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これは誰にでも起こり得ることだ。
ゲームとカクテルをちょっと楽しんでみようと、財布に現金を詰めて自信たっぷりにカジノに足を踏み入れ、その数時間後、今が何時なのか、何杯飲んだのか、お金がどうなったかも分からなくなっている。
実際はどんどんお金を失っているのに、明るくて暖かい、全てが"いい感じ"のカジノをあとにするつもりはなく、またATMへと向かう —— 。
最後に勝つのは、常にカジノ側なのだ。
だが、カジノはどうやってわたしたちにそれだけのお金を使わせているのだろうか? どうやって理性的な人々 —— 収入を得るために懸命に働き、日々、道理にかなった金銭的な決断を下している人々 —— に、数万円もしくは数十万円をサイコロやルーレット、トランプにつぎ込ませるのだろう?
その答えは、手短に言えば、カジノのカーペットから天井、その間にあるもの全てが常識にストップをかけ、自身の利益に反する決断をするようデザインされているからだ。
カジノは音や照明、物理的なデザインを使って、入りやすいが抜け出しにくい環境を作っている。頻繁に大金が当たったと見せるなど、さまざまな誘惑を使って、わたしたちにプレイし続けてさえいれば勝てると思わせる。そして、食べ物と飲み物で満足させ、ゲーム以外のことを考えないようにさせる。
お金をもっと使わせるために、カジノが使っている9つのトリックを見ていこう。
1. 現金ではなく、チップでプレイさせる
REUTERS/Jean-Paul Pelissier
本物のお金を使うよりチップを使った方が、大きく賭けやすいし、負けてもそれほどがっかりしない。
2. 時計がない
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カジノで時計を目にすることはない。これは時間を意識させず、ゲームに集中させるためだ。
4. フロアのレイアウトは迷路のようなデザイン
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カジノは意図的に迷路のようにデザインされている。出口に続くまっすぐな通路はないし、それぞれのゲームのエリアははっきりとは区切られていない。
通路をカーブ状にし、ゲームのエリアを戦略的に配置することで注意を引き、もともとトイレに行こう、もう帰ろうと思っていた人の足を止めさせ、ちょっとだけルーレットをやってみよう、ポーカー・マシーンに賭けてみようと思わせる。
5. 無料で部屋と食事を提供
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カジノである程度のお金を使うと、食事や隣接するホテルの宿泊が無料で提供されることも多い。睡眠や食事といった人間の基本的欲求を満たすことで、カジノをあとにしなくていい状況を作り出すのだ。そして翌日、目が覚めたら、もっとギャンブルをと思う可能性は高いだろう。
6. 外の世界が目に入らないようにしている
Pat J. Cunningham/AP
カジノのドアを一度入ったら —— ドアは大抵、太陽の光が入らないよう、スモークをかけるなどしている —— 自分の腕時計か携帯電話をチェックしない限り、今が何時か分からなくなる。
カジノは常にフロアを薄暗い状態にし、明るい色のカーペットや青空を描いた天井などの装飾で、今は起きているべき時間だと思わせる。
7. まれな"勝ち"を盛大に祝う
Tyrone Siu/Reuters
スロットで大当たりを出したり、クラップスで連勝する可能性は低い。
だが、誰かがそのまれな"勝ち"にあたると、派手な照明や音楽、大きな声が上がる。これが他のプレイヤーに可能性を感じさせ、ギャンブルを続けさせる。他の誰かの"勝ち"が、自分の"勝ち"の可能性を上げるわけではないのに。
8. トイレを戦略的に配置
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カジノのトイレは建物の奥にある。用を足したかったら、カジノを奥まで進んで、たくさんの運試しのチャンスの前を通り過ぎなければならない。
9. ポイントサービスがある
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賭けに負けると、人はそれを取り戻そうとさらに大きく賭けがちだ。
そしてカジノは、たとえ負けても、1ドル使うたびにポイントがたまるサービスを導入することで、損失の痛手を和らげようとしている。ポイントがたまれば、無料で食事にありつけるかもしれない。だが、覚えておこう。その28ドルの食事をポイントでカバーするために、700ドル負けたかもしれないことを。
[原文:9 tricks casinos use to keep you spending your money]
(翻訳、編集:山口佳美)