薬物、アルコール、自殺で命を失うミレニアルが増えている。
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- アメリカでは、薬物やアルコールの関連死や自殺といった「絶望死」をするミレニアル世代が増えている。タイム(TIME)誌が最新レポートを引用し、報じた。
- 若者の間でこうした「絶望死」が増えている背景には、いくつかの理由がある。レポートによると、その1つは学生ローン債務や住宅市場といった、ミレニアル世代特有の経済的な負担だ。
- 社会的なサポートが失われたとき、ミレニアル世代の若者たちが直面している閉塞感が彼らのメンタルヘルスに悪影響を及ぼしている。
アメリカでは、若者の間で「絶望死」が増えている。
薬物やアルコールの関連死もしくは自殺といった「絶望死」で、アメリカでは2017年だけでミレニアル世代3万6000人の命が失われたという。中でも、薬物の過剰摂取が死因として最も多かった。
これは、Trust for America's HealthとWell Being Trustのレポートを引用した、タイム誌の報道によるものだ。同レポートは、2019年の時点で23~39歳を「ミレニアル世代」とし、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の最新データをもとに書かれている。
タイム誌によると、過去10年でアメリカの絶望死は全ての年代で増加しているが、若い世代で特に顕著だという。
2007年から2017年で、18~34歳のアルコール関連死は69%、薬物関連死は108%(オピオイド危機がその主な要因)、自殺による死亡は35%増えた。
レポートはこうした「絶望死」が増えている背景には、いくつかの理由があると指摘している —— 若い世代はリスクを伴う行動を取る傾向が強いこと、 軍に入隊している人の数が多いこと、刑務所といった「ストレスの高い環境」で生活している人が多いことなどが、それに含まれる。
だが、他にも構造的な要因があると、レポートは指摘する。学生ローン債務や医療費、子育てにかかる費用、高騰する住宅市場といった、ミレニアル世代が直面している数えきれない経済的な問題だ。この4つのコストが、ミレニアル世代を経済的に遅らせている一因だ。
閉塞感がミレニアル世代のメンタルヘルスに悪影響
ミレニアル世代の間で"うつ"が増えている背景には、経済的な負担と社会的支援の欠如があるのだろう。Blue Cross Blue Shieldのレポートによると、2013年以降、アメリカでは"うつ"が47%増えている。だが、5人に1人は治療を受けていないようだ —— そして、その理由は「お金がないから」だと見られている。
これまでの研究で、借金があることとメンタルヘルスに問題を抱えていることの間には相関があると分かっている。研究の特性上、原因を特定することはできないが、Clinical Psychology Reviewのあるメタ分析によると、借金がある人はそうでない人に比べて、メンタルヘルスの不調を抱えている確率が3倍、自殺を遂げた確率に至っては8倍だという。
そして、ミレニアル世代にはこうした問題を共有できる誰かが必ずしもいない —— 結婚が遅れ、政治もしくは宗教コミュニティーとのつながりが少ないこの世代は、他の世代に比べて、社会的なサポートが得づらいと、タイム誌は報じている。
[原文:'Deaths of despair' are taking more lives of millennial Americans than any other generation]
(翻訳、編集:山口佳美)