2018年ごろから国内で盛り上がりを見せているQRコード決済。その現状が、MMD研究所の調査結果で示された。
大手プラットフォーマー、通信キャリア、コンビニ各社まで続々と参入が進むQRコード決済サービス。MMD研究所の3万人調査は、そのサービス別の認知度をある程度うかがいしれるものになっている。
調査対象の年齢層:18歳〜69歳の男女
サンプル人数: n=3万人
調査期間:2019年6月14日〜18日
最大のキャッシュレス決済はいまだクレジットカード
出典:MMD研究所
まず、3万人の調査対象のうち、普段の支払い方法として「現金」を挙げた回答者は93%(複数回答可)。クレジットカードは72.3%と続くが、カード型の交通系電子マネーは29.7%と大きな差がある。
「モバイル決済(タッチ式、QRコード含む)」は14.3%とさらに少なく、PayPayをはじめとする各社決済が20%還元を打ち出して目立ったとはいえ、「普及した」と言えるまでには、まだまだ道が遠いことがわかる。
認知状況上位はPayPay、楽天、LINEの3社
出典:MMD研究所
肝心のQRコード決済別サービスの「認知状況」は、なかなか興味深い。100億円還元を2回も実施したPayPayはさすがに認知度が高く、対象1万6994人に対して、認知度70.4%とトップ。
2番手は、同じく大規模なCMや還元キャンペーンを打ち出している競合かと思いがちだが、この調査では「楽天ペイ」だった。
楽天ペイは、PayPayやLINE Payなどに比べるとプロモーションは派手ではないが、楽天カードユーザー向けに実質5%還元のキャンペーンを実施したり、楽天の店舗向け営業力を生かした対応店舗数など、地道で着実な営業を続けていることで業界では知られている。
「300億円祭」で話題になったLINE Payはこの調査では認知度3位の59.7%にとどまった。実質的に「国内3強」と呼べるのは、PayPay、楽天ペイ、LINE Payだということになる。
大規模還元の効果はあり、だが課題も
出典:MMD研究所
とはいえ、大規模な還元キャンペーンの効果は、実際にもあったことも読み取れる。実際の「利用経験」での調査(n=5740人)では、PayPay 43.2%、LINE Pay 35.3%、楽天ペイ34.4%と、「還元」が目立った上位2社は、たしかにユーザー獲得には成功しているようだ。
乱立するQRコード決済のわかりやすい課題も、この調査では浮き上がる。
利用経験でみると、上位5位以下は、利用経験数は10%以下。特定サービスを中心に普及する決済サービスは大幅な拡大を狙ったものではないかもしれないが、1%程度の普及率というのは、見方によってはなかなか厳しいものがある。なお、7payとファミペイは、調査期間の関係でこの調査には含まれていない。
(文・伊藤有、撮影・小林優多郎)