燃え尽きないために! 「サマー・フライデー」を導入する企業が増えている

笑顔で日光浴をする女性

アメリカでは今年、55%の企業が「サマー・フライデー」を導入しているという。

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  • アメリカでは従業員の働きやすさを考えて、「サマー・フライデー」制度を導入する企業が増えている。
  • 夏の暑い時期の金曜日に仕事を早く切り上げさせたり、休暇を取らせることで従業員の生産性や士気が高まるという。
  • 中には、夏の暑い時期に限らず、1年を通してこうした制度を利用できる企業もある。

労働者のバーンアウト(燃え尽き症候群)が増える中、アメリカではかつてマイナーだった(だが、好評だった)「サマー・フライデー」制度を導入する企業が増えている。

5月の戦没将兵追悼記念日(メモリアル・デー)から9月の労働者の日(レイバー・デー)まで、多くの企業が従業員に対し、金曜日の半休もしくは休暇を取らせている。調査会社ガートナー(Gartner)の調査によると、アメリカでは2019年、55%の企業がサマー・フライデーを導入しているという。2018年の44%から増えた。

Business Insiderでは複数のCEOや人事責任者に話を聞いたが、サマー・フライデーの導入が増えたのは偶然ではないという。

ルイジアナ州ニューオーリンズに拠点を置くマーケティング会社「Online Optimism」のCEOフリン・ザイガー(Flynn Zaiger)氏は、「休暇 —— そして、仕事について考えなくていい時間 —— は、バーンアウトと戦うのに最もいい方法だ」と、Business Insiderに語った。ザイガー氏は、会社の拠点をこの街に置いているのは、リラックスすることを真剣に考えているからだと言う。従業員には、夏の暑い時期に金曜日の半休を4回、好きなときに取らせている。

「サマー・フライデーは1週間の労働時間を減らす一方で、それ以上に従業員の士気を高めることが分かった」と、ザイガー氏は語った。「従業員は早く仕事に取り掛かろうとし、1週間の仕事を全て確実に終わらせようと、朝から効率良く働いている。彼らは、月曜日にはいつもよりさらにリフレッシュした、仕事にすぐに全力で取り組む準備ができた状態で会社に来る」のだという。

まん延するバーンアウトとの闘い

経済協力開発機構(OECD)の統計によると、アメリカは長時間労働の国の1つだ。あらゆる年齢、性別、業界で働く従業員を追跡したこの調査の結果、アメリカ人の2017年の労働時間は、平均1780時間だった。これはOECD加盟国の平均1746時間をやや上回る数字だ(編集注:ちなみに日本は1710時間)。

ドイツ(1356時間)やデンマーク(1408時間)、イギリス(1538時間)といったヨーロッパの国に比べると、アメリカ人は年に200~400時間多く、オフィスで過ごしている。その一方で、7500人近いフルタイムの従業員を対象に行われた2018年のギャラップ(Gallup)の調査では、23%が頻繁もしくは常にバーンアウトを感じる、44%が時々バーンアウトを感じると回答した。

経営心理学者のサラ・トトル(Sarah Tottle)氏は「バーンアウトが増えている」と、ウェブメディアのThe Conversationに書いている。「これは現代の職場においてますます大きな問題になっている。組織のコストだけでなく、従業員の健康にも影響を及ぼしている。士気の低さ、責任転嫁、職場内の政治的駆け引きの増加による有害な職場環境や、長期的な健康リスクの可能性もこれに含まれる」と、トトル氏は言う。

世界保健機関(WHO)は5月、バーンアウトを「症候群」と定義し、初めて医学的にこれを認めた。エネルギーの枯渇もしくは極度の疲労を感じたり、仕事に対する精神的な距離が増したり、仕事に対するネガティブもしくは皮肉な感情を抱いたり、仕事に対する自信がなくなるといった症状が含まれる。

サマー・フライデーがもたらす複数のメリット

サマー・フライデーのコンセプトは、1960年代に生まれたと言われている。夏の暑い時期にニューヨークの広告代理店が従業員に仕事を早く切り上げさせたのが最初だという。福利厚生としてこの制度を提供することが、採用の際の競争力になった。ガートナーの調査によると、2012年から2019年の間にサマー・フライデーを自社で働くメリットとしてアピールした企業は43%増えた。

ワシントン州シアトルに拠点を置き、3万人以上の従業員を抱えるグローバル・コンサルティング会社「アバナード(Avanade)」のCHRO(最高人事責任者)デイブ・ガーテンバーグ(Dave Gartenberg)氏は、スタッフにサマー・フライデーを提供するのに悩む必要などないと、Business Insiderに語った。ガーテンバーグ氏は、「柔軟なスケジュールは、自らの生産性のスイート・スポットを見つけ、仕事以外のやるべきことを管理する自由を与えることで、能力を最大限発揮する助けになる」とし、事前に従業員が自らの仕事を管理していれば「素晴らしいことしか起きない」と言う。

業務時間が減ることでワークフローに悪影響が出そうにも思えるが、マネジメント・サービス会社「ADP」の調査によると、サマー・フライデーを利用した人の66%が、生産性が向上したと答えた。

サウスカロライナ州チャールストンの保険代理店「Senior Savings Network」のCEOクリストファー・ウェストフォール(Christopher Westfall)氏は「うちでは、夏の時期は大半の営業スタッフに金曜日に休暇を取らせるようにしている」とBusiness Insiderに語った。「これは他の平日4日の生産性を上げるだけでなく、彼らが愛する人たちと過ごす時間を増やすことができる」と言う。

サマー・フライデーを通年導入

オンライン求人サービス大手「グラスドア(Glassdoor)」のコミュニティー・エキスパート、サラ・スタッダード(Sarah Stoddard)氏は、「サマー・フライデーを提供することは、会社にとって、夏の時期のワーク・ライフ・バランスの充実を促す方法の1つになり得る」としつつも、上司はこれでバーンアウト対策は完璧だと考えてはいけないと、Business Insiderに語った。

「必要なスキルを持った人材や優秀な人材に広くアピールしたいなら、雇用主はフレックスタイム制やリモートワークといった多様な特典を、1年を通じて提供することを考えるべきだ」と、スタッダード氏は言う。

スターバックスの元人事責任者のトレイシー・ウィルク(Traci Wilk)氏は、「(サマー・フライデーは)なくならないだろう。従業員をいつ、どのように働かせるか、雇用主はますます柔軟になっている」と、Business Insiderに語った。

ウィルク氏は現在、フロリダ州ウエスト・パーム・ビーチの幼児教育の会社「The Learning Experience」 でシニア・バイス・プレジデントを務めている。この会社では夏になると、スタッフは午後2時には職場をあとにするといい、フロリダらしく「ビーチサンダル・フライデー」と呼んでいる。

ウィルク氏は、「これは『一生懸命働いて、一生懸命遊ぶ』という会社の文化や雰囲気を示すものだ」と言い、「さらなる生産性とエンゲージメントの向上のため、雇い主が今後、こうした特典を通年で提供するようになるだろうとわたしは見ている」と語った。

ウィンター・フライデーはいかが?

[原文:'Summer Fridays' are enjoying a chill 43% boom in 2019 — here's why]

(翻訳、編集:山口佳美)

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