パナソニックが創業4年・社員24人、浜松のロボット・スタートアップと組む狙い

樋口泰行社長

リンクウィズとの協業について説明するパナソニック・コネクティッドソリューションズ社の樋口泰行社長。

撮影:小田垣吉則

2万6000人の従業員を抱えるパナソニックのカンパニーのひとつ、コネクティッドソリューションズ社がパートナーに選んだのは、創業4年、社員24人のスタートアップだった。

パナソニック・コネクティッドソリューションズ社は6月17日、産業用ロボットのソフトウェア開発に取り組むLINKWIZ(リンクウィズ)と共同事業の開発をはじめると発表した。

リンクウィズが手がけるのは、ロボットが画像から物体の形を自動的に認識し、切断、溶接、検査といった工程の自動化を図る技術だ。

同社に対しては、パナソニックのほか、官民ファンドINCJ、SMBCベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインなどが出資した。

2017年春に日本マイクロソフトの会長を務めていた樋口泰行氏が、コネクティッド・ソリューションズ社の社長に就任。カンパニー内で進められるさまざまな施策は「樋口改革」とも呼ばれる。

樋口社長は「(パナソニックは)外のパートナーとの親和性が高い会社だったかというと、そうでもなかった。いろんな方々とコラボレーションできる体質、俊敏性を持って、強いパナソニックならだれでも付き合ってくれるだろうではなく、組みたいなと思われる会社でないと」と話す。

ロボットが画像を見ながら動きを修正

樋口、吹野

リンクウィズの吹野豪社長(右)と、パナソニック・コネクティッドソリューションズ社の樋口泰行社長。

撮影:小田垣吉則

「いなか者で、この場所で緊張しています」

6 月17日午後、東京・汐留のコネクティッドソリューションズ社の本社で開いた記者会見で、リンクウィズの吹野豪社長はこう、切り出した。

リンクウィズは、多くの町工場が並ぶ静岡県浜松市で、吹野社長ら3人が2015年に立ち上げた。

製造業の加工の現場では、すでにたくさんのロボットが働いているが、その動きを教え込む「ティーチング」という作業が必要だ。

形が複雑な部品に溶接などの加工を施す際には、ちょっとしたずれが生じると不良品になる。

そうなると、長い時間をかけて、再びロボットの動きを修正することになる。

作業の対象となる部品を3D画像として認識し、ソフトウェアがロボットの動きを自動的に修正する。この技術は、加工した技術の検査にも使うことができる。

吹野社長は「人間が、目で見て考えて、動きを変える。このプロセスをデジタルで行うことができる」と話す。

樋口社長も溶接出身

溶接サンプル

リンクウィズの技術を用いた溶接のサンプル

撮影:小田垣吉則

パナソニック側は、60年前から溶接をはじめとした熱加工を事業のひとつとしてきた。1980年にパナソニックの前身である松下電器産業に入社した当時、樋口社長は溶接部門の技術者だった。

今回の共同事業は、パナソニックが育ててきた熱加工の技術や経験と、リンクウィズのソフトを組み合わせる狙いがある。

製造現場でロボットを使うには、事前の準備にあたるティーチングに膨大な手間と時間がかかる。技術者たちの経験やカンに頼ってきた分野でもある。

リンクウィズのソフトの導入で、「これまで1カ月半かかっていたロボットの立ち上げが1週間でできるようになる。町工場であれば3日かかっていたティーチングが半日で終わる」(パナソニック)という。

今後、パナソニック側のネットワークを使って、中国や北米、欧州でのリンクウィズの技術の展開を進める方針だ。

(文・小島寛明)

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