アメリカのジャレッド・クシュナー大統領上級顧問。
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トランプ米大統領の娘婿で、同政権の親イスラエル政策推進を担うとされるジャレッド・クシュナー大統領上級顧問が、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラの独占インタビューに応じた。記事は6月25日(日本時間)早朝に公開された。
クシュナー氏はインタビューの冒頭で、
「イスラエル・パレスチナ間で長いこと続いてきた紛争を解決することは不可能ではない」
と断言。
また、在イスラエル米大使のデービッド・フリードマン氏が6月8日、米ニューヨーク・タイムズのインタビューに対し、イスラエルは「パレスチナ自治区ヨルダン川西岸の一部を併合する権利がある」との発言との整合性について問われると、クシュナー氏は両国間の紛争解決は可能との見方をあらためて繰り返した上で、次のように語った。
「ただし、何らかの解決があるとすれば、それは『アラブ和平イニシアティブ』の延長上にはないのだということを、皆が認識する必要があると思う」
「もしそのような解決ができるのであれば、とっくの昔にそうなっていただろう」
※アラブ和平イニシアティブ……2002年にアラブ連盟(アラブ諸国の地域協力機構)が採択。イスラエルが、(1)全アラブ占領地から完全撤退すること(2)パレスチナ難民問題の公正な解決および東エルサレムを首都とするパレスチナ独立国家樹立を受け入れれば、アラブ諸国が「イスラエルとの紛争終結・和平合意および正常な関係の構築を実施する」ことを提案した。
アメリカにはイスラエルの決定を承認する権利がある
6月24日、パレスチナ自治区ガザ地区にて。アメリカが提出した中東和平案に抗議し、トランプ大統領の風刺画を燃やす市民。
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さらに、トランプ大統領が2017年12月にイスラエルの首都をエルサレムであると宣言したこと(国連やEUはじめ諸国はこの宣言を非難している)について、
「イスラエルは主権国家である。主権国家は首都をどこに置くかを(自主的に)決定する権利をもつ。また、アメリカは他の主権国家の決定を承認する権利をもっている。だから、そのようにしたまでだ」
と発言。
一方、2018年5月に在イスラエル米大使館をテルアビブからエルサレムに移したことについて、クシュナー氏は、
「(エルサレムの所属を含むパレスチナ国家とイスラエルの国境線を決定する)最終地位交渉には影響しない」
と語った。
アルジャジーラはインタビューの全文を6月27日に公開するという。
(文・川村力)