C-130ハーキュリーズ ── 特殊部隊、南極への補給物資、人道支援物資を運び、山火事と戦う“多目的輸送機”とは

C-130Jスーパー・ハーキュリーズとチーム・ラムシュタイン

ドイツ・ラムシュタイン空軍基地の第37空輸飛行隊所属のC-130Jスーパー・ハーキュリーズから降りるチーム・ラムシュタインのメンバー。フランス、シェルブール・モーペルテュ空港にて。2019年5月30日。

Senior Airman Kristof J. Rixman/US Air Force/DVIDS

  • 輸送機C-130は、現在ロッキード・マーティンが製造している。1956年から運用されており、ロールス・ロイス製エンジンを備える。 
  • C-130は、負傷者の輸送、南極への物資補給、消火活動など、さまざまな用途に使用される。天窓が付いたモデルもあり、星を頼りに飛行できる。
  • C-130J-30スーパー・ハーキュリーズと南極観測支援機LC-130が、6月のパリ国際航空ショーで展示された。

パリ国際航空ショーにアメリカが誇る輸送機、C-130J-30スーパー・ハーキュリーズと南極観測支援機LC-130が登場。どちらも長きにわたって使われているC-130ハーキュリーズの派生モデル。C-130は1956年から運用されているが、燃料補給から人道支援までさまざまなミッションを遂行し、米軍で重要な役割を担い続けている。

C-130J-30はC-130の最新バージョンC-130Jの胴体を伸ばしたストレッチモデル、全長は約34m、最高出力4700馬力のロールス・ロイス製AE2100D3ターボプロップエンジンを4基備える。空軍によると、同機は「敵地に部隊と装備を空中投下するための主要な輸送手段」。だが、空挺部隊を敵地に送るだけでなく、気象観測、医療救助、災害支援、そして南極への物資補給などさまざまな用途に使われている。

C-130は悪天候時の任務を想定しており、非常に多目的に使用できる。例えば、ニューヨーク空軍州兵の第109空輸航空団は、スキーを装備したLC-130を使い、南極で「オペレーション・ディープ・フリーズ(Operation Deep Freeze)」を遂行、当地でアメリカ国立科学財団(National Science Foundation)の活動をサポートしている。

同航空団の2019年のミッションでは、同機はNP-2000プロペラを装備して離陸時の推力を強化、雪の際にも離陸しやすくなったとエア・フォース・マガジン(Air Force Magazine)は伝えた。ロッキード・マーティンによると、LC-130はスキーを装備した飛行機では世界最大

パリ国際航空ショーに登場したC-130J-30スーパー・ハーキュリーズと南極観測支援機LC-130を見てみよう。

C-130の派生モデル、LC-130はスキーが取り付けられている —— 南極でのミッションの必需品。

C-130の派生モデル、LC-130はスキーが取り付けられている —— 南極でのミッションの必需品。

パリ国際航空ショーに展示されたLC-130。2019年6月。

Sinead Baker/Business Insider

LC-130にはスキーが付けられている —— オペレーション・ディープ・フリーズを支援するために南極に着陸する際に欠かせない。同機はニューヨーク空軍州兵が使用、南極にいるアメリカ国立科学財団に物資を運ぶ。

愛称は「スキー・バード」、1976年に製造された。

LC-130

LC-130。2019年6月。

Sinead Maker/Business Insider


LC−130の天窓は天測航法のため。

LC-130

LC-130。2019年6月。

Sinead Baker/Business Insider

乗員は航法士を含めて4人。南極ミッションは視界が悪いことも多いため、航法士が不可欠。ニューヨーク空軍州兵の第139空輸飛行隊のダニエル・ウルバンスキ少尉によると、このチームは空軍で唯一、天測航法を行う。

「昔ながらのやり方がこのミッションには合っている」と少尉はINSIDERに語った。

C-130J-30の4基あるエンジンのうちの2基。

C-130J-30

パリ国際航空ショーに展示されたC-130J-30。2019年6月。

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C-130J-30はロッキード・マーティンが製造、ロールス・ロイス製AE2100D3エンジン搭載している。C-130Jは、C-130よりも上昇性能、最大速度が向上し、より短い距離で離着陸できる。

ガラスディスプレイにプロジェクターがコントロールパネルを映し出す。パイロットは空から目を離さずに済む。

C-130J-30

C-130J-30。2019年6月。

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コックピットのディスプレイは、カラーの多機能LCDヘッドアップ・ディスプレイ、デジタル・ムービング・マップ・ディスプレイ、低電力カラー・レーダー、2つの慣性航法装置。

ガラスディスプレイは操縦士と副操縦士の双方の前に。

C-130J-30

C-130J-30。2019年6月。

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コックピットのアナログコンパス。

C-130J-30

C-130J-30。2019年6月。

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スイッチ類。

C-130J-30

C-130J-30。2019年6月。

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C-130J-30をはじめとするC-130Jモデルはすべて夜間飛行に完全対応。暗視ゴーグルを使用して操縦する。 

電気系統の故障に備えて、アナログ計器も装備。

C-130J-30

C-130J-30。2019年6月。

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貨物室の床にはローラーが付いており、消防車や全地形対応車(ATV)などを素早く積み込むことができる。

C-130J-30

C-130J-30。2019年6月。

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C-130Jの派生モデル、C-130J-SOFは特殊作戦部隊(SOF)のミッションに使用される —— ロッキード・マーティンによると、困難な地域にSOF部隊と物資を送り込むことに使用される。ヘルフアィアミサイルや30mm機関砲、空中給油の装備、装甲システムも装備。

C-130J-30は完全武装の空挺隊員92人が搭乗できる。

C-130J-30

C-130J-30。2019年6月。

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C-130J-30はC-130Jよりも胴体が約4.6m延長され、貨物室が広くなっている。C-130J、C-130J-30のどちらも、多用途ヘリコプターや6輪装甲車を運ぶことができるの輸送が可能。

完全武装でない場合、定員は最大128人。

C-130J-30

C-130J-30。2019年6月。

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貨物室は乗員のベッドにもなり、「空の救急救命室」とロッキード・マーティンはアピールしている。最大97のパレットと医療スタッフを運ぶことができる。機内で手術はできないが、患者を安定した状態で運ぶことができる高度で飛行する。

4万4500ポンド(約20トン)の積載で、最大2万6000フィート(約8000m)まで上昇可能。

空挺隊員に飛び出すタイミングを知らせるライト。

C-130J-30

C-130J-30。2019年6月。

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貨物室のランプ。

C-130J-30

C-130J-30。2019年6月。

Sinead Baker/Business Insider

この機体は最近、モザンビークで人道支援ミッションを行い、援助団体に配給用の物資を届けた。C-130Jの派生モデルは消火活動にも使われる。ロッキード・マーティンによると、数千ガロンの水または難燃剤を「数秒で」撒くことができる。

C-130J-30の貨物室。

C-130J-30

C-130J-30。2019年6月。

Sinead Baker/Business Insider

2017年、ハリケーン・マリア(Hurricane Maria)の後、C-130とC-130Jはプエルトリコに人道支援の物資を送った

垂直尾翼。

C-130J-30

C-130J-30。2019年6月。

Sinead Baker/Business Insider

垂直尾翼にはアメリカ国旗。その上にブルーとホワイトのバイエルンの旗が見える。 

サイドドアと尾部。Dデイの記念式典に参加したため、ブラックとホワイトのDデイ・ストライプが描かれている。

C-130J-30

C-130J-30。2019年6月。

Sinead Baker/Business Insider

C-130Jの派生モデル「KC-130J」は空中給油機。毎分600ガロン(約2300リットル)でジェット機やヘリコプターに空中給油を行う。

C-130J-30の機首。

C-130J-30

C-130J-30。2019年6月。

Sinead Baker/Business Insider




[原文:Step inside the C-130, the super-versatile workhorse that flies Navy SEAL missions, delivers supplies to Antarctica and fights wildfires

(翻訳:Ito Yasuko、編集:増田隆幸)

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