北朝鮮の金正恩委員長、愛用するリムジンは5つの国と"後ろ暗い航海"を経て入手か

リムジン

北朝鮮の金正恩委員長は、しばしば防弾仕様のリムジンで移動している。

Korea Summit Press Pool/Getty Images

  • 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、メルセデス・マイバッハS600プルマン・ガードのような防弾仕様のリムジンでしばしば移動している。アメリカのシンクタンク「国防高等研究センター(C4ADS)」の報告書は、このような高級品が制裁を逃れて北朝鮮に行き着く方法を明らかにした。
  • 報告書によると、6カ月の間に2台の装甲車両(それぞれ約50万ドル、約5400万円相当)がオランダのロッテルダムから北朝鮮の平壌へ送られた可能性がある。 メルセデス・ベンツの製造元であるダイムラーは、北朝鮮との取り引きはないとしている。
  • 報告書は、核兵器に使用されるものなど、その他の違法な材料がどのように北朝鮮に入るのかも明らかにするかもしれない。
  • 国連は2006年、北朝鮮に制裁を課した。アメリカのトランプ大統領は、制裁が自身にとって、北朝鮮に核兵器を放棄させるための最も有効な交渉手段と見ている。

高級品に対する制裁が課されているにも関わらず、北朝鮮の指導者、金正恩委員長が防弾仕様のリムジンを手に入れた方法を最新の報告書が垣間見せてくれる。

金委員長はメルセデス・マイバッハS600プルマンガードのような車で移動することが多いが、北朝鮮に対する厳しい制裁を考えると、ごく限られた人だけに販売される高級車がなぜ北朝鮮にあるのか、よく分からない。アメリカのシンクタンク「国防高等研究センター(C4ADS)」の研究者、ルーカス・クオ(Lucas Kuo)氏とジェイソン・アーターバーン(Jason Arterburn)氏は、オランダのロッテルダムから4カ国を経て北朝鮮の平壌に至った2台の高級車の輸送経路をたどったと報告した。

北朝鮮への高級品の販売に対する国連の制裁は2006年から続いている。しかし、金委員長の贅沢な暮らしぶりを見ると、北朝鮮の核拡散を阻止するためのトランプ大統領の主要戦術である"制裁"には、一定の効果しかないことが分かる。

C4ADSの報告書によると、1台約50万ドル(約5400万円)のメルセデス・マイバッハS600プルマンガード2台が、2018年6月14日にロッテルダムを出発した。ニューヨーク・タイムズによると、車はそこから船で中国の大連に向かった。同紙は、この車がどのようにして金委員長の所有物になったかについても調べている。

全長21フィート(約6.4メートル)のメルセデス・マイバッハのリムジンは、アサルトライフルから発射された弾丸や爆発物に備えて、防弾ガラスと鋼鉄のボディ、防弾仕様の床を装備し、国家元首向けに販売されている。C4ADSの報告書によれば、メーカーは購入希望者の身元調査を行い、車両が犯罪者に購入されないようにしているという。

ニューヨーク・タイムズによると、この車は大連で輸送用コンテナに乗せられ、2018年7月31日から8月26日にかけて、大阪を経由して韓国の釜山に向かった。

メルセデスを製造するダイムラーは以前、「北朝鮮とは15年以上取り引きがなく、EUとアメリカの禁輸措置にきちんと従っている」とINSIDERに語っていた

トランプ大統領、金正恩委員長

2019年6月30日。

Dong-A Ilbo via Getty Images/Getty Images

「北朝鮮と世界中のその大使館への配送を防ぐために、ダイムラーは包括的な輸出管理プロセスを実施している」と同社はINSIDERにEメールで語ったが、バイヤーやその他の関係者がすることまでは管理できないと認めた。

その上で、「我々は常にメディアに掲載される自動車の写真を調べている。だが、車両の識別番号がなければ、正確に追跡することはできない」と、ダイムラーは付け加えた。

ニューヨーク・タイムズは、コンテナは東暎海運が所有するマーシャル諸島船籍のコンテナ船「DN5505」に乗って、釜山からロシアのナホトカに向かったと報じた。

船の運航記録は、釜山を出航してから18日間にわたって不明になった —— これは制裁を逃れようとする船の典型的な行動だと、同紙はいう。トラッカーは船の乗組員が他の商船を認識するために使われるが、C4ADSの報告書によると、信号が韓国の領海で再び現れたとき、船はナホトカから石炭を運んでいた。

自動車がロシアに荷下ろしされてから北朝鮮に渡ったのか、それとも報告書が「後ろ暗い航海(dark voyage)」と呼ぶ期間に北朝鮮で直接荷下ろしされたのかは分からない。しかしニューヨーク・タイムズは、北朝鮮の高麗航空の貨物ジェット3機が10月7日、ナホトカに近いウラジオストクに珍しく飛んだと報じている。

リムジン

金委員長の乗るリムジン(ベトナム、ハノイ)。

REUTERS/Kham

この3機は以前、金委員長とその他の幹部が使う車を輸送するために使用されている。そして、1月にはメルセデス・マイバッハS600プルマンガードが平壌で走っているところが目撃されている。

この車が2018年6月にロッテルダムを出発した車かどうかを見分けることはできないが、ニューヨーク・タイムズは、北朝鮮に向かう物品はしばしばロシアの極東地域を通過すると、指摘している。

制裁対象の物品がどのように北朝鮮の手に渡るかだけでなく、このルートは核兵器に利用できる技術や材料がどのように北朝鮮に行き着くのかを示している可能性もある。

C4ADSの報告書は、「北朝鮮は他の密輸品と同じく、海外の密輸ネットワークを通じて高級品を手に入れている。だからこそ、その捜査と押収は金政権の調達活動への対抗措置を促進することになる」としている。

[原文:Kim Jong Un reportedly got his armored limos via a secret route through 5 countries and a 'dark voyage'

(翻訳:Toshihiko Inoue、編集:山口佳美)

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