ワンオペ助長する夫婦のNGワード。妻も自爆言葉を発している

家族写真

Taiyou Nomachi/Getty Images

仕事も家庭も、ことをスムーズに運ぶ要は、結局コミュニケーションに行きつく。日々の言葉の積み重ねがお互いの関係性を作り上げていくからだ。

同時に気をつけたいのが、知らぬ間に発してしまうネガティブな信号。これが、相手の家事のワンオペを助長したり、逆に自分自身をワンオペ地獄に堕とすことになるとツライ。

拙著『家事のワンオペ脱出術』にも書かせていいただいたが、あうんの呼吸や以心伝心なんて、残念ながらファンタジー。誰かがやってくれれば、「自分がやらなくてもOK」だと思うのが家族。そんな状況を回避するために日々の暮らしの中で意識したい、「主に家事を相手に任せている側」「主に家事を担う側」、それそれのNGワードを拾ってみた。

夫が陥りやすいその気はないのに逆なで系

1.「お疲れさま」

家族で過ごしている様子

shutterstock/milatas

「ありがとう」に比べると、反感を買いやすいのが「お疲れさま」の一言。

労をねぎらったつもりでも、これを「上から」だと感じる女性は多い。言われた側は、「労力ゼロ」「口だけ」「何もしないで済ませるための一言」だと感じるのだ。いっしょに家事をしたあとの「お疲れ」はいいが、相手が家事を負担しているところへの一言としては十分注意したい。

2.「任せるよ」「どっちでもいいよ」

相手にそう言われると「ずるい」と感じると言った女性がいる。「うちの夫は、『任せる』と言って逃げるのよ」という人もいる。どちらがいいか、どうしたらいいかと尋ねる時点で、質問する側はすでに具体的な答えがない、困った状態にいる。

だから、意見を求めているのだ、ということに気づかずに答えると、責任を回避した、ずるい、適当だ、という話になりかねない。また、任せた場合は、結果まで任せる。その結果起こったことにネガティブなコメントをしないことも重要だ。

3.「~~でいいよ」

そして本日の夫。私「ピラフと白いご飯どっちがいい?」夫「どっちでもいいよ」私 イラッ「どっちでもいいじゃなくて選んでよ」夫「じゃあピラフでいいよ」

出ましたーーーーーー!ピラフ「で」食わんでよろし!

こちらがTwitterで育児の話をしているtomeさんのツイート。「いいか」と聞かれて「ピラフがいい」と答えればことは穏やかに終わったはずだ。が、「が」を「で」と言ってしまうと、「まぁ、こっちで我慢するか」感が伝わってきて、作る側はかなりイラっとする。

我が家でも、私の帰宅が遅いときに「作ってくれてもいい、外食でもいいけど」とメールをしたら、「外食でいい」と返信されもめたことがあった。外食がいいと言われれば「忙しい時くらい、外食して乗り切ろう」というポジティブな返信に聞こえるが、外食でいいと言われると、「外食でいいから早く用意してくれよ」と言われているような気持ちになり、だったら自分で作ればいいじゃん、とこちらも返したくなってしまう。

4.「ちょっと」

リビングでの家族写真

Getty Images/kohei_hara

「帰宅したら、ちょっとソファに座って休みたい。それから手伝おうと思っているのに、その前に相手がキレ始める。手伝うよって言っているのに」

この「ちょっと」という時間の感覚が、パートナーとずれることは多い。

例えば「夕飯の後片付けは彼がすることになっているけれど、食後は『ちょっと』テレビを見てからというのが彼のやり方。でも、『ちょっと』のはずが、番組が一つ終わり、二つ目が終わっても動く気配がないと、結局やらないじゃないという気持ちになって私が片付け始め、「今やろうと思っていたんだよ」ともめることになる。」と結婚3年目の共働き女性は語る。

「ご飯の後片付けは、待てて1時間。彼の『ちょっと』がいつまでなのかがわからないと、1日終わって疲れている時は特に待つ気にもなれない」。まして、「今やろうと思っていた」なんて言われると、「絶対思ってないでしょ」っていう気持ちになる」。

これが、「このコーヒー飲んだら」「この天気予報が終わったら」と具体的な言葉だったら、心穏やかに待てるのではなかろうか。こと、日常生活のコミュニケーションでは、「どっちでもいい」「今すぐ」「ちょっと」といった曖昧な言い方を減らすように意識することは重要だ。

言ってはいけない、ワンオペ一直線の自爆系

一方で家事をする側のワンオペを助長してしまう自爆系の言葉もある。

5. 「ごはんできたよ」「洗濯しといたよ」

これらオペレーション報告系は、要注意。報告を受ける立場に慣れてしまうと、相手がやってくれているという認識が徐々に薄くなっていくからだ。日常家事を担っている身からすると、手際の悪いパートナーにやってもらうより、自分が先回りしてやってしまった方が早いことは多い。

多いかもしれないが、先回りし続けていると、相手は先回りされている感覚すらも失ってしまう。せめて、「洗濯しておこうか?」くらいにとどめるのはどうだろう。

6.「今日何時に帰る?」

息子と料理を作る父親

GettyImages/Yagi-Studio

もう一つの自爆系に、相手の予定・ご意向把握がある。「今日何時に帰る?」「明日は何時に出かけるの?」「夕飯、食べたいものはある?」といった言葉だ。

帰宅時間がわからなければ、こちらのペースで食事を準備することになる。が、午後8時に帰ってくるとわかると、それをターゲットに、「その時間には食べられるようにしなくちゃ」という気持ちが働く。相手も、時間を伝えてその時間に戻ってくれば、食事が出来ていることを期待している。「相手の期待値を上げることで、結局自分の生活のペースを相手にあわせなくちゃならなくなる。余計なこと聞かなければそんなことにならないのに」。

結婚して28年という夜型の友人は、朝型のパートナーの出社時間には関知しないという。「何時に出るのと聞くと、食事を準備してという話になるでしょう? でも、私は帰宅も遅いし、彼の出社時間に間に合うように起きて食事を用意するのは無理。だから、彼は彼のペースで起きて、自分のいいように出かけていくの。何時頃帰るかは伝えるけど、何時に出かけるかなんて聞かない」のだ。

詰まるところ「夫婦は他人」。以心伝心は子ども以上に期待できない。だからこそ、丁寧なコミュニケーションは、ワンオペ回避に欠かせないのだ。



佐光紀子:1961年生まれ。繊維メーカー勤務などを経てフリーの翻訳者に。ある本の翻訳を機に、重曹や酢などの自然素材を使った家事に目覚め、研究を始める。主な著書に『キッチンの材料でおそうじする ナチュラルクリーニング』『やめたら、お家スッキリ! モノと手間がグンと減る「楽チン生活」70のヒント』『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』など多数。

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