月額800円で話し放題 ── ソフトバンクが法人向けクラウド専用通話サービスを展開するワケ

日本マイクロソフトとソフトバンク

発表会に登壇した日本マイクロソフト社長の平野拓也氏(左)と、ソフトバンク副社長の今井康之氏。

日本マイクロソフトとソフトバンクは6月17日、マイクロソフトのビジネスチャットツール「Microsoft Teams」上の音声通話サービス「UniTalk」の提供を8月1日から開始すると発表した。

Teams上で利用できる音声サービスを提供するのは日本ではソフトバンクが初となり、世界では2社目となる。

利用には法人向けオフィス統合環境「Office 365」の契約と初期費用1000円(税抜)が必要だが、1ユーザーあたりの利用料は固定制で月額800円(税抜)。

発表会でソフトバンク副社長の今井康之氏はUniTalkの販売目標について「100万契約は早期に実現できるだろう」と自信を見せている。

企業電話をクラウドへ、導入&利用コストを削減

UniTalkの概要

UniTalkは、交換機などの専用設備が不要なクラウド型の通話サービスだ。

まず、UniTalkならではの特徴は以下のとおり。

  • Teams専用の音声通話サービスで、Teamsが利用できればスマートフォンからウェブブラウザーまでマルチデバイスで利用可能
  • 国内通話だけであれば、費用は1ユーザーあたり月額800円で固定
  • 03や06など、固定電話番号(0AB-J番号)が利用できる(110や119などへの緊急通報は非対応)
  • 音声データはマイクロソフトのクラウド上で管理される
  • 今後、海外への発信やナンバーポータビリティにも対応(10月以降予定)

発信側 ウェブ

例えば、ブラウザーでも発着信が可能。

着信側

着信側からは固定回線の番号に見える。

導入する企業にとって最大のメリットは、比較的低コストに固定回線の番号を用いた音声通話環境を整えられる点だろう。

日本マイクロソフトのOffice 365ビジネス本部 製品マーケティング部 シニアプロダクトマーケティングマネージャーの吉田馨一氏によると「規模感にもよるが、例えば20〜30人程度の会社が新たに内線・外線が使える電話環境を整えると、200万〜300万円ほどの初期費用が発生する」と話す。

工事不要

初期投資などが抑えられ、かつ固定電話番号が使えるのは大きい。

その点、UniTalkはクラウド上のサービスとなるため、企業内部に置く交換機(PBX)などの設備が不要で、かつ工事期間なども不要というわけだ。

もちろん、どんなに通話をしても月額800円(税抜)という点も、今井氏が「競争力のある価格」と胸をはるほど魅力的なのは、間違いないだろう。

法人向け事業の拡大を狙うソフトバンク

UniTalkはソフトバンク開発

UniTalkはソフトバンク回線専用サービスではなく、Teams専用サービスという点が鍵になる。

ソフトバンクとして考えると、通話という同社のコア事業に関わる分野をクラウドサービスとはいえ、割安で提供することは自らの首をしめることにつながらないのだろうかと感じるが、今井氏は「(法人向けのモバイル回線とUniTalkは)併用できる」と答えている。

確かに、専用の機械が不要で手軽なクラウド型サービスではあるが、その反面利用にはオンライン環境が必須だ。音声通話という側面だけで見てしまえば損失はあるかもしれないが、データ通信の側面で見ればより活性化する可能性がある。

また、ソフトバンクの音声通話を利用するには当然、ソフトバンクとの法人契約が必須だが、クラウド型のサービスであれば、他の通信事業者と法人契約をしていても活用できる。ソフトバンクとしては営業の裾野が広がるというわけだ。

ソフトバンク決算資料

ソフトバンクの2019年3月期決算資料より。ソフトバンクの現在の主力はあくまでもコンシューマー事業だ(赤色の囲みは編集部による加工)。

出典:ソフトバンク

ソフトバンクの2019年3月期の決算資料を見てみると、コンシューマー事業(消費者向け事業)の売上高が2018年通期で2兆6804億7600万円なのに対し、法人事業の売上高は6204億8300万円と2兆円以上もの差がある。

ソフトバンクはこの法人事業の売上増を目指すために多様なユースケースに対応し、かつOffice 365という巨大なプラットフォーム上で日本唯一のサービスを提供することで、自社の販路だけではなく、ほかのマイクロソフトのパートナー企業とも連携していく狙いがある。

(文、撮影・小林優多郎)

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