失敗「ヘルステック」ベンチャー調達額ランキング、1位は1400億円調達したあの企業

シリコンバレーで、ヘルスケア産業はもっとも注目が集まる領域だ。当然ながら、そのすべてが成功するわけではない。ヘルスケア産業で巨額な資金調達をしたものの、経営破綻した13社のワーストランキングはどのようなものだろうか?(データは公開情報をもとにスタートアップの評価サービス「datavase.io」が抽出した。)

13位: Cylene Pharmaceuticals(累計調達額:約1億230万ドル/110億円)

がん細胞

Giovanni Cancemi / Shutterstock

  • サービス概要:癌細胞を除いたり、細胞核をターゲットに様々な病気に役立つ低分子薬品を発見、開発、そして商品化。
  • 失敗理由:一般的に製薬会社の傾向として、低分子薬品(化学合成で製造されており、副作用のリスクが高い)からバイオ医薬品へシフトしていることから、需要が低かった。また、低分子医薬品は副作用が多く、効果やリスクなどの研究に時間や費用がかかったために、予想していた結果が出る前に経営破綻した。

12位: VIRxSYS(累計調達額:約1億291万ドル/111億490万円)

エイズ

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  • サービス概要:HIV/AIDS、癌、遺伝性のある病気を治療するためのワクチンを開発。
  • 失敗理由:一般的に、上記の治療のメカニズムは完全に理解されていないため、実用レベルのワクチンをデザイン、また治験レベルまで持っていくことが難しいとされている。そのためには、費用と時間が必要だが、資金調達に失敗し、経営破綻につながった。

11位: Hana Biosciences(累計調達額:約1億1626万ドル/125億4580万)

がん治療

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  • サービス概要:がん治療に使える多種多様なバイオ医薬品の研究と開発を行っている。
  • 失敗理由:特定の疾患に使うバイオ医薬品の製造が困難の上、品質管理や安定供給が難しい。一般的に、非臨床試験(いわゆる動物実験)に持っていくまでに莫大な費用がかかる。そのために必要な費用の確保が難しく、資金を調達できず財政が悪化。

10位: Juicero(累計調達額:約1億1850万ドル/127億8670万円)

Juicero

Juicero via PR Newswire

  • サービス概要:家庭で本格的かつヘルシーなジュースがつくれるジュースプレスマシンを開発。
  • 失敗理由:Bloombergの記事により消費者から疑いの声が増え人気を失う。本体価格が高価(400ドル、約4万3000円)な上、専用のリフィル(詰め替え用品)購入が必要なため、リピーターや購入可能なターゲットが狭く、思うような需要がなかった。

9位: VaxInnate(累計調達額:約1億3025万ドル/140億5550万円)

ワクチン

Tero Vesalainen / Shutterstock

  • サービス概要:インフルエンザ、マラリア、デング熱、HPV、呼吸器多核体ウイルスなどのウイルスやバクテリアの治療に使うワクチンを開発。
  • 失敗理由:それぞれのウイルスやバクテリアに対してのメカニズムの理解と分析、また防御免疫の解明が必要な上、強毒性の薬の使用は安全性のため使用が困難。長期的な研究費や人件費にかかる資金調達失敗による財政の悪化。

8位: Pelikan Technologies(累計調達額:約1億3720万ドル/148億450万円)

Pelikan Technologies

Pelikan Technologiesについて伝える記事。

出典:thinXXS Microtechnology AG

  • サービス概要:病気の症状を表示したりモニタリングするだけでなく、健康管理の改善もできる持ち運び可能なデバイスの開発を手がける。指先に針を刺すことによって糖尿病のモニタリングがどこでも可能に。
  • 失敗理由:1日に何度も指先から血液を取るため、日常生活に支障が出ることもあり、ユーザーのニーズに合わなかった。ピアノが弾けなくなったとクレームを出すユーザーもいた。

7位: ARYx Therapeutics(累計調達額:約1億3865万ドル/149億6180万円)

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sfam_photo / Shutterstock

  • サービス概要:消化器系疾患や心房細動の治療に用いる医薬品の研究や開発を手がける製薬会社。
  • 失敗理由:スケジュール通りにFDA(アメリカ食品医薬品局)から重要な実験に関する書類が来ず、投資家からの援助の機会を失ったことによる経営破綻。

6位: PixelOptics(累計調達額:約1億4630万ドル/157億8660万円)

PixelOpticsのTwitter画像

  • サービス概要: 焦点や度数を切り替えることのできる電子メガネを開発。
  • 失敗理由:画期的な開発で、多くの注目を集めたが、経営困難による多額の負債と資金調達の失敗による財政の悪化。

5位: Halt Medical(累計調達額:約1億5982万ドル/172億4540万円)

手術室

Gorodenkoff / Shutterstock

  • サービス概要:子宮摘出手術を行うことなく子宮筋腫を取り除くことのできるメディカルデバイスを開発。
  • 失敗理由:筋腫にもさまざまな大きさや種類があることから、全てに対応しつつ、なおかつ、安全性を求めるには、時間と研究費が必要。長期にわたる研究にかかる資金調達に失敗した。

4位: Direct Flow Medical(累計調達額:約1億8376万ドル/198億2950万円)

Direct Flow Medicalのホームページ

画像:Direct Flow Medical

  • サービス概要: 心臓弁にて起こる心臓病のセラピーや治療に役立つメディカルデバイスを開発、提供
  • 失敗理由:資金調達に失敗したため、250人もの従業員を解雇。そのことによって、研究や開発の継続が困難となり、商品開発を終えた。

3位: Biolex Therapeutics(累計調達額:約1億9666万ドル/212億2100万円)

Biolex Therapeuticsのホームページ

  • サービス概要:従来の方法で作り出すことのできなかった複雑な構造のプロテインの構築や、モノクローナル抗体(がん細胞だけを特定して攻撃することができるなど、特殊な機能をもつ抗体)を最適化する技術を開発。これにより、LEX Systemという特許を取得した。
  • 失敗理由:資金調達による失敗。同社の商品は、食欲不振などの副作用と、何も症状がないところから肝硬変が起こるなどのリスクも高く、その解決策にコストがかさんだ。予想していた結果を出す前に研究続行が不可能になった。

2位: Jawbone(累計調達額:約9億8379万ドル/1061億5600万円)

awboneのTwitter画像

画像:Jawbone

  • サービス概要:オーディオ関連の製品を開発する企業としてスタート。Bluetoothスピーカーのメーカーとして人気を集め、その後アプリと連携してユーザーの運動量を図るヘルストラッカー系ウェアラブルデバイスを開発。
  • 失敗理由:度重なる製品の故障だけでなく、スマホへの需要が高く、短期間で利用をやめるユーザーが続出。ターゲットが「一般的なユーザー」と広すぎたため、Apple Watchの登場や、ライバル会社(Fitbit)とのトラブルにより人気を失った。

1位: Theranos(累計調達額:約13億6850万ドル/1476億6700万)

エリザベス・ホームズ

「セラノス」創業者のエリザベス・ホームズ。

Andrew Burton / Getty

  • サービス概要:「指先の一滴の血液で200種類の病気を診断」できるという小型診断器エジソンを開発した血液検査のベンチャー企業。
  • 失敗理由: CEOであり、創業者であったエリザベス・ホームズらによる研究データの改ざんや捏造による詐欺が判明。SEC(米証券取引委員会)から約7億ドル(756億円)を不正に調達したとして提訴され、ホームズは同社トップの座を降りることになり、同社は多額の負債とともに正式に解散した。

(文、datavase.io)

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