OPPOは高倍率ズームが可能な新スマートフォン「Reno 10x Zoom」を日本でもリリースした。
中国のスマートフォンメーカー・OPPOは、日本市場向けに新製品「Reno 10x Zoom(リノ 10倍ズーム)」を販売すると発表した。
Reno 10x Zoomは背面に3つのカメラを搭載し、光学ズームとデジタルズームを組み合わせることで画質劣化の少ないハイブリッドズームが特徴の製品。すでに中国などでは発売済みだ。日本での価格は9万9800円(税抜)で、7月12日より発売する。
今回、発売前に実機を試す機会を得たため、ファーストインプレッションをお送りする
手ブレもノイズも少ない驚愕のズーム機能
Renoの最大の特等は、やはり背面カメラだ。
Reno 10x Zoomは価格帯からもわかるとおり、いわゆるハイエンド機種だ。チップセットにはクアルコム製「Snapdragon 855」を搭載し、メモリーは8GB、ストレージは256GB。オプションのmicroSDカードも最大256GBのものに対応する。
ディスプレイは6.65インチ(2340×1080ドット)有機ELを搭載。同社が「パノラマスクリーン」と呼ぶ、モバイル市場で流行のフルスクリーンデザインを採用。上下いっぱいに表示部が広がっている。
6.65インチの大画面。
前述のとおり、Reno 10x Zoomの最大の特徴はカメラ性能だ。とくに背面には4800万画素の標準レンズ、800万画素の超広角レンズ、1300万画素の望遠レンズの3つのカメラセンサーを搭載する。
それらのカメラで撮影した結果を組み合わせて10倍までは、劣化やノイズの少ないズーム性能を発揮するという(10倍以上は一般的なデジタルズームのような挙動になる)。
実際に撮影してみると、広角からズーム撮影まで、その鮮明さに驚く。とくに筆者は夜や薄暗い屋内などを中心に撮影したが、ノイズがほとんどのらず、とくに夜間での撮影は手持ちであるのにも関わらずブレも少ないのには驚いた。
飛び出す「自撮りカメラ」機構に驚き
カメラアプリで正面カメラに切り替えると、上側面からカメラが飛び出る。
また、正面カメラにも特徴的な機構があり、上側面からカメラがスライドして出現する。
似たような仕組みはOPPOが2018年11月に日本で発売した「Find X」にも搭載されているが、Find Xに比べてReno 10x Zoomの方が左側を支点とした動きになっているため、目立ち度は控えめな印象を受ける。
こういった機械的に複雑な機構は、故障などが気になるところ。同社は20万回以上の耐久テストを行い、理論上は「毎日100回使用しても、5年間使える」レベルという。また、正面カメラ起動中に落としてしまっても、内蔵のジャイロセンサーが落下を検知し、自動的にカメラを収納するような制御も入っている。
OPPOはAIを使った強力な美顔機能を開発しているメーカーで、グローバルでも一定の評価を得ている。日本でもセルフィーを重視したいユーザーにとって一考の価値あるデバイスになっているだろう。
「重さ」「おサイフ非対応」が気になる
Reno 10x Zoomは片手で持つとややずっしりとした印象がある。
一方で、短い使用期間ではあったがやや気になる点も2つあった。
1つはと重さだ。Reno 10x Zoomは幅77.2ミリ、高さ162ミリ、厚さ9.3ミリ、重さ約215g。例えば、大画面スマートフォンのの代表格「Galaxy Note 9」でも重さは約201g、やや重いと評価されがちな「iPhone XR」でも約194gだ。ポケットに入れて持ち運ぶとやっぱり存在感がある。
もう1つは、おサイフケータイ(FeliCa)非対応という点。OPPOが2018年に日本市場に投入したフラグシップ機「R15 Pro」は、日本では新興メーカーにも関わらず、日本独自仕様の“おサイフ対応”で技術力をアピールしていた。
Reno 10x Zoomは、残念ながらFeliCaには対応しない(NFCのアンテナは搭載している)。現在国内では政府の施策もあり、空前のキャッシュレスブームが到来している。還元率の高いQRコード決済はReno 10x Zoomでも問題なく利用できるが、利便性の高いおサイフケータイに対応していない点を残念に思う人は多いだろう。
Reno 10x Zoomは、R15 Proと比べてグローバルでの発表から日本市場導入までの期間も短かったため、R17 Proの時ほどローカライズに時間をかけられなかったという背景があるのかもしれない。
(文、撮影・小林優多郎)