ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者で、共同最高投資責任者のレイ・ダリオ氏。
Hollis Johnson / Business Insider
- レイ・ダリオ(Ray Dalio)氏は、約1500億ドル(約16兆円)の資産を運用する世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツ(Bridgewater Associates)の創業者で共同最高投資責任者だ。
- ダリオ氏は、Business Insiderのポッドキャスト『This Is Success』の中で、自身のキャリアにおける重要な瞬間について語った。その上で、ポール・ケネディ(Paul Kennedy)の『大国の興亡(原題:The Rise and Fall of the Great Powers)』を、ここ1年で読んだ本の中で最も素晴らしかったと自身が考える理由を説明した。
- アメリカと中国の間の新たな力の変化を見極めるために、ダリオ氏は今こそこの本を読むことが重要だと考えている。
ビリオネアのレイ・ダリオ氏はここ2年、国際社会におけるポピュリズムの台頭に警鐘を鳴らしてきた。2019年に入ると、アメリカでは資本主義が「存続に関わる脅威」に直面していると、同氏は指摘した。約1500億ドルの資産を運用する世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者兼共同最高投資責任者であるダリオ氏は、金融業界で最も影響力のある人間のひとりだ。
ダリオ氏はBusiness Insiderのポッドキャスト『This Is Success』の最近のインタビューで、自身の今日の世界に対する評価と一致するある1冊の本を、ここ1年で読んだ中で最も素晴らしかったと述べ、推薦した。イエール大学の歴史家ポール・ケネディによる『大国の興亡(原題:The Rise and Fall of the Great Powers)』だ。
「わたしたちは、1930年代に非常に似た時代へ入ろうとしている —— これは、わたしがこの本を読む前から持っていた考えだ —— だが、人生に変化の波があるように、国にも変化があることは間違いない」と、ダリオ氏は語った。同氏はアメリカの衰退と中国の台頭が、世界秩序の変化の初期段階を示していると見ている。
「こうした変化は歴史の中で何度も繰り返し起きていて、これをよく理解することが重要だ」と、ダリオ氏は言う。
ケネディの『大国の興亡』は、近代史の始まりである1500年以降の世界の大国の寿命を調べたものだ。それぞれの力は、経済的覇権によって定義した。経済的覇権は、軍事的なプレゼンスと出費が拡大し過ぎることで低下し、同時に社会の他の側面への投資の欠如によって、全体の衰退につながる。ケネディは1980年のアメリカが、第1次世界大戦前のピークから転がり落ちようとしていたイギリスと同じような状態に見えると指摘した。
つまり、ダリオ氏はアメリカの現状に不安を感じていて、不均衡は「国家の非常事態」に他ならないものとして扱われるべきだと考えている。そうでなければ、世界の力学の変化は、特にアメリカに大きな打撃を与えるだろう、と。
ダリオ氏はこれまで、その時その時の世界がどういう状況だったのか、ダメージを和らげるために何ができたのか理解するために、多くの時間をかけて過去500年の世界史、中でも準備通貨(世界の主要通貨)に焦点を当てて調べてきたという。その中でも、最も魅了されたのがケネディの『大国の興亡』だと、ダリオ氏は語った。
『This Is Success』のインタビュー(全編)はこちら:
(翻訳:原佑奈、編集:山口佳美)