えていることをあげ「育休をとった社員だけを特別扱いすることはできません」などとして、「元社員の転勤及び退職に関して、当社の対応は適切であったと考えます」と明言している。

また、元社員は、退職願通りに退職しているとして、「退職を強制したり、退職日を指定したりという事実は一切ございません」ともしている。

Twitter上では、この見解について「問題ないとする方がはるかにヤバい」など、対応に呆れる声が続出。大手就活口コミサイトのカネカに関する企業別掲示板では、カネカの選考を受けていると見られる学生による「辞退する」との書き込みも相次いでいる。

カネカは「当社の対応に問題は無いことを確認しました」としているが、世間の働き手の受け止めは「問題ない」とはいかなさそうだ。

「育休とった社員だけを特別扱いできない」

男性育休

夫が育児休業から復職して2日後の内示となった理由とは。

Getty Images

同社は当初の6月3日時点では、Busines Insider Japanの取材に対し「コメントは差し控えたい」として、事実関係を認めていなかった。しかし、6月6日の公式見解では一転、育休明けの転勤内示があったことを認めている。

見解によると、カネカは6月2日に弁護士を含めた調査委員会を立ち上げ、翌3日には社員に向けて、社長からのメッセージを発信。6月5日に、調査委員会からの報告を受けた社内外の監査役が、事実関係の再調査を行い、「対応に問題はない」と結論づけたという。

育休明けの転勤内示を告発する妻のTwitterによると、夫婦は2歳、0歳を育てる共働き夫婦。カネカに勤める夫が育児休業明けわずか2日で転勤を命ぜられ、時期の延期など交渉をしたものの聞き入れられなかった。

内示が出た4月当時、妻は産後4カ月で、2週間後には正社員の仕事に復職予定だった。2歳と0歳の子どもたちも保育園にようやく入るタイミングだったという。

告発を受けた一連の対応について「問題ない」とした理由として、カネカは以下をあげている。

  • 育児や介護などの家庭の事情を抱えているのは、多くの社員が当てはまる。育休をとった社員だけを特別扱いすることはできない。
  • 元社員の勤務状況から異動が必要と判断していたが、内示前に育休に入ったため、育休明け直後の内示となった。
  • この元社員について、内示から発令までの期間は4月23日から5月16日までの3週間あり、通常よりも長いものだった。
  • 着任日を延ばして欲しいとの希望はあったが、元社員の勤務状況に照らし、希望を受け入れると、けじめなく着任が遅れると判断して希望は受け入れなかった。
  • 着任後に出張を認めるなど、柔軟に対応しようと元社員の上司は考えていた。しかし、連休明けの5月7日に、退職日を5月31日とする退職願が提出されたため、この後は、転勤についてやり取りがなされなかった。

「就活やり直しか——」

弁護士も交えたカネカの調査委員会の結論は「問題ない」だが、こうした社員の家庭の事情に一切、配慮しない転勤や、育児休業取得後に「いやがらせ」と取られかねない内示のタイミングについて、世の中の働き手の受け止め方は変わりつつある。

大手企業が運営するクチコミ就職情報サイトにある「カネカ」の掲示板には、6000件超の書き込みが寄せられている。

掲示板では「ここに内定をいただいたものですが、辞退することにしました。就活やり直しか——」「いくつか内定もってて迷ってたけど、この会社は辞退しました。。。」「真剣に迷ってたから炎上したことによってヤバい会社とわかってよかった……」などと、真偽のほどは分からないが、内定者とみられる書き込みが続く。

一方で「育休確実に取れる会社になりそうだよね。転勤も無茶しないでくれそうだし…」と、今後の改善を期待する声もあった。

カネカの広報担当者はBusines Insider Japanの取材に対し、今回の育休明け転勤内示の炎上を巡っては「内定辞退などは聞いていない」とした。ただ、一連の騒動について「公式見解の通りだが、この頃の(Twitterなど)インターネットの拡散は強いものがある」と、想定以上の反響があったと捉えている様子も、明かした。

(文・滝川麻衣子、原佑奈)

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