急成長する美容業界、さらなる成長をけん引する4つのトレンドとは?

グロッシアー

Reuters

  • 小売業の分析を手掛けるEditedの最新レポートによると、美容業界の市場規模は5320億ドル(約57兆円)で、急速に拡大している。
  • 持続可能な美容や製造・価格の透明性を求める声が高まる中でも、化粧品やパーソナルケアを手掛ける企業はソーシャルメディアのインフルエンサーやブランド・アンバサダーの恩恵を受け続けていると、レポートは指摘した。
  • Editedのアナリストが注目する、美容業界の4つの大きなトレンドを紹介しよう。

美容業界はこれまでになく急速に成長している。小売業の分析を手掛けるEditedの最新レポートによると、その市場規模は5320億ドルで、今なお拡大し続けている。

YouTubeで美容に関するレッスン動画をシェアしたり、インスタグラム(Instagram)でお気に入りのリップスティックを投稿する美容ブロガーの増加は、消費者の新商品の知り方やブランドとの関わり方を変え続けている。近年、多くの化粧品会社や消費者に直接販売をする美容ブランドは伝統的な広告を控え、インフルエンサー・マーケティングやブランド・アンバサダーの力を利用し始めている。

同時に、ソーシャル・プラットフォームは、投稿を見た消費者がアプリから直接アイテムを買えるようにするなど、より買い物に適した形へと進化している。インスタグラムやピンタレスト(Pinterest)では、ユーザーが気に入ったアイテムの画像をクリックするとさらに詳しい情報が表示され、そのまま購入もできる。

Editedのレポートによると、業界の今後の成長をけん引するいくつかの注目トレンドがある。4つの主なトレンドを紹介しよう。


1. 既存の小売業者による"美容"の試み

H&M

Flickr/Mike Mozart

Editedのレポートのデータによると、イギリスのH&Mが取り扱う美容商品の品揃えは、2018年から2019年で94.8%増えた。同時に「Net-a-Porter」といった高級eコマースも取り扱いを充実させ、2018年から2019年で26%増えた。

一方、ルルレモン(Lululemon)は6月、シャンプーやデオドラント、リップバームといったジェンダー・ニュートラルな「セルフケア」製品を作り、パーソナルケア分野への初めての進出を発表した。

Editedのアナリストは、「美容分野はしっかりやれば利益の大きい分野だと、ブランドは認識している」とレポートに書いている。

2. 価格設定が新たな消費者層へのリーチに役立つ

若い女性

Olivia Harris/Getty

より多くの小売業者が独自の美容ブランドを立ち上げ始めるにつれ、彼らは特定の消費者層にアピールするために価格を設定するようになった。その結果、多くの小売業者が幅広い価格帯を提供するようになった。例えばH&Mでは、約2ドルのウェットティッシュから45ドルのレザーのメイク用バッグまで販売している。

またEditedは、ミレニアル世代やジェネレーションZが美容分野で本当に欲しがっているものを把握することで、ブランドが利益を上げられるだろうと指摘した。

「美容業界ではますますミレニアル世代が主役となっている。この世代は質の良いものにはお金を払おうという世代で、この事実が価格設定に役立っている」と、アナリストは書いた。

3. 透明性の向上

工場

Reformation

美容ブランドは、原材料や製造コストを明らかにする"徹底的な透明性"モデルで支持を増やしてきたエバーレーン(Everlane)のようなアパレル企業を見習い始めている。

Editedのレポートは、新たな高級スキンケア・サブスクリプションの「Beauty Pie」を例に挙げ、透明性の高いモデルを容易に試すことができることから、スタートアップや消費者に直接販売をする企業にはアドバンテージがあると指摘した。Beauty Pieの会員は全ての商品の価格内訳を知ることができ、中間業者を省いた結果、より手頃な価格で商品を購入できるという。

4. 持続可能な選択肢

シャンプー、コンディショナー

Function of Beauty

有毒物質やその他の有害な成分を含まない製品を求める消費者が増える中、美容業界でもクリーンさを求める動きが勢いを増している。可決されれば、米食品医薬品局(FDA)による化粧品やパーソナルケア製品の規制・監督を強化する超党派の法案「Personal Care Product Safety Act」といった連邦法と合わせて、ブランドは自社製品に使うものに対してより注意深くなったり、多くがリサイクル可能なパッケージなどを導入している。

レポートの中でアナリストは、「持続可能性は、製品がどのように作られ、どこから来たのか知りたいと考える、透明性を重視する客にとってますます重要になりつつある」と指摘している。

「かつてのように、美容大手はもはや根拠のない主張で逃げ切ることはできず、ブランドはその賢い顧客を尊重して、適切な調査・研究をしている」

[原文:Beauty has blown up to be a $532 billion industry — and analysts say that these 4 trends will make it even bigger]

(翻訳、編集:山口佳美)

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