アップルCEO、ジェフ・ベゾス氏。
David Ryder/Getty
- アメリカ司法省反トラスト局のトップは6月11日(現地時間)、反競争的行為の証拠を探し出すために、大手テック企業を詳しく調査すると述べた。
- 興味深いことに、いくつかのトップ企業は思いがけない分野で大きな市場シェアを獲得している。
- こうした企業は多くの市場で支配的な地位にあるため、連邦当局が詳細な調査を行う場合、調査対象は多岐にわたる可能性がある。
アメリカ司法省反トラスト局のトップは6月11日(現地時間)、反競争的行為の証拠を探し出すために、大手テック企業を詳しく調査すると述べた。
司法省と連邦取引委員会(FTC)は、すでに調査対象の分担を決め、司法省がグーグルとアップル、FTCがアマゾンとフェイスブックを担当することになったと伝えられた。
司法省反トラスト局のマカン・デラヒム局長は11日、イスラエルのテルアビブで開催された会議に宛てたビデオメッセージの中で、同局が調査対象とする行為や市場状況について、例をあげて説明した。
それによると、価格のつり上げ、消費者プライバシーの軽視、独占状態の維持あるいは競合他社の排除を目的とした排他的契約や合併などだ。
調査対象となった大手テック企業には、さまざまなリスク要因が存在する。つまり、グーグル、アマゾン、アップルはいずれも、さまざまなテック市場で大きなシェアを手にしている。
調査会社ガートナーのデータに基づき、テック界のビッグ3が独占している市場をあげた。いずれも規制当局の関心を引く可能性がある。
アマゾン
- アマゾンはeコマース分野で巨大なシェアを誇る。売上高で見ると、No.1のオンライン小売業者、有料のプライム会員は1億人を超える。
- また同社は、売上高ベースで見ると、圧倒的なNo.1クラウドコンピューティングプロバイダー。興味深いことに、アマゾンはその規模ゆえに、オンラインの商品検索においてグーグルに対抗し得る唯一のチャレンジャーとなっている。
- ガートナーは、商品検索の55%は「Amazon.com」が起点となっていると見ている。従来の検索エンジンからの移行が生じている。
アップル
アップルのCEO、ティム・クック氏。
AP
- 全世界のスマートフォン市場でアップルが占めるシェアは14%にすぎない。2017年と2018年、サムスンに次ぐNo.2のスマートフォンメーカーとなった。
- 2019年第1四半期のPC市場では、No.4のメーカー。レノボ、HP、デルに続いて、約7%のシェアを占めた(iPadは含まれていない)。
- アップルは自社製品で使用するチップを自社で製造しているため、同社の半導体事業も巨大。ガートナーによると、2018年、シェアは9%近くに達した。サムスンに次いでNo.2。
エレクトロニクス部品に対するアップルの購買力は巨大、そのため業界に対する影響力は大きい。仮にアップルがPC製品に使っているインテル製チップの採用をやめ、自社製に切り替えたとしたら、その影響力はさらに拡大する可能性がある。
アップルは何年も前からチップ開発に取り組んでいると噂され、2020年、自社製チップに切り替える可能性があると報じられ。ただし今のところ、インテル製チップを使い続けている。先日発表された約6000ドルのハイエンド機「Mac Pro」でも変わらなかった。
グーグル
グーグルCEO、スンダー・ピチャイ氏。
Justin Sullivan / Getty Staff
- グーグルは、インターネット検索広告における圧倒的リーダー。ヨーロッパでは長年、反トラスト問題で当局の大きな関心を集めており、検索やアンドロイドのビジネスでは数十億ドルの制裁金を科せられた。
- ガートナーによると、グーグルはクラウドサービスでも、アマゾンとマイクロソフトに次ぐNo.3。
- オンライン広告分野では、グーグルとフェイスブックが市場の75%を占めている。2社は、複占(duopoly)と言われることも多い。
[原文(BI Prime):Amazon, Apple and Google dominate some surprising markets, researcher finds, giving the government a lot of fodder for investigations]
(翻訳:長谷 睦/ガリレオ、編集:増田隆幸)