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- アドテク企業のポーラーはフェイスブックの広告事業に関するレポートを発表。これまで語られることのなかったその強みは、広告主のあらゆるニーズに対応できる広告形態を取り揃えていることと指摘した。
- この点が、さまざまな不祥事に直面しながらも、フェイスブックの広告収入は2020年にグーグルを上回ると予想されている一因とレポートは記した。
- だが、フェイスブックのアプリの広告コストは上昇しており、その効果は低下している。
フェイスブック広告は、その優れたターゲティング能力が大きく評価されてきた。だが、アドテク企業のポーラー(Polar)はこれまで誰も指摘してこなかったその強みとして、多様な広告形態を取り揃えている点を指摘するレポートを発表した。
「The Secret to Facebook's $67 Billion Ad Machine(670億ドルを稼ぐフェイスブック広告事業の秘密に迫る)」と題されたレポートは、2004年のサービス開始から現在までの、フェイスブックの広告事業の飛躍的な成長を検証したものだ。
フェイスブックは現在、20億人以上の月間アクティブユーザーを擁し、2019年の広告事業の売上高は670億ドルに達するとみられている。この数字は、全世界のソーシャルメディア広告の71%を占める。
ポーラーは、コンデナスト、ニューズ・コーポレーション、NBCなどの大手パブリッシャーをクライアントに抱えるアドテク企業。45ページにわたるレポートは、フェイスブックが発表したデータ、アナリストやサードパーティーによるレポート、さらにはメディアの報道をもとにまとめられたものだ。
フェイスブックは、人々の注意を引きつけて、製品の認知を高め、購入を検討してもらうといった広告主のあらゆるニーズに対応できるよう、11タイプの広告形態を取り揃えている。
写真や動画をメインに使ったこれらの広告はすべて、商品を表示し、閲覧者にクリックさせて広告主のサイトまで誘導するうえで理想的。パブリッシャーのサイトで一般的な、テキストばかりのつまらないバナー広告とは違う。
ビジュアルを重視したフェイスブック広告。
Polar
このような広告形式を採用することで、フェイスブックはユーザー1人あたり、毎月10回以上、広告をクリックさせることに成功しているとレポートは指摘した。
ただし問題点もある。フェイスブックの広告売り上げは、以前ほど伸びていない。
先日発表されたマークル(Merkle)のレポートによると、2019年第1四半期、フェイスブックアプリの広告売り上げは、前年同期比で2%減少した。一方、フェイスブック傘下のインスタグラムの広告売り上げは44%増加した。
レポートは、フェイスブックの広告売り上げが伸び悩んだ理由について、フェイスブックがニュースフィードにおいて個人ユーザーの投稿を優先させたため、ユーザーにリーチすることが難しくなっているからと推測した。
同様に、ポーラーのレポートは、2018年第2四半期に広告主が広告1件あたりに支払う金額は17%上昇したことを示した。
さらに同レポートは、広告主がインスタグラムに関心を寄せる理由は、ユーチューブやフェイスブックと比べて、広告掲載費用が安いこともその一因と指摘。だが、インスタグラムの広告費は上昇しているため、この優位性も薄れていくだろうと予測した。
1000回表示あたりの広告コスト。フェイスブックはYouTubeに次いで高い。
Polar, various sources
これと並行して、フェイスブック広告のユーザーエンゲージメントは2018年を通じて下がり続けたとレポートは指摘した。
「フェイスブックの広告掲載はすでに上限、広告売り上げは25%伸びている(これは、オーディエンスの伸びを上回るペース)。これが意味することはただ1つ、広告コストは上がり続ける」
フェイスブック広告のCTRは低下している。
Facebook and AdStage, via Polar
%!(EXTRA string=[原文(BI Prime):)Facebook's secret weapon in digital advertising isn't what you think, according to a new report%!(EXTRA string=])
%!(EXTRA string=(翻訳:長谷 睦/ガリレオ、編集:増田隆幸))