エルエルビーンの有名なビーン・ブーツは、今もメイン州にある2つの工場で作られている。
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- エルエルビーンはアメリカのアウトドア・ブランドの象徴。
- 同社はビーン・ブーツで大成功を収めている。2010年代中頃にはしばしば売り切れていた。
- 同社CEOのスティーブ・スミス氏によると、ビーン・ブーツの成功は同社のビジネス姿勢についての教訓であり実例となった。
エルエルビーン(L.L.Bean)はアメリカの象徴。
そして、ビーン・ブーツ以上に同社を象徴する製品はほかにない。レザーのアッパーとゴム製ボトムを備えた、どんな天候でも頼りになるブーツ。
ビーン・ブーツは2010年代半ば、非常に人気があった。毎年、売り切れていた。
「ビーン・ブーツの模倣品が数多く登場し、我々の最も歴史ある、最も有名な製品にいろいろと手を加えていた」とCEOのスティーブ・スミス(Steve Smith)氏はBusiness Insiderに語った。
これに対し同社は、今もメイン州にある2つの工場で作られているブーツの生産能力の増強に資金を投入した。ゴム製ボトムを作るために、新たに従業員を雇い、新しいマシンと設備に数百万ドルを投じた。
「2014年、15年、16年は、毎年完売だった」とスミス氏。
「我々は考え方を変え、完売を良いことと捉えることにした。そして、一定量のブーツを作り、もし完売したら、それでOKと考えることにした。我々はビーン・ブーツにイノベーションを加えたいと考えている」
同社はこの新たな取り組みを「小ロット・ブーツ」と呼んでいる —— ユニークな機能やカラーの限定バーションだ。
「クラフトビールを手本にした」とスミス氏は述べた。
以来、ビーン・ブーツ人気は少し落ち着いている。同社は2017年、2018年の販売目標として100万足を掲げたが、スミス氏によると現在の販売数は年間65~70万足。
だが、同社はまだビーン・ブーツから教訓を得ている。
「ビーン・ブーツは会社全体のポジショニングを決める。歴史ある、伝統的な製品だが、レベルアップし続け、トレンディーであり続け、クールであり続けている。それが成功を導いている」
またスミス氏はビーン・ブーツの起源の話をすることも好きだ。エル・エル・ビーンの創業者、レオン・レオンウッド・ビーン(Leon Leonwood Bean)はゴム製のソールとハイキング・ブーツのアッパーを組み合わせ、2つを縫い合わせて、防水性と快適さを実現した。
「我々は今でも同族経営、こうした話や会社設立の話は今でも企業カルチャーや製品づくりに浸透している。我々が従っている教訓のすべてが、初代ビーン・ブーツから生まれている」
スミス氏はまた、市場の飽和についても心配していない、「なぜなら、我々はまだ規模が小さいから」と語った。
「我々のブーツ、我々のジャケットが永遠に続くことを願っている。これからも人々は外に出かけ、活動する。いつものように、顧客が我々の製品の品質に満足してくれれば、顧客は友人や家族に薦めてくれる」とスミス氏は述べた。
またスミス氏は最後に次のように付け加えた。
「心配なことがあるとすれば、ジャケットが3億着売れてしまうこと。アメリカ人全員がジャケットを持っていることになってしまう。だが、そのような日が来るとは思っていない。そんな日が来たら大変なことだ」
(翻訳:Ito Yasuko、編集:増田隆幸)