ジョシュア・ブラーダー氏がツイッターで共有した新製品のスクリーンショット。
Twitter/Joshua Browder
- ジョシュ・ブラウダー氏は22歳の起業家、少額の支払い請求を取り消すための自動サービス、ドゥーノットペイ(DoNotPay)を開発した。無料トライアルを自動的にキャンセルしてくれるバーチャル・クレジットカードだ。
- 顧客は「フリー・トライアル・カード(Free Trial Card)」を偽の氏名、住所、メールアドレスで契約し、無料トライアルの登録に使用する。トライアル期間が終わると、カードが自動的に支払いをとめる。
- ブラウダー氏はこのアイデアを、自身がまったく使っていないジムの会費を請求され続けていたことに気付いた後に思い付いた。
- 2019年7月初め、ドゥーノットペイは初の資金調達で460万ドルを調達。ピーター・ティールのファンダーズ・ファンドなどが出資した。
ジョシュ・ブラウダー(Josh Browder)氏は22歳、スタンフォードを中退しドゥーノットペイ(DoNotPay)を設立。ドゥーノットペイは、少額の支払い請求を自動的に取り消すサービスだ。
2019年7月初め、ドゥーノットペイは初の資金調達で460万ドルを調達。フェリシス・ベンチャーズ(Felicis Ventures)が主導し、インデックス・ベンチャーズ(Index Ventures)、ピーター・ティールのファンダーズ・ファンド(Founders Fund)、ハイランド・キャピタル(Highland Capital)、チューズデー・キャピタル(Tuesday Capital)、コートュー・マネジメント(Coatue Management)が参加した。
7月17日(現地時間)、ブラウダー氏はツイッターで一連の新製品を発表した。
その1つが、顧客が何かのサービスの無料トライアルを契約した後、トライアル期間終了時にそれを自動でキャンセルできるバーチャル・クレジットカード。つまり、ネットフリックス(Netflix)を契約した後、30日間のトライアル終了後にいつの間にか有料会員になってしまう心配がない。
ブラウダー氏はワイアード(Wired)の記者、エミリー・ドレイファス(Emily Dreyfuss)氏に、「フリー・トライアル・カード(Free Trial Card)」のアイデアは、使っていないジムの会費を1年以上支払っていたことに気付いた後に思いついたと語った。
期間終了後に自動的に有料会員になる無料トライアルを提供している企業は、多くの人がキャンセルすることを忘れてしまうという事実に期待している。これはオプトイン・サービスのあるべき姿ではないと同氏は述べた。
「なぜ最初にクレジットカードを登録しなければならなのか?」
ドゥーノットペイの新しいカードなら、好きな名前、住所、メールアドレスを使うことができる。だが、ドゥーノットペイには本当のメールアドレスを提供する必要がある。偽のクレジットカードのアドレス宛てに送られてきたメールを受け取るためだ。
トライアル期間が終了すると、カードが自動的に支払いをとめる。ドゥーノットペイはメールでトライアルの開始日と終了日を知らせてくれるため、契約を続けたい場合も問題ない。
ワイアードのドレイファス氏がこの新サービスをテストしたところ、うまく行った。また、彼女はカードがオンライン・ショッピングに使えるかどうかも試したが、それはできなかったと記した。
ドゥーノットペイの創業者兼CEOのジョシュ・ブラーダー氏。
DoNotPay
ブラウダー氏はワイアードに、このカードは地方銀行のネットワークを使っており、ドゥーノットペイに「消費者に代わって支払いを行うエージェントとしてのの機能を果たす」ビジネス・クレジットカードを提供していると語った。
ブラーダー氏は銀行名を明かそうとはしなかった。理由は、銀行はカードがこのような用途で使われていることを知らないためと同氏は述べた。
「名前を出せば、取り引きを切られるかもしれない」
ビジネス・クレジットカードを発行している銀行は、このサービスを利用しているユーザーについて何も知らないため、問題が起こり、顧客に請求が発生するようなことがあれば、支払い義務を負うのはドゥーノットペイになるだろう。
金融の専門家はこの新サービスについて懸念を示し、詐欺的と見なされる可能性があると述べた。
「基本的に無料トライアルの提供者をだますことを目的とするサービス」と大手決済企業のフィンテック担当弁護士は匿名を条件にワイアードに語った。
だが、ブラウダー氏はだまそうとしているのは無料トライアルを提供している企業と述べた。
とはいえ、意図せずにこの新しいクレジットカードを支えている銀行が、事実を知っても取り引きを続けるかどうかは分からない。
「少なくとも数カ月は続ける自信はある」と同氏はワイアードに語った。
「潰れないことを祈っている。いずれ分かる」
(翻訳:Ito Yasuko、編集:増田隆幸)