フェイクニュースにだまされやすい20代、「リベラル系記事」を“嘘”と判断する50代以上

いよいよ参議院選挙がスタートする。注意が必要なのが「フェイクニュース」だ。

ある意識調査によると、20代の4割がフェイクニュースを見たことがあり、そのうち4割がだまされた経験があるというという。さらにSNSや伝聞での拡散に加担した人も4割いた。

「フェイクニュース」8割が認知

スマホ

フェイクニュースにだまされない自信、ありますか?何を基準にフェイクだと判断しますか?

GettyImages/ljubaphoto

調査を行ったのはMMD 研究所(MMDLabo運営)だ。2019 年 5 月、18 歳から 69 歳のスマートフォンを所有する男女 1533 人を対象に、スマートフォンアンケートアプリを通じて行った。

その結果を紹介する(小数点以下切り捨て)。

フェイクニュースという言葉について「知らない」と回答したのは14%とわずか1割強。61%が「知っている」、24%が「聞いたことはあるが詳しくは知らない」と答えた。

一方、同社がフェイクニュースとはどういうものか具体例を交えて説明した後で再度フェイクニュースを見たことがあるか尋ねたところ、「見たことがある」人は 34%と、言葉については8割以上が知っているが、実際に見たことがあるのは約3割という結果に。

フェイクニュース

出典:MMD 研究所「フェイクニュースに関する年代別意識調査」

若い世代ほど接する機会多い

渋谷

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年代別でみると、「見たことがある」と回答したのは20代の45%が最も多く、次いで10代の41%と、若いほどフェイクニュースへの接触が高いと感じていることが分かった。

50代60代は3割以下だ。

実際20代が見たと例をあげたニュースはこのようなものだ。

「ロンドン時計塔がデジタル式になった」(20代男性)

「喫煙者の減少とともに肺がん患者が増加しているので、実は喫煙は肺がん予防に良い」(20代男性)

「仮病を使うためのだるくなる薬が発売された」(20代女性)

「富田林から逃走中の容疑者が近所で空き巣をしている」(20代女性)

また、フェイクニュースを見たことがあると回答した人にだまされた経験があるかどうか聞いたところ、「だまされたことがある」が 29%、「だまされたことはない」が 70%となった。

フェイクニュース

出典:MMD 研究所「フェイクニュースに関する年代別意識調査」

これもだまされた経験があるのは20 代が 37%と最も高く、30%を超えているのは20 代~40 代だ。

だまされた経験があると回答した人は「RTやイイネなどをして拡散してしまったことがある」「SNS で拡散はしなかったが、友人や家族に話してしまったことがある」など44%が拡散してしまったと回答した。

今後フェイクニュースを見破れる自信があるかどうか聞いてみると、「自信がある」「やや自信がある」を合わせて見破る自信があると回答したのは 30%、「自信がない」「やや自信がない」を合わせて見破る自信がないと回答した のは 69%となり、約 7割の人がフェイクニュースを見破る自信がないという結果だった。

「嘘リベラル記事」「もりかけ問題」「少人数のデモ」

国会議事堂

参院選は4日に公示、21日に投開票だ。

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一方で、フェイクニュースを見たことがあると回答した人が、実際にどんなものを見たことがあるか自由記述で回答したものを見ると、年代によってある特徴があった。

「根拠なき事実明らかな嘘リベラル記事、加工画像付きニュース、事故の犠牲者人数など(30 代男性)」

「日本は借金だらけで破綻する(40 代男性)」

「安部総理のもりかけ問題やトランプ大統領のロシアゲード疑惑(表記ママ)(50 代男性)」

「高校生の自殺のニュースをあたかもいじめが原因と決め付けた内容(60 代男性)」

「小人数のデモなどを、何倍もの人数や規模を大きくして報道している(60 代男性)」

それぞれ何を想定して書かれたものか分らないが、イデオロギーを込めた表現や、「フェイク」と判断するには時期尚早ではないかと首をかしげるものもある。あくまでも調査の回答の範囲だが、若い層が比較的事実かどうかに基づいてフェイクと判断しているのに対して、年配の回答では、自身の主義主張やイデオロギーなどに照らし合わせて判断しているものが出てくる。

アメリカではトランプ大統領が自身に批判的な新聞やテレビ局を「フェイクニュース」と非難したことが批判された。

日本では安倍晋三首相がSNSに力を入れる理由として、「首相は新聞を読まない層を重視している。SNSで自分でつかみ取った情報は『真実だ』と信じる傾向にある」という政府関係者の話を朝日新聞が報じている(2019年7月3日)

何を根拠にフェイクニュースだという判断を下すのか。より一層の慎重さが求められるだろう。

(文・竹下郁子)

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