20代の8割「70歳まで働きたくない」。老後不安でも「20代は資産運用より自分への投資を」と専門家

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老後に2000万円の蓄えが必要との金融庁報告書もあったが、そんな備えが無理ならば、何歳まで働けばいいの?

撮影:今村拓馬

人生100年時代とはいえ、30代の6割以上、20代の会社員の8割以上が「70歳までは働こうとは考えていない」——。

「公的年金だけでは、老後のお金は2000万円足りない」などとした金融庁の報告書が世間を騒がせ、老後の生活設計に関心が高まる中、外資系人材エージェントのロバート・ウォルターズ・ジャパンが実施した「人生100年時代の働き方」調査で、そんな心情が明らかになった。

政府は、70歳までの定年延長や再就職支援を企業に義務付けるなど、希望する高齢者が70歳まで働けるようにするための法整備を進めている。働く意欲のある高齢者を増やし、社会保障費の伸びを抑えたい考えだ。

ところが「70歳まで働きやすい社会」を推し進めたい政府の思惑とは裏腹に、20〜30代の比較的若い年代は、「そんなに働き続けるつもりはない」という実態が浮がびあがってくる。

調査はロバート・ウォルターズ・ジャパンが国内企業及び外資系の日本法人で正社員として働く566人を対象に行った。調査実施期間は、2019年6月3日〜6月10日。金融庁の、騒動となった報告発表があった日からの1週間だ。

60歳以降の仕事について「何歳まで働こうと考えていますか」と聞いた質問では、全体の85%が「少なくとも65歳までは働く」と回答。

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20代の8割以上、30代の6割以上が「70歳まで」または「71歳以降まで」も働くつもりはない

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撮影:今村拓馬

政府が推し進めようとしている「70歳まで働ける」人生については、年代で賛否が分かれている。20代では、「70歳まで」もしくは「70歳以降」も働くとの考えを示したのは、20代全体の18%で2割を切った。30代では、38%と4割未満だった。

一方、50代と60代では過半数が「70歳またはそれ以上まで働く」

高齢者

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実際に「老後」が身近になるにつれ、70歳まで、あるいはそれ以上まで働くという「生涯現役」的な考え方に近づくのか。ビジネスの「中核」を担うともされる40代では、「70歳またはそれ以上まで働く」は50%と真っ二つだった。

「30代、40代、50代と年齢層が上がるごとに『60歳以前に退職』を選んだ回答者の割合が減っている」と、調査では指摘。

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撮影:今村拓馬

ちなみに、働くのは「60歳以前まで」との回答は、30代で25%だったのが、40代では11%、50代、60代では一ケタの少数派に止まっている。年齢を重ねるにつれ、60歳以降も働き続ける人生が、よりリアルになっていくということか。

では、若年層は老後をどう生きるつもりか。若年層(30代以下)の男性では、投資をしている人の割合が他の年代より高いという調査結果も。

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出典:三菱UFJフィナンシャル・グループ「金融リテラシー1万人調査」

三菱UFJフィナンシャル・グループ「金融リテラシー1万人調査」(2018年9月、MUFG資産形成研究所)によると、「投資を検討した人」も含めると、投資実施行動をしている30代以下の男性の割合は7割。40代男性、50代以上男性のいずれの層よりも高かった。

ただし女性で見てみると、逆に若年層は投資行動が比較的、弱い。30代以下は40代、50代以上より相対的に投資実施比率は低くなる。

自身のライフプランを念頭に、生活設計への関心も30代以下では男女ともに、他の年代よりも高い。

兄弟

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金融リテラシー1万人調査では、30代以下の女性で7割、30代以下の男性で約6割強が、生活設計に「非常に関心がある」「ある程度関心がある」と答え、いずれも上の年代を上回った。

公的年金だけでは「老後資金が2000万円不足問題」はじめ、人生100年時代、70歳継続雇用など、社会には、長い老後を想像させるワードがあふれている。多くのライフイベントが控えている年代でもあり、必然的に、生活設計に目がいくのか。

いつまで働き、いくら貯めればいいのか

こうして見てくると、超少子高齢化社会で、何歳まで働くのか。いくら老後資金があればいいのか。その資金をどう貯めればいいのかなど、これからの人生が長く、低成長時代を生きる若年層ほど、不安になりそうだ。

実際、20代からは「人間らしい生活を送るための2000万円など、貯まる気がしない」(20代会社員女性)「とにかく投資で増やすしかない」(30代会社員男性)といった、不安の声も聞かれる。

柴山さん

撮影:滝川麻衣子

「大企業に勤める若手でも、上の世代同様の退職金はもらえないという前提で行動した方が、現実的で合理的ではある。しかしだからと言って、20代が焦って資産運用を始める必要はないと思います」

そう話すのは、スマホで資産運用サービスを手がけるウェルスナビの柴山和久CEOだ。

「若い時にすべきは自己投資。英語だったり、プログラミングだったり、思い描いているキャリアを築いていくことが、一番の最優先です。期待リターンが年率4%の投資を、今の20代が優先してやるべきとは思わない。自分自身の家族やキャリアに優先してお金を使って欲しい。そうやって確かなキャリアや人生を作っていく」

若いうちは自分への投資が一番老後への備えになるというのが、柴山さんの考えだ。人生のフェーズによって、必要な資産形成のあり方も、変化するという。

一部の数字が一人歩きしてしまった面が否めない、「老後資産2000万円問題」。ただ、働き方、資産形成、人生をどう生きるかについて、考えるきっかけを与えているとは言えそうだ。

(文・滝川麻衣子)

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