「ユニクロ×カウズ」日本でも発売。競歩で売り場に向かう客たちの静かな戦争

中国で6月3日の発売日に客が殺到し、暴徒化したほど人気を博した「ユニクロ×カウズ」コラボ商品。4日遅れて日本でも、Tシャツとトートバッグが発売された。

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中国での購入客の大半が「転売目的」とされている中、日本にも商品を求める客が来るのではないか。興味本位で、自宅から歩いて行ける都内のユニクロに行ってみた。

午前10時開店の5分前に、ユニクロが入っているショッピングセンターに到着すると、数十人がシャッターが開くのを待っていた。

シャッターがゆっくり開く中、みんな静かに待っている。警備員がエスカレーターを開放すると、皆が整然とエスカレーターに向かった。

開店前にショッピングセンター着いたけど、中国ほどの猛ダッシュではなく、周囲牽制しながら段々早足になるのが、日本だよなあ#ユニクロ#カウズ

近所のユニクロ。カウズ売り場に中国語で注意書きが。

少なくとも、中国のようにシャッターをくぐり抜けたり、誰かをこづいて前に出ようとする人はいないが、最初こそゆっくりだった歩調は、だんだんと速足になっていき、誰かがエスカレーターを駆け上がったのをきっかけに、競歩状態になった。この、内に秘めた闘志、けん制ぶりがいかにも日本的だ。

ユニクロ店舗前では、数人のスタッフが買い物かごを持って、大きな声で案内している。

「朝早くからお越しいただきありがとうございます」と感謝の言葉に、「一つの柄につき、一着までです」と念押しも忘れない。

カウズのコーナーには、英語、中国語、日本語の張り紙が。

静かだ、だけど確実に厳戒態勢だ。

厳戒態勢のユニクロ×カウズ。

トートバッグが棚から最初に消え、Tシャツをわしづかみでかごに入れる客もいる(最初に確保して、後から選別するのかもしれない)。

次第に周囲で中国語が聞こえ始める。このお店は、新宿や銀座と違い地域の人御用達のお店だからか、「人が多すぎる」とのぼやきも聞こえた。

ただ、「バーゲン初日」程度には秩序は保たれており、中国人と思われる中年女性が、数枚のTシャツを「どっちが似合う?」と同行者に尋ねていたりと、「転売ヤー」色は薄めだった。

「走らず歩くところが日本らしい」

日本企業の駐在員として上海で働いているTeeさんは(20代男性)、6日から8日まで一時帰国中。7日の開店に合わせ、電車で40分かけて武蔵小杉(神奈川県川崎市)のユニクロに向かった。

Twitterや中国のSNS微博(Weibo)で騒動を知り、好奇心もあってTシャツを買いたくなった。「比較的空いてそうな」住宅街に立地する店舗を選んだという。

ユニクロ、カウズ写真じゃ伝わらないかもしれないけど、日本もだいぶ荒れております。武蔵小杉です。現地よりお知らせします。首都圏の店舗もヤバイのかな。

中国語も飛び交っております。1人では同じ種類の物は1着までと教えてあげました。

Teeさんによると、武蔵小杉の店舗は開店前、行列はできていなかったものの、入り口にちらほら待っている人がいた。いざ開店すると、彼らは一斉に入店し、棚に一目散に歩いて行ったそうだ(Teeさんは「走らず歩くところが日本らしい」と感じたという)。多少の小競り合いが起きる中、Teeさんは自分と妻の分2着だけ何とか手にし、店を後にした。

「中国ほどではないけど、日本にしてはまあまあ荒れてました。日本人と外国人の割合は半々くらいだと思います。60代ぐらいのおじさんが、押すなよと喧嘩になっていたのが印象的でした」

「中国での騒ぎを見て興味湧いた」

香港系イギリス人のサムソンさん(30代会社員男性)は、午前3時に起きて、オンラインで3着プラストートバッグを購入した。

「香港でも話題になっていたし、この前の中国での騒ぎを見て、興味が湧いて」情報をチェックしていたという。

午前2時からオンライン発売が始まると知って、3時に起きてサイトを開こうとしたが、アクセスが多かったためかつながらず、3時半にようやく接続できたという。

「今着るとちょっと恥ずかしいので、この騒動が忘れられたころに着ようかな」

SNSでは全国各地のユニクロの様子が投稿されている。銀座ではテレビカメラが集まった一方、地方では「がらがらだった」という投稿も。

そして私を含め、取材した中でコラボTシャツを購入した全員が「中国のニュースで気になって、思わず購入してしまった」と答えた。日本の発売が先だったら、これだけ話題になっていたかどうか。

ユニクロ

見に行っただけなのに思わず買ってしまった。

ちなみに、メルカリではさっそく、Tシャツやトートバッグが定価以上の価格で出品されている。

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(文・写真、浦上早苗)

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