ミレニアル世代とZ世代はベンモーでクラウドファンディングしている。
Scott Morgan/Reuters
- ミレニアル世代とZ世代は個人間支払いアプリ「ベンモー(Venmo)」をクラウドファンディングに使っている。ロサンゼルス・タイムズが報じた。
- 家賃や食費から、医療費や出入国の手数料まですべてを賄うお金を求めて、ツイッターに自身のベンモーアカウントを投稿している。
- ベンモーは本来、個人間の支払いを簡単に行うことを目的としたもの。だが、若い世代は金銭的支援に利用しており、多くがお金に関するストレスに直面していることを示している。
お金に困ったとき、ミレニアル世代やZ世代はどうする?
ベンモー(Venmo)に頼るようだ。
お金が必要な若い世代は、このモバイル決済アプリをクラウドファンディングのプラットフォームとして使っている。金銭援助を求め、ツイッターに自身のベンモーアカウントのリンクを貼る。ロサンゼルス・タイムズのスハウナ・フセイン(Suhauna Hussain)氏が伝えた。
「ユーザーは家賃や食費だけでなく、医療費、手術代、出入国の手数料、家族の葬儀代といった思いがけない出費の数百ドル、あるいはコーヒー代、ネイルサロンまでの交通費の数ドルさえもクラウドファンディングで調達しようとしている」とフセイン氏は記した。
このトレンドは社会から取り残された人たちによく見られる。例えば女性、有色人種、移民、そして性的マイノリティ(LGBTQ)の人たちとフセイン氏は述べた。
ある大学生は、父親が移民・関税執行局(Immigration and Customs Enforcement)に拘束された際に1500ドルを調達。また別の学生は家賃、授業料、医療費がかさんだ際に食費として150ドルを受け取った。また、DACA(幼少期にアメリカに到着した移民への延期措置)の更新手数料から海外留学プログラムまですべての費用を数度にわたって調達している学生もいるとフセイン氏は伝えた。
だがベンモーはクラウドファンディングを目的としたものではない。
このアプリは通常、個人間の支払いを簡単に行うために使われる —— 立て替えてもらったディナーの代金を友人に返したり、親の誕生日プレゼントの代金の半分をきょうだいに返したりできる。だが今、ベンモーはゴーファンドミー(GoFundMe)と同様の機能を持ち始めている。ゴーファンドミーは予想外の出費の際に資金を調達するために使う人が多い。
ベンモーは「資金集めサイト」の類ではないことを明言している。
「我々はゴーファンドミーとはまったく違うし、募金のような行為を促すことは一切ない」とベンモーの広報担当者はフセイン氏に語った。
大きな経済的危機に直面し、もがき苦しむミレニアル世代
ミレニアル世代とZ世代がベンモーをクラウドファンディングの手段として使うに至った背景には、この世代が抱える経済的負担がある。生活費の高騰、多額の学生ローン、そして2007年〜2009年にかけての金融不況の影響を受け、アメリカのミレニアル世代は大きな経済的危機の真っ只中でやりくりしようとしている。
考えてみて欲しい。典型的なアメリカのミレニアル世代の純資産は8000ドル以下、貯蓄は5000ドル以下、年収は3万5592ドル。経済的な問題は、結婚や出産といった人生の主要イベントを遅らせる原因となっている。
一方、Z世代は、モーニング・コーヒーや仕事の交通費といった日々の出費を賄うことに不安を抱いている。バンクレイト(Bankrate)のレポートは、日々の出費が夜も眠れないほどの最大の経済的ストレスになっていることを明らかにした。また、バンクレイトの調査回答者のZ世代の25%以上が、自身または家族の教育費の支払いに不安があると述べた。
(翻訳:Ito Yasuko、編集:増田隆幸)