遺体の見つかった現場周辺を封鎖する警察。
AP
- 川で溺れた父親と少女の痛ましい写真が、アメリカで大きな批判を巻き起こしている。
- エルサルバドル出身のオスカル・アルベルト・マルティネス・ラミレス(Óscar Alberto Martínez Ramírez)さんと1歳11カ月の娘バレリア(Valeria)ちゃんは6月23日(現地時間)、アメリカとメキシコの国境沿いの川を渡ろうとして溺れた。
- 親子の遺体は腕を組んだ状態で見つかり、ジャーナリストのJulia Le Duc氏が撮影。メキシコの日刊紙「ラ・ホルナダ(La Jornada)」に最初に掲載された。その後、この写真はアメリカ各地で報じられた。
- 写真は、アメリカに渡るために亡命希望者がどれほどの危険を冒しているかを示している。
- 2020年の大統領選を目指しているベト・オルーク氏は、親子の死はトランプ大統領に責任があると攻撃するなど、政権の国境政策に対する批判が相次いでいる。
アメリカとメキシコの国境沿いを流れるリオグランデ川の川岸で溺死した移民親子の痛ましい写真は、アメリカの国境政策に対する大きな批判を巻き起こしている。
エルサルバドル出身のオスカル・アルベルト・マルティネス・ラミレスさんと1歳11カ月の娘バレリアちゃんは6月23日、国境沿いの川を渡ろうとして溺れた。
親子の遺体を撮影したのは、ジャーナリストのJulia Le Duc氏で、メキシコの日刊紙「ラ・ホルナダ(La Jornada)」に最初に掲載された。遺体は24日、メキシコ北部マタモロスの土手で、腕を組んだ状態で見つかった。マタモロスの向かい側はアメリカ、テキサス州ブラウンズビルだ。
写真はソーシャルメディアで拡散し、怒りの矛先はトランプ大統領の移民の扱いに向かった。
ニューヨーク・タイムズは26日の1面にこの写真を掲載し、「恐ろしく、胸が張り裂けるようだ」との言葉を添えた。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、この写真について「受け入れがたい。誰にでも亡命を求める権利がある」とツイートした。
バチカンも26日、ローマ法王は「彼らの死に心を痛めており、彼らのために、そして戦争や困窮から逃れようとして命を落とした全ての移民のために祈っている」との声明を発表した。
2020年の大統領選を目指しているテキサス州選出の元下院議員、ベト・オルーク氏は「こうした死の責任はトランプ大統領にある」とツイートした。
その上で「トランプ政権がわたしたちの法に従うことを拒否したことで —— 難民が通関手続地で亡命を申請することを阻止している —— 、家族は通関手続地の間を越えることになり、より大きな苦痛と死をもたらしている。わたしたちの安全に利することなく、人道を犠牲にしている」と付け加えた。
同じく2020年の大統領選を目指しているカリフォルニア州選出のカマラ・ハリス上院議員は25日夜、「亡命を求めるこうした家族は、しばしば過激な暴力から逃れてきている。彼らが着いたときに何が起こるか? トランプ大統領は『自分が来た場所に戻れ』と言う」とツイートした。
「これは非人道的だ。子どもたちが死んでいる。これはわたしたちの道徳的良心を汚すものだ」
メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(Andrés Manuel López Obrador)大統領は25日、「非常に残念だ。我々は常に、アメリカで拒否されることが増えている、途中で命を落とす人もいると訴えてきた」と述べた。
トランプ大統領の主張に同調し、Foxニュースの元司会者ビル・オライリー(Bill O'Reilly)氏は連邦議会を非難した。
オライリー氏は「リオグランデ川に横たわる移民の父親と少女の悲惨な写真は、連邦議会がこの生きるか死ぬかの状況への対応に失敗した事実を、全てのアメリカ人に気付かせるべきだ」とツイートしている。
(翻訳、編集:山口佳美)