ルール変えるにはけが必要?パンプス強制7割NO【#KuToo 1238人調査】

職場でヒールやパンプスを指定されることに異議を唱える#KuToo が大きな注目を集めている。Business Insider Japanのアンケート調査には1238人から回答が集まった。

浮き彫りになったのは、靴に職業選択の自由を奪われる女性たちの姿だ。企業はブラック校則ならぬブラック社則を公開すべきか —— 。

ヒールやパンプスの指定に7割がNO

病院

#KuTooには「まずは会社と相談すべき」という批判もあるが、声を上げても取り合ってもらえない現状がある(写真はイメージです)。

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Business Insider Japanが行ったインターネットを通じて行ったアンケート調査(6月6日〜7月9日)(小数点以下切り捨て)では、1229人中761人、約6割が「職場や就活などでハイヒール・パンプスを強制された、もしくは強制されているのを見たことがある」と回答。「ない」は423人だった。

強制があったと回答した人のうち585人(76%)がそのことについて「ネガティブ」に捉えていた。

強制されたと感じた背景として最も多かったのは(複数回答可)、「慣習になっていた」が428人。次いで「マナー講座などで指導を受け、それに従っていた」が396人。「上司などから口頭で指示を受けた」275人、「就業規則などに明記されていた」264人だった。

特に強制の意味合いが強い「就業規則などに明記されていた」と回答した人のうち、該当する業種として多くあげられたのは「その他サービス業」42人、「卸売業・小売業」41人、「宿泊業、飲食サービス業」32人、「情報通信業」21人、「金融業・保険業」20人だった。

また職種としては、接客、受付、営業などが目立った。

私たちが声をあげられない理由

パワハラ

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#KuTooに関しては反対意見も見られる。

中でも多いのが、署名を立ち上げたグラビア女優・ライターの石川優実さんらが、職場で女性にのみヒールやパンプスを強制することは「性差別」に該当するとし、法規制するよう厚生労働省に求めていることに関してだ。SNSには「まずは会社に相談すべき」などの投稿があった。

実際はどうか。

ヒールやパンプスを履くよう「就業規則などに明記されていた」と回答した264人のうち、198人がそのことを「ネガティブ」に捉えていたにも関わらず、119人は「職を失いたくない」「所属先のさらに上のクライアントからの指定があるため、立場上声をあげられない」などの理由で意見を述べたり抗議をせず従っていた。

苦痛を和らげるために、「中敷を入れる」「絆創膏を貼る」「客の目につかない地元駅で(別の靴に)はき替える」「何足も試していくら靴にお金を使ったか分からない」などさまざまな工夫、苦労をしている人が多かった。

しかし、それで痛みが解消されたという人は少なく、多くの人が外反母趾や爪が割れる、出血するなどの症状を我慢してヒールやパンプスをはいている状態だ。

「女性らしくパンプス」という呪い

ヒール

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一方で、会社に相談、抗議した人からは以下のような顛末の報告が寄せられている。

「会社側に掛け合ったが『マナーだから』と一蹴された」(25-29歳、印刷業)

「上司に何度も相談したが『女性らしくパンプスにしなさい』と言われた」(40代以上、情報通信業)

「外反母趾と巻き爪を両親指に抱えていると伝え、類似品でもいいかと聞いたが、『決まりだから』と言われた」(20-24歳、その他サービス業)

「階段や移動が多いのにパンプス着用義務があるため、けがが絶えない。男性は自由なのに……とスニーカーを履きたい旨を伝えたが、『社会人の常識』と言われ、その後数日間当たりがきつくなったので、それ以来口にも出せずパンプスを着用し続けている」(20-24歳、情報通信業)

「パンプスの強制をやめるよう本部に投書したが、変わらなかった」(25-29歳、卸売業・小売業)

多くの人が声を上げることができないのは、こうした職場の理解不足が原因だろう。

ルール変えるにはけがや手術が必要?

病院

GettyImages/d76 masahiro ikeda

もちろん中には相談して成功した人もいた。しかし効果は限定的だったり、足にけがをして初めて取り合ってもらえるという状況だ。

「抗議したら『あなただけ特別扱いできない』と言われたので、職場の女性全員で働きやすい靴で出勤していたところ、就業規則から女性の靴の項目が消えた」(40代以上、生活関連サービス業・娯楽業)

「接客業ではなく裏方作業だったのでパンプスの必要性を感じなかった。オフィスサンダルの使用を掛け合い、特定フロア内でのみ使用が認められた」(30-34歳、金融業・保険業)

「パンプスをボイコットしてバレエシューズを履いたが、私のいた店舗では何も注意されなかった。ただ、同僚やパートさんには(パンプスを)履いている人もいた」(25-29歳、情報通信業)

「滑りにくい底のフラットシューズを履く許可を求めて許可されたが、私以外の同僚はヒールパンプスを履いており『特別扱いされている』と陰口を言われた」(30-34歳、自営業・自由業)

足にけがをしたのをきっかけにフラットシューズで働く許可を取った」(30-34歳、その他サービス業)

歩行できなくなり外反拇趾の手術を受け、やっと足に合う靴を履くことが叶った」(35-39歳、生活関連サービス業・娯楽業)

靴を理由に仕事あきらめる女性も

オフィスビル

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職場のヒールやパンプスの指定をなくしてほしいという女性たちに対し、「嫌なら会社を辞めればいい」という意見もある。女性にのみ指定された決まりで職業選択の自由が狭められるのなら、それこそ性差別に該当するのではないかと思うが、すでにそうした状況に追い込まれている人もいる。

「ヒールは素敵だが『営業先が喜ぶ』とピンヒールを与えられたのはプレッシャーだった。上司は社長でもあったので好みの押し付けに耐えられず、最終的に仕事を離れた。ヒールを履いているから成績が良くなるというのは、女性をホステス扱いしているからだと思う」(35-39歳、自営業・自由業 )

「健康に悪いし、なぜ履かなければならないか理由が納得できなかった。他にも嫌なところが多かったので退職した」(40代以上、教育・学習支援業)

「履きなれていないのでまともに歩けず、相談したがワガママと捉えられた。足の変形と頭痛、腰痛発症で仕事を諦めた。血まみれの足で歩くのがマナーなのかとショックを受けた」(25-29歳、卸売業・小売業)

「自分の体のためにヒールのある靴を選ばずに生活していたので、就業規則になっていることに驚いた。希望する仕事だったが、その仕事を選ぶのをやめた」 (35-39歳、医療・福祉)

ドコモの英断、男女ともスニーカーOKに

NTTドコモ

REUTERS/Thomas White

一方で、動き出す企業も出てきた。NTTドコモは2020年の秋をめどにショップ店員の制服を刷新する。現在、女性の店員は3.5センチもしくは6.5センチの高さのヒールパンプスが指定されているが、今後はスニーカーでの勤務もできるようにする。

同社では約4年ごとに制服の見直しを行っており、その一環だ。広報担当者によると、「長時間立っているので疲れる」という声が上がっており、以前から検討してきたという。

また、これまで女性にのみ制服を指定してきたことも見直し、男女ともにカジュアルな制服を導入男性もスニーカーでの勤務を可能にする予定だ。4月から都内の店舗で試験的に導入し、動きやすさなどを検証している段階だという。

ネットではドコモの決断に賞賛の声が多数上がった。一部では「スニーカーの強制」と思えるような報道に批判的な投稿もあったが、担当者は「パンプスが履きやすいという人もいると思うので、多様なかたちで導入できればと考えています」と話す。

企業は身だしなみのルールを公開せよ

大阪府立懐風館高

地毛の明るい生徒に黒染めを要求していたことが問題となった学校。現在HPに公開されている校則には「故意による染色」と但し書が。

出典:大阪府立懐風館高等学校ホームページ

しかし、いまだ複数の企業でヒールやパンプスの指定に苦しむ女性たちがいるのが現実だ。

首都圏の大手ドラッグストアで働く女性は、本社での月に1度の研修にスニーカーで行ったとき、「なんでパンプスじゃないの? 事前に届け出るように」と注意を受けた。会社には髪色などの規定もあり、研修で「明るい色の人がかなりいますね。今後違反している人は写真撮影します」と言われ、「そんなことしてどうするんだろう」と疑問に思ったそうだ。

他にもメイクの方法やマスク着用についても細かく定められており、違和感が募る一方だと言う。

身だしなみに関する就業規則も開示するようにしてほしいです。互いにミスマッチが防げるし、企業にとっても良いことのはず。どんな決まりがあって、なぜそれが必要なのか、企業には事前に求職者に説明する責任があるのではないでしょうか」(このドラッグストアで働く女性)

ヒールやパンプスの指定がある職場には、メイクや髪色、中には「メガネ」や「パンツスーツ」が禁止されているなどその他の決まりがあることも多い。取材でも「まるでブラック校則のよう」という声を複数人から聞いた。

翻って校則は、大阪府立高校をはじめ東京都世田谷区立中学など、ホームページで公開する動きが進む。

企業はどうか。

(文・竹下郁子、写真はすべてイメージです)

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