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1年以内にさらなる追加関税もあり得る? アナリストたちは貿易をめぐる米中の"停戦"に懐疑的

習近平、ドナルド・トランプ

北京、2017年11月9日。

Thomas Peter - Pool/Getty Images

  • アメリカと中国が通商協議を再開させることで合意したが、キャピタル・エコノミクス(Capital Economics)はアメリカが2020年までに関税を引き上げるだろうと見ている。
  • S&P 500は近い将来、関税の影響によって反発することになるだろうと、キャピタル・エコノミクスやバンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレーのアナリストらは見ている。
  • パイパー・ジャフレー(Piper Jaffray)によると、関税の広まりは世界経済に損害を与えており、無視できないという。

アメリカの金融街のアナリストやエコノミストたちは、米中の通商協議再開が貿易戦争の永続的な解消につながるとの見方に懐疑的だ。

6月29日に大阪で閉幕したG20首脳会議でアメリカのトランプ大統領と中国の習近平国家主席が通商協議を再開させることで合意したあと、アメリカでは7月1日、S&P 500が最高値を更新した一方、逃避先資産は下落した

しかし、複数のアナリストがこれは長続きせず、追加関税が課されるだろうと考えている。

キャピタル・エコノミクスのオリバー・ジョーンズ(Oliver Jones)氏は1日、「全ての中国製品に25%の関税をかけるとの脅しをアメリカは2020年の初めまで維持し、中国は追加関税と関税以外の手段の組み合わせでこれに報復するだろうとの見方を我々は引き続き持っている」と顧客向けのメモに書いた。

過去、関税引き上げの一時休止は、あまり成功していないと、ジョーンズ氏は言う。アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開催された2018年のG20首脳会議での"停戦"は約6カ月しか続かず、アメリカは2000億ドル相当の中国製品に対する関税を10%から25%に引き上げた。

アメリカと中国が交渉再開で合意したことはプラスだが、それが解決につながるとは限らない。現時点では、両者の問題意識を解決できるような案は示されておらず、アナリストたちは関税がさらにエスカレートし、どこかの時点で報復措置が取られるのではないかと考えている。

FXTMのマーケット・アナリスト、ハン・タン(Han Tan)氏は1日、「交渉が決裂もしくは緊張が高まる危険性が将来、どこかの時点で顕在化し、投資家に再び不意打ちを食らわせかねない」と顧客向けのメモに書いている。

加えて、世界経済はまだこれまでの関税によるダメージと折り合いをつけようとしているところだと、パイパー・ジャフレーのクレイグ・ジョンソン(Craig Johnson)氏は指摘する。特に"問題を先送りにする政策"が続けば、一連の関税は今後も世界の成長の足を引っ張り続けるだろうと、ジョンソン氏は書いた。

オッペンハイマー(Oppenheimer)のチーフ・インベストメント・ストラテジスト、ジョン・ストルツフス(John Stoltzfus)氏は、貿易・関税戦争は低コストな戦いでないことがより鮮明になったと、1日の顧客向けのメモに書いている。

専門家の中には、関税によって両国が被ったダメージから、今回の"停戦"はこれまでとは違うとの声もある。

パンテオン・マクロエコノミクス(Pantheon Macroeconomics)のチーフ・エコノミスト、イアン・シェパードソン(Ian Shepherdson)氏は1日、「2020年の大統領選のカギを握る州で支持が不支持を下回っていることを考えると、トランプ大統領はこの夏の間に中国と協定を結ぶ可能性が高い」と顧客向けのメモに書いた。

だが、一部のアナリストはそれでも、今後2、3カ月の間に市場は再び下落するだろうと見ている。モルガン・スタンレーのチーフ・US・エクイティー・ストラテジストのマイク・ウィルソン(Mike Wilson)氏は、第3四半期に10%株価が下落するとの見方を引き続き持っている。バンク・オブ・アメリカのアナリストたちは、通商協議がうまくいけばS&P 500は3000を超えるが、追加関税が課されればS&P 500は5%以上下がるだろうと見ている。

[原文:Analysts are widely skeptical of the US-China trade truce — and some warn that more tariffs are coming within a year]

(翻訳、編集:山口佳美)

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