共同調査:「カーシェア」はクルマの価値観をこう変える

carshare

100年に一度の変化に直面する自動車産業を象徴するトレンドの1つとして取り上げられることの多い「カーシェア」。

特に都市圏において、クルマは所有する「モノ」から、サービスを享受する「コト」に変わるという指摘をする人は、特に都市圏では少なくない。

顧客満足を専門とする国際的な調査機関のJ.D. パワーとBusiness Insider Japanは、カーシェアに関する共同意識調査を行った。

調査結果からは、情報感度の高い読者がどういう価値観を持って「カーシェア」を見て、体験しているのかの姿がおぼろげながらみえてくる。

調査期間:2018年10月4日〜2018年10月31日

カーシェア経験者は「月に1回以上利用が6割」

同様の調査はJ.D. パワーでも「パルス調査」として2018年にまとめているが、無作為抽出した調査であるパルスサーベイではカーシェアの利用率は10%程度だったのに対し、BI読者への共同調査では「回答者の70%が利用経験者」というものだった。

有効な回答数が100件強と、少な目ではあるものの、新しいカルチャーに対して感度の高い消費者の声として注目はできそうだ

いくつか注目すべきデータのうち、まず挙げたいのは「利用頻度」だ。

カーシェア利用頻度

カーシェアサービスの利用経験者のうち、月に1回以上利用する人は全体の6割近く。つまり、イベントごとなど「ハレの日」に使うものではなく、日常生活の中のモビリティ手段として捉えている様子がうかがえる。

今後の利用意向についても、利用経験者も含めて、「今後も使ってみたい」と回答した人は76%。サービスとしての関心が高いことを示している。ちなみに、この傾向に年齢はほぼ関係がなかった。

カーシェアは決して、30歳前後の「ミレニアルど真ん中世代」だけに受けているわけではない、ということになる。

カーシェアとレンタカーの違いは「利用時間の短かさ」

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ベンチャーなどのほか、大手通信会社の参入・サービス拡大もここ2年の間に起こっている。

撮影:小林優多郎

日本で中心となっているカーシェアは、コインパーキング大手のタイムズ24や、レンタカー大手のオリックス自動車など、大手企業提供によるサービスが主体だ。

レンタカーの延長線上にあるものに見えなくもないが、利用実態にレンタカーとの違いはあるのだろうか。

これにも興味深いデータが出ている。

複数回答可の「用途」についての回答では、もっとも多かったのは「片道30分未満の買い物」「片道30分以上の買い物」(ともに32%)。次点も「荷物の運搬」(26%)で、旅行やドライブなどのレジャー目的ではなかった。

カーシェア利用用途

レンタカーとの違いは?

これは、現時点のカーシェアで利用できる車種やグレードの幅が狭いことも影響していそうだが、利用者にとっては圧倒的に生活の「足」として馴染んでいることがみて取れる。

「30分未満の買い物」という超短期利用が最多用途の1つであり、またこの1年の「利用時間」傾向を聞いた別の設問でも「1時間〜半日まで」の利用時間が半数だったことをみても、無店舗・無接客(またはそれに近い感覚)ですぐ借りて返せるカーシェアならではの特徴が現れている。

カーシェアの特徴を聞いた設問では、「家の近くで借りられる」を挙げた人が最多の31%だった。

これは短時間利用と表裏一体だ。実際、カーシェアのステーションまでの望ましい距離は、極めて近距離の「5分以内」と答えた人が68%と最多だった。

駅前や少し離れた店舗に出向くのが当たり前のレンタカーと違って、駐車場感覚の「近隣」でなければ使ってもらいにくい、というカーシェアならではの課題もみえてくる。

カーシェアは本当に「所有」の意識を一変させるのか

車の所有

クルマの週は必要? 不要?

shutterstock

最後に、カーシェアというサービスが「クルマの所有」に関する意識をどのように変え得るのかについても、考察できる。

今回の調査の回答者は、クルマの保有者/非保有者の比率は半々だ。こうした属性の人たちにおいて「将来、カーシェアが、もっと使い勝手の良い形で提供されたら、自動車の所有はどうなるか」について聞いたところ、「不要」と答えた人は6割いた。

カーシェア利用意識

自動車メーカーにとって、不要だと「答えなかった」4割の人たちへのアプローチが鍵となる

内訳としては、普通乗用車を所有している人の38%は「おそらく所有する必要がない」または「まったく所有する必要がない」と回答、軽乗用車のみを所有する人にいたっては50%が「おそらく所有する必要がない」と回答した。

さて、自動車メーカーはこの結果をどう受け止めるべきなのか。おそらく向き合うべきなのは、不要だと答え「なかった」4割の人たちだ。一般的な調査より圧倒的にカーシェア経験者が多い今回の読者向け共同調査の結果でも、4割は「おそらく所有したい」「必ず所有したい」などと回答している。

ただ道具として使うだけではない「体験」の価値をどうつくるかは、所有するクルマのあり方を見直すポイントとして重要なのではないかと感じさせる。

(文、グラフィック:Business Insider Japan編集部)

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