信頼の置けない環境で働く人には心血管疾患のリスク要因が多い。
10'000 Hours/Getty Images
- 心血管疾患(CVD)は世界の死因の第1位。
- 新たな調査で、職場のストレスが心血管疾患の要因を増加させる可能性があることが分かった。
- 専門家たちも職場のストレスには細心の注意を払っている。特に燃え尽き症候群に注意。
あなたの仕事は心臓に悪いかもしれない。
上司を信頼していないなら、なおさら。
「インターナショナル・ジャーナル・オブ・エンバイロメント・リサーチ・アンド・パブリック・ヘルス(International Journal of Environment Research and Public Health)」の調査によると、ネガティブな職場、特に信頼の置けない職場は心血管疾患(CVD)のリスク要因となる。
調査は、ギャラップ(Gallup)のデータも使用、職場における信頼(あるいは、その欠如)と、高血圧、高コレステロール、糖尿病といった心血管疾患のリスク要因には関係があることを明らかにした。
世界保健機関(WHO)によると、心血管疾患は世界の死因の第1位。心血管疾患は総称で、冠動脈疾患、脳血管疾患、そして心臓あるいは血管のあらゆる疾患を含む。放置しておくと、心臓発作や脳卒中を引き起こし、死に至る可能性がある。その主なリスク要因はすべて、食生活、運動と関係している。そして高血圧の場合、問題となるのはストレスだ。
専門家は仕事のストレス、特に燃え尽き症候群(慢性的な職場ストレスによる疲労)を単なる仕事のマイナス面以上のことと捉えている。
今回の調査「Trust in the Work Environment and Cardiovascular Disease Risk(仕事環境における信頼と心血管疾患のリスク)」は、心血管疾患に関連したストレスレベルを調査。ギャラップによると、過去の調査ですでに、こうした要因との関係は分かっているものの、職場における信頼との関係は調査していなかった。
アメリカの40万人以上の労働者を調査した結果、信頼の置けない環境で仕事をする人は、喫煙、高血圧、糖尿病、質の悪い食生活、肥満、高コレステロールの傾向が高いことが分かった。そして上司こそが、その信頼の置けない環境の原因だった。信頼の定義は「理解、公正、そして上司と部下が互いに尊敬しあうこと」 —— あるいはその欠如とされた。
マネージャーが覚えておくべきことは、職場環境に問題があると、部下の健康を損なう可能性がある、ということ。
一方、部下が覚えておくべきことは、「仕事から去るのではない、上司から去るのだ(people don't leave jobs, they leave bosses)」という格言をもう一度、心に刻むこと。
上司が有害なら、その状況から逃げることは文字通り心臓に良い。
(翻訳:Ito Yasuko、編集:増田隆幸)