マイクロソフト、時価総額1兆ドル超えを支えるのは昔ながらのソフトウエアビジネス

マイクロソフトCEO、サティア・ナデラ氏。

マイクロソフトCEO、サティア・ナデラ氏。

Chesnot/Getty Images

  • 2019年4月、マイクロソフトは初めて、時価総額1兆ドルを突破。だが長くは続かなかった ── その後、6月までにマイクロソフトの株価は上昇し、高値を維持している。
  • マイクロソフトの次なる成長はどの分野にあるのだろうか?
  • 長年、マイクロソフト株を推奨しているモルガン・スタンレーのアナリストは、同社の希望は企業や開発者に販売している従来のソフトウエアにあると述べた。最近の成長の要因となっているクラウドサービスではなく。
  • この考え方は、マイクロソフトの短期的な収益性にも大きな影響を及ぼす。

2019年4月、マイクロソフトはアマゾン、アップルに次いで、時価総額が1兆ドルを超えた3番目のアメリカ企業となった。しかし、株価が次々と最高値を更新し続けた先月までは、時価総額は急激に下落していた。

6月24日、株価は一時138ドル近くに達し、約135ドルに戻したものの、時価総額1兆ドルをわずかに上回った。

では、マイクロソフトはここからどのようにして成長するのだろうか?

長年、マイクロソフト株を推奨しているモルガン・スタンレーのキース・ウェイス(Keith Weiss)氏は、成長の鍵はクラウドコンピューティングやIoT、AIといった斬新な新事業ではないと考えている。

むしろ、昔ながらの企業向けソフトウエアの成長が、同氏が設定した目標株価145ドルまで押し上げるエンジンになると見ている。また同氏はマイクロソフト株を「オーバーウエイト(overweight)」としている(「買い」とほぼ同じ意味だ)。

ウェイス氏は1年前にマイクロソフトの株価は130ドルに達し、時価総額は1兆ドルに達すると予想、当時はクラウド事業の成長がその原動力となると考えていた。同氏が今はマイクロソフトの伝統的な事業分野に注目していることは興味深い。

「マイクロソフトに関する議論のポイントは、常にオンプレミスサーバー(企業が自社内に構築するサーバー)製品とツールの成長の持続性であり続けている。他のオンプレミス・ソフトウエアベンダー(Cloudera、Pivo​​tal、VMware)に見られる最近の弱さはさらに議論を呼ぶだろう。我々はSQL Serverのシェア拡大、サーバー製品におけるプレミアムSKUの採用、Azure Hybrid Benefitsの提供によって堅調な数%台の成長が続くと予想している」とウェイス氏は7月1日(現地時間)、クライアント向け文書に記した。

分かりやすく言うと、従来のライセンスソフトウエアを販売する他の企業がクラウドコンピューティングの隆盛によって苦境に立たされる一方で、マイクロソフトはその古典的なソフトウエア事業からさらに利益を得ようとしている。

その理由は、マイクロソフトの主力データベース製品であるSQL Serverがこのところ好調のため。SQL ServerはWindowsだけでなくLinux上でも動作し、数々の強力な機能を備えながらも、市場をリードするオラクル製品よりも低価格。ウェイス氏はIDCの調査結果を引用し、オラクルは約32%の市場シェアを持っているが、2018年にはやや落ち込んでいるが、マイクロソフトは17%だが、シェアを伸ばしていると記した。

さらに同氏は、SQL Serverの旧バージョンのサポート終了の期日が迫っていて、顧客がアップグレードを余儀なくされることも指摘した。

最も重要なのは、マイクロソフトは顧客にAzure Hybrid Benefitsを提供していること。これは、マイクロソフトの従来のデータベース製品(と他のソウトウエア製品)を使っているユーザーに対し、クラウドサービスであるAzureへの移行中、その料金を割引で提供するプログラムだ。

同氏はまた、同様の理由でWindows Serverも成長すると見ている。そしてSQL ServerとWindows Serverの成長とともに、サーバー管理ツールのSystem Centerのような他のマイクロソフト製品も同時に成長すると考えている。

さらにウェイス氏は、マイクロソフトはVisual Studioや最近買収したGitHubなどの開発ツールを使う開発者のつなぎとめにも成功していると考えており、これらの分野でも成長を見込んでいる。

これらの古くからある分野での成長が重要な理由は、これらのソフトウエアの収益性が非常に高いため。クラウドサービスであるAzureの低い利益率を相殺してくれることになる。

クラウド製品は、新機能の開発にはソフトウエア製品と同じように費用がかかり、加えて自社のデータセンターでの運用にコストがかかる。また新しいデータセンターの構築にも費用がかかる。

Azureはどれほどの収益を上げることができるのかという懸念、特にAzureは古典的なソフトウエアビジネスの領域を侵食するのではないかという懸念は、同社への弱気な見通しにつながっている。Seeking Alphaによると、ジェフリーズのジョン・ディフッチ(John DiFucci)氏は最近の調査ノートに、マイクロソフトの株価は「かなり過大評価されている」と記した。

「Azureはおそらく、文化的、技術的な要因のために期待された利益を得ることはないだろう。そしてこのところのWindowsからのキャッシュフローの増加は持続しないだろう」とディフッチ氏は警告した。

しかし、マイクロソフトの時価総額1兆ドル到達を予測したアナリスト、ウェイス氏は、その考え方を一笑に付し、ソフトウェアビジネスはしばらくの間は堅調に推移し、1株当たり利益は毎年、10数%の確実な成長を見せていくと考えている。

「190億ドル規模の利益率の高いサーバー&ツール部門において、数%成長を続けるという信頼感は、我々の10%半ばという1株あたり純利益の予想の基礎となっている」とウェイス氏は述べた。

[原文(BI PRIME):Growth in Microsoft's old-fashioned software business, not just its cloud, will zoom the company well beyond $1 trillion, Morgan Stanley believes (MSFT)

(翻訳:Toshihiko Inoue、編集:増田隆幸)

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