日本のLINE Payは使えるのか? 台湾のキャッシュレス決済を体験してみた

台北101

台湾では「キャッシュレス」がどこまで進んでいるのか。実際に確かめてみた(写真は「台北101」)。

2018年11月に旅行ガイドサイト「地球の歩き方」が公開した「2019年はココに行きたい!人気旅行先ランキングTOP20」によると、海外の人気旅行先は1位がハワイ、2位が台湾、3位がアメリカとなっている。

ハワイやアメリカに比べ、日本から近距離かつ格安航空会社の路線も豊富な台湾は、日本人に人気の渡航先と言っていい。若者を中心に流行しているタピオカミルクティー発祥の地でもあり、今後も人気は続くだろう。

かき氷

夏はかき氷なども絶品だ(写真は「ICE MONSTER」のマンゴーかき氷)。

筆者はそんな台湾を、6月頭にアジア最大のICT見本市「COMPUTEX TAIPEI 2019」の取材ために訪れた。COMPUTEX自体も興味深かったが、本稿はそちらの中身を離れ、COMPUTEXが開催された台北市での気になる「キャッシュレス事情」をレポートしたい。

勢いを肌で感じる「LINE Pay」の台湾人気

LINE Payの状況

最新のLINE Payのグローバル取り扱い高。

出典:LINE

そもそも台湾のキャッシュレス事情が気になっていた理由は、LINE Payの影響が大きい。LINEはLINE Payを日本以外にも台湾、タイ、インドネシアで展開しているが、その中でも高い成長を遂げているのが台湾だと話している。

実際、LINEの2019年第1四半期決算の資料では、2018年第4四半期でグローバルでの取り扱い高が3750億円にのぼり、その勢いの理由を「台湾における保険料納付による季節要因」としている。

急成長の理由は保険料納付という時期限定のものとはいえ、それだけLINE Payユーザーの口座開設数も多いということではないか。台湾ではLINE Payが一定の市民権を持っているのではないか、というのが興味の発端だ。

台湾でLINE Pay

店頭で見かけたLINE Payのポップ。

実際のところ、台北市ではよくLINEの広告やLINE Payのロゴをよく見る。超高層ビル「台北101」などのランドマークや一定規模のショッピングモールでは、クレジットカードや他社のQRコード決済と並んでLINE Payの文字を目にした。

ただし、夜市(夜間にオープンする屋台街)などでは、まだあまり浸透しているとは言えない印象で、屋台というジャンルに絞るのであれば、LINEや楽天、PayPayなどと行っている福岡市の方が利用できる屋台は多いだろう。

QRコード決済は、機材や場所の制約のある屋台のような場所でこそ真価を発揮すると言えるため、このあたりの展開は大いに期待したいところだ。

日本のLINE Payの国外利用は「原則不可」

日本のLINE Payを使う

日本のLINE Payは、台湾でも利用できるか。

日本人として気になるのは「日本のLINE Payは台湾でも使えるのか」という点だ。結論から言ってしまえば、「公式には非サポートで、原則使えない」だ。

原則と言うからには、例外がある。インターネットで検索すると「台湾でLINE Payが使えて便利!」というブログ記事などをよく見かける。筆者も実際に試してみたところ、以下のようなパターンが発生した。

  • 決済用のコードを表示時に「非サポート」と表示されて使えない。(パターンA)
  • コードは表示できるが、読み取り時にエラーが発生して使えない。(パターンB)
  • コードが表示できて、読み取り時にもエラーが出ずに決済完了する。(パターンC)

使えない例

支払う場所によっては、まったく反応しない例もあった。

まず、Aパターンだが、これは接続しているネットワークで弾かれていると推測される。筆者は台湾で、日本のキャリアのローミングプランを利用しインターネットに接続していたが、その際はだいたいコードが表示できなかった。

COMPUTEXを取材していた別の記者が持っていた現地SIMなどでは表示されていたり、筆者も現地の公衆Wi-Fiに接続したときは表示されるといったことが起きていた。

次にBパターンだが、想定できるものとしてはAパターンと同じネットワークとその接続先のサーバーで弾いていると考えられるが、これはAパターンほど再現性がなかったため、謎が多い。

決済完了

とあるコンビニエンスストアでは、日本のアカウントでも実際にLINE Payが利用できた。

最後に、決済ができてしまうCパターンだが、筆者が確認できたのは、コンビニエンスストアでの利用だ。コードさえ表示できれば、日本と方法はまったく同じ。スマートフォンの画面に表示された2次元バーコードを店員に見せて、店員がそれを読み取り決済が完了する。

日本と異なる点は、日本のLINE Payユーザーは日本円で蓄積された「LINE Pay残高」を利用できず、オンライン決済用に紐づけているクレジットカードで決済される点だ。

LINE Pay Global Alliance

4カ国のLINE Payと、中国・テンセントのWeChat Pay、韓国・NAVERのNaver Payが加盟するLINE Pay Global Alliance(写真は2018年11月のもの)。

とはいえ、今回はコンビニでの決済に成功したCパターンも、常に有効であるという保証はどこにもない。あくまでも公式には国外の利用は「非サポート」である。

LINEは2018年11月に各国のLINE Payと中国のWeChat Pay、韓国のNaver Payの共通利用を促す「LINE Pay Global Alliance」を打ち立てている。発表当時、LINE Pay広報は、日・台・泰・尼のLINE Payの相互利用について「将来的にはそのような形に持っていきたい」と話している。

現状は現金+カード付随の非接触決済がオススメ

コンビニの利用例

利用できるキャッシュレス決済手段は他にもある。

とはいえ、LINE Pay Global Allianceは始まったばかり。現時点で大きな動きはない。2019年の夏休みの旅行などでのいきなりの活躍は見込めそうにない。

しかし、日本人旅行者としてオススメしたい台湾のキャッシュレス手段はある。それは、VisaやMastercardが展開するコンタクトレス(非接触)決済だ。

前述のLINE Payのロゴを見かけた大きな商業施設は同時に、クレジットカードとこのコンタクトレス決済が利用できるところが非常に多かった。

コンタクトレス決済対応カード

Visa payWave(もしくはタッチ決済)、mastercardコンタクトレスに対応しているカードは、海外でも利用できる場面が多い(写真は三井住友銀行の「SMBCデビッド」とJALの「JAL Global WALLET」)。

日本人がこのコンタクトレス決済を利用する主な方法は2つ。1つは「コンタクトレス決済に対応したプラスチックカードを発行する」こと。もう1つは「iPhoneにApple Pay対応のクレジットカードを登録する」ことだ。

後者は所有するスマートフォンがiPhone 7以降限定で、かつ対応するMastercardブランドのクレジットカードを持っていることが条件のため、やや敷居は高く感じる。

だが、前者はクレジットカードだけではなく、デビッドカードやプリペイドカードに付随する場合もあるため「旅行のために1枚持っておこう」という気にはなる。

EasyCard

交通機関などで利用できる非接触のプリペイドカード「悠遊カード(EasyCard)」も台湾ではメジャーな決済手段だ(写真左)。

ただ、コンタクトレス決済も店舗によっては使えないパターンも少なからずあり、現金やクレジットカードと比べると信頼度はそこまで高くはない。そのため、やはり台北市を旅行する際は一定量の現金を持っていた方が安全だ。

筆者が過ごした範囲に限って言えば、コンタクトレス決済が使えた場所は比較的多く、また慣れない外貨を目で識別して会計に臨んだり、サインやPINの入力が必要なクレジットカードよりは、スムーズな体験ができた。この機会に対応カードを発行し、1度試してみるのも悪くないだろう。

(文、撮影・小林優多郎、取材協力:TAITRA)

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