Google for Startups Campusのイメージ図。
提供:Google
グーグルは、日本でのスタートアップ支援の取り組みを強化する。その一環として6月18日、「Google for Startups Campus」を東京・渋谷の複合施設「渋谷ストリーム」にて2019年内にオープンすると発表した。
Google for Startups Campusは2011年にスタートし、現時点ではロンドン、スペイン・マドリード、ブラジル・サンパウロ、ソウル、イスラエル・テルアビブ、ワルシャワの6拠点が存在し、東京・渋谷で7拠点目となる。
グーグルによる無償のスタートアップ支援
グーグルは、渋谷のGoogle for Startups Campusも、起業家たちが集まる重要拠点になることを目指す。
提供:Google
Google for Startups Campusは、アーリーからグロースステージ(創業初期から拡大期)のスタートアップを対象とし、コミュニティーの構築やグーグルの専門チームとのメンターシップといった各種支援や、物理的な働く場所を無償で提供するもの。
また、実施されるプログラムの中でも「Google for Startups Residency Program」と呼ばれるものは、3カ月または6カ月単位でスタートアップ企業をCampus内に招待し、より具体的な製品開発の支援も行っていくとしている。
テレビ会議でGoogle for Startups Campusについて説明したGoogle for Startups Partnerships Managerのマイケル キム氏。
撮影:今西翼
グーグルでAPAC(アジア太平洋)地域のスタートアップ事業を担当するマイケル・キム(Michael Kim)氏は、
「グーグルにはほかに収益を上げるチームがおり、東京のキャンパスでの収益化は考えていない」
「(グーグル自身もスタートアップから始まった企業として、スタートアップ支援は)我々のDNAの一部として、社員に対しても時間をかけて支援するようにと、伝えている」
と、具体的なビジネスが目的ではないと強調している。
日本のスタートアップの発展に寄与できるか
2018年にグローバルでGoogle for Startups Campusがもたらしたもの。
撮影:小林優多郎
グーグルによると、Google for Startups Campusでは2018年の1年間で、4550人の雇用創出、約8億ドル(約866億円)の資金調達を達成しているという。
また、Google for Startups Campusで育った企業の中には、韓国のメッセージアプリ大手のカカオが買収したIoTデバイス企業「accio」や2017年に700万ユーロ(約8.5億円)の資金調達をしたスペインのフィンテック企業「Bnext」が存在する。
スペインでモバイルファーストの銀行として勢いのある「Bnext」もGoogle for Startups Campusで成長した。
出典:Bnext
なお、グーグルの日本法人の本社も現在の六本木ヒルズから渋谷ストリームへの2019年内の移転を予定しているが、グーグル広報は「(本社移転とGoogle for Startups Campus開設の)タイミングについては必ずしも同じではない」と回答している。
(文、撮影・小林優多郎)