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「食事するだけで暗号通貨が貯まる」シンクロライフが信販大手オリコと資本業務提携。その狙いは

世界初「食事するだけで暗号通貨(仮想通貨)が貯まる」サービスをローンチさせたばかりのグルメSNS「シンクロライフ」(運営会社のGINKAN)は7月17日、信販大手のオリエントコーポレーション(オリコ)と資本業務提携を結んだと発表した。オリコを引受先とする第三者割当増資を行った。

「完全成功報酬型」飲食店支援モデル

シンクロライフ デジタルウォレット

シンクロライフの加盟店になると、費用負担ゼロで、左のアプリ画面のように「SYC還元」カテゴリに店舗情報と還元率が掲載するなどのメリットがある。

提供:GINKAN

シンクロライフは、倒産や休廃業が増加する飲食店を支援するため、暗号通貨を活用した新たな広告モデルを生み出すべく、アプリ開発と実証実験を進めてきた。

7月1日の本サービス開始により、サービス加盟店で飲食したシンクロライフのユーザーは、会計の際、店舗側がスマホやタブレットで示すQRコードを読み込むだけで、加盟店が設定した還元率相当の暗号通貨「シンクロコイン(SYC)」を受け取れるようになった。

飲食店は、初期費用も月額費用もゼロでサービスの加盟店になれる。加盟店になるだけで、アプリ内での露出が増えたり、(良質なレビュー投稿の多い)近隣のコアユーザーに情報提供が行われる。

また、暗号通貨を還元した後は、自動的にCRM(Customer Relationship Management、顧客関係管理)機能が動き出し、来店間隔が認識され、一定期間後に再来店をうながすクーポンがプッシュ通知で送られるなど、加盟店側が手間をかけることなく集客できる。

ゼロリスクでそれらの恩恵を受けられるにもかかわらず、加盟店は、シンクロライフを経由してお客さんが来店したときだけ、飲食代金の5%を(シンクロライフ側に一種の広告費として)支払えばいい。従来の費用対効果の見えない広告出稿と異なり、加盟店となることが完全成功報酬型の広告を出すのと同じ効果を生み出す。

決済事業者とは異なる独自の立ち位置で

シンクロライフ 暗号通貨

シンクロライフのビジネスモデル。図では、還元率はデフォルトで1%となっているが、集客効果を高めるため、飲食店側の判断で(自己負担率を増やして)還元率を引き上げることもできる。

提供:GINKAN

ここまで来れば、アプリ側は決済機能を盛り込みたくなるのが普通だ。帰り際にアプリを通じて飲食代金を決済し、従来のポイントシステムのように、ついでに暗号通貨を受け取れれば、ユーザーにとっても飲食店にとっても便利だ。それまでに貯めた暗号通貨を代金に充てる場合も都合がいい。

しかし、シンクロライフはその手法を選ばなかった。7payが最近引き起こした不正利用事件からもわかるように、決済事業者に求められるセキュリティ面のハードルは低くない。開発費もかさむ。また、PayPay「100億円あげちゃう」キャンペーンのように、認知度を上げて加盟店での利用機会を増やそうとそれなりの投資も必要になる。

それより、すでに多くのユーザーを抱えるカード会社とのパートナーシップ戦略を、シンクロライフは選んだわけだ。今回提携したオリコは全国80万店以上の加盟店、1000万人以上のクレジットカード会員を抱えており、シンクロライフの認知度を一気に広げる基盤となる。

一方、オリコ側にとっても、シンクロライフによる暗号通貨の提供は、カード会員への新たなサービス提供になるし、飲食店でのカード利用額増大にもつながる。シンクロライフのサービスは(前述のように)飲食店にとって完全成功報酬型の広告事業ゆえ、オリコが自らの加盟店にサービス導入を促すリスクもほぼない。

シンクロライフは、手数料を主な収益源とする決済事業者とは別の立ち位置で、暗号通貨を活用して飲食店の会計シーンにおける認知度と影響力を拡大し、引き続き2019年中に1000店舗の加盟店登録を目指す。

また、協業を始めたアリコとは、暗号通貨やアプリに実装されたデジタルウォレットを活用して、新たなフィンテック(FinTech)サービスの開発も進めていくという。

(文:川村力)

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