コストコはいつの間にかファッション販売大手になっていた。
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- コストコは思いがけず、アパレルと靴のセールスにおけるリーダーとしての地位を確立した。年間売上高は70億ドル(約7700億円)を超え、過去4年間、年に9%成長してきた。ワシントン・ポストが伝えた。
- ファストファッション・ブランドにとって、コストコは過剰在庫を売りさばく最適な場所となった。8500万人の会員がますます多くのアパレルアイテムを購入するようになっている。
トイレットペーパーやシリアルが山積みになっているコストコ。会員がますます押し寄せるようになっている、驚くべき理由がある。ファッションだ。
コストコはスタイリッシュな服を買う場所には思えないだろう。だがアパレルと靴の年間売上高は70億ドル(約7700億円)を超え、過去4年間、年に9%成長してきた。ワシントン・ポストが伝えた。
コストコは全米に約800店舗を展開、そのほとんどに試着室はない。だが買い物客は大幅に値下げされたノース・フェイスのジャケット、ジェシカシンプソンのジーンズ、カルバン・クラインのブラウスなどを次々と購入するようになっている。
Business Insiderは70億ドルの売り上げについてコメントを求めたが、コストコはコメントを拒否した。
「コストコはいつのまにかファッション販売大手になっていた」とインスティネット(Instinet)のリテールアナリスト、シメオン・シーゲル(Simeon Siegel)氏はワシントン・ポストに語った。
「コストコでのアパレル販売は、間違いなく消費者の共感を集め、デパートからブランドを勝ち取っている」
おそらく最も印象的なことは、コストコのアパレル販売が、自社ブランドのカークランドを含めて、オールドネイビー、ニーマン マーカス、ラルフローレンといった伝統的なブランドを超えたこと。コストコのファッションでの成功の一部は、8500万人の会員組織にある。
加えてファッション業界は、過剰在庫を出荷できる現実的な手段を探しており、コストコのようなゴージャスとは言い難い場所でも構わないとさえ考えている。なにより、コストコが膨大な会員を抱えていることがすべてだ。
コストコは思いがけずファッション販売大手としての地位を確立したかもしれないが、ミレニアル世代を引きつける方法を見つけない限り、その成功は一時的なものになるかもしれない。
リテールアナリストでビジネス系メディア「ファストカンパニー(Fast Company)」のライター、エリザベス・セグラン(Elizabeth Segran)氏が記したように、コストコの顧客層は年齢が上がってきていて、X世代とベビーブーマー世代はファストファッションを買い込んでいるが、ミレニアル世代の多くはよりサステイナブルな選択肢を求めている。
「ミレニアル世代に人気のエバーレーン(Everlane)やオールバーズ(allbirds)といった新興ブランドは、ファストファッションを否定し、よりクラシックで、流行に関係なく長く着られるスタイルを作り出している」とセグラン氏は記した。
「そうしたブランドは未来のファッションの姿を描いている。コストコがこの流れについてこれなければ、現在55~75歳のベビーブーマー世代が年を取り、買い物に出かけられなくなる頃に、コストコのファッションブームは終わるかもしれない」
(翻訳:仲田文子、編集:増田隆幸)