リストラが始まったドイツ銀行、ウォール街にあるオフィス。2019年7月8日。
Alex Nicoll/Business Insider
- 7月8日日曜日(現地時間)、ドイツ銀行は1万8000人のリストラを発表、翌9日月曜日、ニューヨークでは実際にリストラが始まった。
- 休み明けの月曜日の午前中、出社時間より少し遅い時間だったにもかかわらず、ドアからは人が出てくるばかりだった。ある時点では、1分間に5人が出てきた。たぶん1人は数分後に戻ってきた。
- ビルから出てきた複数の人は、さらなるリストラが行われることを恐れていた。
小雨がウォール街を覆った月曜日の朝、何人かのドイツ銀行の従業員はいつもより早くオフィスを出ることになった。
7月8日日曜日(現地時間)、ドイツ銀行は1万8000人のリストラを発表、翌9日月曜日、ニューヨークでは実際にリストラが始まった。憂鬱な天気は1週間以上オフィスを覆っていた、暗いムードに合っていた。
コメルツ銀行との統合交渉が失敗に終わり、ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問の不動産会社に関連したFBIのマネーロンダリング捜査の焦点となった後、ドイツ銀行はリストラが避けられないとの報道は何週間も前から伝えられてきた。
ドイツ銀行の株価は8日、リストラの後も下落、長期的な下落傾向が続いている。ウォール街にあるドイツ銀行の前に行ってみた。
正面の回転ドアからは多くの人が出てきていた。
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休み明けの月曜日の午前中、出社時間より少し遅い時間だったにもかかわらず、ドアからは人が出てくるばかりだった。ある時点では、1分間に5人が出てきた。たぶん1人は数分後に戻ってきた。
オフィスを出て、戻って来なかった人の多くは、おそらくドイツ銀行からレイオフされた人だろう。だがほとんどの人は、何も持っていなかった。ほとんどの人が手ぶらでスマートフォンだけを持っていた。中にはフォルダーを持っている人や銀行の印がついた青いトートバッグに荷物を入れている人もいた。
取材に多くを答える人はいなかった。ほとんどの人がマスコミを避けたが、一部は取材に答えていた。
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およそ10人程度の取材陣がウォール街にあるドイツ銀行の正面玄関前に立ち、メモや写真、映像を取っていた。従業員たちは取材陣の近くではなく、ビルに沿って歩いていった。取材を避けるためだ。我々は従業員に直接取材できなかったが、いくつか有益な情報を見つけた。
1人の男性は解雇されたわけではないようだが、取材陣の動画を撮り始めた。彼はビルの前を回って、ビルの中に入っていった。
別の男性はスマートフォンを取り出して、取材陣の写真を撮影した。彼が写真を撮るためにスマートフォンをかざすと、複数の取材陣が彼の写真を撮った。彼は「楽しんで!」と叫んで笑った。彼は一瞬、その日の重苦しい雰囲気を崩したようだった。
この日、エントランスはさまざまな感情を映し出していた。
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ビジネスカジュアルに身を包んだ男性が通りがかり、彼のスマートフォンで写真を撮ってほしいと言ってきた。彼はビルの前に膝をつき、ドイツ銀行のロゴを写真に入れるように言った。彼が立ち去ろうとした時、私は彼に解雇されたのかと尋ねた。彼は以前、ドイツ銀行から仕事のオファーを受けたが断ったと私に語った。
「もしオファーを受けていたら、今日、解雇されていただろう」と彼は笑いながら叫んで去っていった。
その後、スーツ姿で電話をかけていた男性が「私の友人2人が解雇された。2人はトレーディングフロアで働いていた」と述べた。詳しい話を聞くことはできなかった。
また別の男性は通りに響くような大きな声でドアマンとハイタッチした。何年も練習したかのような声だった。
「Goodbye」と彼はドアマンに言って立ち去った。
我々はリストラはまだ続くかもしれないという噂を聞いた。
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ビルから出てきた複数の人は、さらなるリストラが行われることを恐れていた。電話で話をしている人もいれば、何人かのグループで話をしている人もいたが、考えていることは同じに見えた。皆、さらなるリストラが行われることに気づいていた。
「さほど大丈夫だとは思えない」
ある男性は同僚とランチに行く時に、そう口にした。
(翻訳、編集:増田隆幸)