鹿児島市全域59万人に避難指示、全員の場所はあるの?避難の判断はどうすれば?

西日本豪雨

2018年7月の西日本豪雨以上の雨量が降ると予想されている九州の大雨(画像は2018年7月、広島県熊野町)。

Carl Court / Getty Images

九州の記録的な大雨で、鹿児島市は7月3日午前9時35分、市内全域に緊急の避難指示を出した。対象は27万5287世帯、59万4943人だ。

しかし、59万人分の避難者を収容できるだけの設備は整っているのか?Twitter上では不安の声が広がっている。

避難避難っていいよんけど市内全域59万人全員どっかに入れるのかしら。鹿児島市てだけでなくてどこの地区とか詳しく教えてほしい

鹿児島市役所の広報課によると、7月3日午前8時時点で、開設している避難所が94箇所。さらに避難者がいる避難所が45箇所、避難者の数は101世帯、149人。7月3日12時現在もその数は増えているという。

災害救助などの業務を担う鹿児島市の地域福祉課によると、59万人に避難指示が出ているとはいえ、基本的に「自宅が安全だと感じる人は避難の必要はない」という。無理に避難所に移動することで、かえって危険な目に遭う可能性もあるからだ。

避難してと言われても家より低い位置の避難所。行く方が危険な気がするわけで

その判断は個人に委ねられるが、しかし少しでも身の不安を感じる人は避難所への移動をすすめる、という。

実家の近くでマジで土砂崩れし始めてるから鹿児島市民は避難しよう

防災システム研究所の山村武彦所長は、この避難指示について「本来ならば、エリアを細かくしぼって(指示を)発表しないと意味がない」と苦言を呈する。「全域に指示を出したのは、いわば責任逃れ、アリバイ作りの側面も半分、あるのではないか」。

というのも、2018年の西日本豪雨の際には避難指示が遅れた自治体があり、のちに非難されたケースもあったからだ。

個人で避難判断するときの基準とは

山村氏によれば、そもそも災害対策基本法にもある通り、避難には立ち退き避難(指定緊急避難場所や、近隣のより安全な場所や建物に避難すること)と、屋内安全確保(自宅でより高い場所へ避難するなど)の二つがあるという。だが、個人が何を優先すべきか判断することは難しい場合もある。

その上で、避難するか否かを個人で判断する材料として、例として以下をあげる。

  • 家が河川流域にあるか(過去に浸水や家の流失があったか)
  • 土砂災害の恐れはあるか(近くに崖や土砂、急な斜面などはないか)

あくまでも山村氏の推定だが、鹿児島市内に59万人分の避難所があるとは考えづらく、「(避難といっても)屋内での安全確保や親戚の家や知人の家にいくことも含め想定しており、全員が避難所に来られたら困るという現状なのでは」と語る。

では避難所に移動したものの、入れなかった場合はどうすれば良いのか?

同地域福祉課の担当者によると、まずはその避難所での指示をあおぐか、もしくは地域福祉課へ直接連絡するのがもっとも確実だという(電話番号は 099-2161-244 もしくは 099-2161-245 )。

対象地域の全員に避難を促す「警戒レベル4」となった鹿児島市の大雨だが、避難指示の範囲があまりにも広いため、かえって混乱を呼びそうだ。

(文・西山里緒)

※山村武彦所長のコメントを入れ、記事を更新しました。2019年7月3日14時40分

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