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2016年の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めて以来、イギリス経済は世界の注目を浴びてきた。
以降、ブレグジットはイギリス企業を国外の別のEU加盟国へと向かわせ、イギリスのポンドを急落させている。
EU離脱でイギリス経済がどうなるかはよく分からない。メイ首相は議会で離脱協定をまとめることができず、5月に辞任を発表、後任にその仕事を引き継ぐことになった。
あなたが知らないかもしれない、イギリス経済に関する9つの事実を紹介しよう。
1. 面積の大きさでは世界80位だが、イギリスのGDPは世界5位
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世界銀行によると、2017年のイギリスのGDP(国内総生産)は2兆6400億ドル(約286兆円)だ。これはアメリカ、中国、日本、ドイツに次ぎ、5番目に大きい。
イギリスの面積が世界80位であることを考えると、そのGDPのすごさが際立つだろう。
2. 産油国としては知られていないかもしれないが、イギリスの2018年の原油輸出は世界3位
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イギリスと聞いて、緑の丘と草を食む羊たちを思い浮かべるかもしれない。だが、海底石油掘削とブレント原油も、イギリス経済の一部だ。
マサチューセッツ工科大学(MIT)の経済複雑性観測所(Observatory for Economic Complexity: OEC)によると、2018年の石油輸出は178億ドル相当だった。CIAのワールド・ファクトブックは、2016年の1日あたりの産油量を93万3000バレルと推計し、イギリスを世界21位の原油生産国としている。
3. イギリスの通貨ポンドは、2016年のEU離脱の国民投票以降、対ドルで14%その価値を失った
Reuters
2016年6月のEU離脱の国民投票以降、ポンドは対ドルで14%下がった。BBCはブレグジット関連の通貨不安でイギリス人(世帯)は実質的に900ポンド(約12万円)を失った計算になると報じている。
4. "合意なき離脱"は、イギリス経済を2008年以上の不況に陥れる
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ブレグジットは、その通貨だけでなく、イギリス経済全体に大きな影響を及ぼしている。イギリスが"合意なき離脱"をすれば、GDPは8%下がり、失業率は7.5%に上がると、イングランド銀行は見ている。経済協力開発機構(OECD)も同様の見方を示している。
5. イギリスの人口は世界21位だが、ビリオネアの数では世界5位
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イギリスには2018年時点で145人のビリオネアがおり、これは世界で5番目に多い数だ。イギリスの人口は6700万人なので、約46万2000人に1人はビリオネアという計算になる。これは、46万6000人に1人がビリオネアのアメリカとほぼ同じ割合だ。
6. バッキンガム宮殿は世界で最も高い住宅
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イギリスは世襲財産が多い。雑誌「アーキテクチュラル・ダイジェスト(Architectural Digest)」によると、イギリス王室の人々が暮らすバッキンガム宮殿は、15億5000万ドル相当と、世界で最も高い住宅だ。CNBCはイギリス王室の純資産を1兆ドルと推定していて、これを上回るのはサウジアラビア王室のみだ。
7. イギリスでは35万1000ドルで島が買える
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お金がもう少しなくても、イギリスでは島を買うことが可能だ。
ノルウェーやスコットランドに近い、イギリスの最北端に位置するシェットランド諸島にあるリンガ島は、約35万1000ドルで売りに出されている。
8. イギリスの国民保健サービス(NHS)は、世界で5番目に大きい雇用主
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国民保健サービス(NHS)はイギリス各地で、無料で医療を提供している。そして、数多くの雇用を提供している。雑誌「フォーブス」は、150万人の従業員を抱えるNHSを世界で5番目に大きい雇用主とランク付けしている。
9. イギリスでは大半の商品・サービスに20%の消費税がかかる
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消費税10%に文句を言う前に、イギリスの付加価値税(VAT)を考えてみよう。イギリスでは、大半の商品・サービスに20%の税金がかかる。そして、VATはあらかじめ価格に含めておかなければならないため、気付かないうちに支払っている可能性もある。
だが、イギリスのVATは世界一高いわけではない。アイスランド、ギリシャ、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン、デンマーク、クロアチアでは、消費税は24~25%。インドでは一部高級品に28%の消費税を課している。
イギリスでは、書籍、雑誌、新聞といった出版物はVATの対象外だ。
[原文:9 mind-blowing facts about the United Kingdom's economy]
(翻訳、編集:山口佳美)