1つのマインドセットがマイクロソフトを1兆ドル企業に導いた

マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ

REUTERS:Shannon Stapleton

  • マイクロソフトの時価総額は1兆ドルを超え、世界でも有数の時価総額を誇っている。
  • 変化の鍵は、クラウドコンピューティングと「グロースマインドセット」と呼ばれる心理的態度に焦点を当てることだった。
  • マイクロソフトのサティア・ナデラCEOは、変革のリーダーとして同社を率い、その経営哲学をグロースマインドセットに置いた。

2014年にサティア・ナデラがCEOに就任したとき、マイクロソフトは社内抗争に明け暮れ、シェアは伸び悩んでいた。

ナデラは就任後すぐ、強力な決定を下した。

彼は、クラウド&エンタープライズグループを率いてきた経験を生かし、インテリジェントクラウドの取り組みを推進した。インテリジェントクラウドは今、同社の素晴らしい四半期売上高を実現している。彼はオラクルソニーといった競合他社と積極的に協業し、AzureプラットフォームでLinuxをサポートした。2015年には、Outlookをステージでデモするために、iPhoneを持って、セールスフォースのイベント「Dreamforce」に登壇した。

最新の四半期決算では、売上高は前年同期比12%増となった。

だが世界で有数の時価総額を誇る同社は、かつて株価が停滞した時期があった。

一体、何が変わったのだろう?

ナデラのリーダーシップを考えてみよう。

成長と変革を優先

ナデラは、発達心理学から誕生した概念である「グロースマインドセット」を重視していることを繰り返し語っている。

スタンフォード大学の心理学者キャロル・ドゥエック(Carol Dweck)は、小学生を対象に何が成功を左右するのかを研究していた。そして、彼女は奇妙なことに気づいた。

なぞなぞや難しい問題が好きな子もいれば、一方で、そうした問題を解くことを避ける子どももいた。そして、なぞなぞが好きな子どもたちは解けない問題に直面したとき、自分は失敗しているとは考えなかった ── 自分たちは学んでいると考えていた。

つまり、グロースマインドセットでは、人はチャレンジし、失敗をより大きな学習プロセスの一部と考える。一方、フィックストマインドセット(硬直したマインドセット)では、チャレンジせず、失敗は何としても避けることとされる。

ドゥエックらは数十年にわたる研究で、グロースマインドセットは教室、そして同じように職場でも成功をもたらすことを発見した

ナデラは、ドゥエックのベストセラー『マインドセット「やればできる!」の研究』がマイクロソフトのカルチャーを変えたと考えている。

カルチャーを超えてグロースマインドセットを取り入れる

ナデラのリーダーシップは、マイクロソフトのこれまでのスタイルとは違う。ビル・ゲイツは、自身が過剰と認めるほどの仕事中毒のカルチャーを築き上げた。スティーブ・バルマーは、長期的な持続可能性よりも短期的な売り上げを重視した

ナデラは、過去に前例のないさまざまな取り組みを通して、グロースマインドセットを大規模に実証した。

ニューヨーク大学の心理学者ジェイ・バン・バベル(Jay Van Bavel)によると、グロースマインドセットを習得することは、自分たちのグループが時間とともに、どのように成長しているかに焦点を当て、そしてグループの目標に全員で取り組むことを意味する。

そして、競合他社から焦点を外し、持続可能な成長のための社内戦略に焦点を当てる。

重要なことは、グロースマインドセットはミスをしたり、難しい問題に苦戦することを恥ずかしいことではないとする ── 例えば、マイクロソフトをクラウドコンピューティングの世界に移行させようとするようなことだ。

アイデンティティの形成

バン・バベルにとって、ナデラもアイデンティティ・ベースのリーダーの一例。

「チーム全員を共通のグループの一員と感じさせることが必要」とバベルは述べた ── 例えば、ナデラは5年前に、1万人の従業員を集めて、38時間のハッカソンを行った。

つまり、グロースマインドセットのようなビジョンに全員を巻き込み、自分自身の中にモデル化することだ。

ナデラにとって、その成果は売り上げだ。直近の四半期決算で、マイクロソフトのクラウド事業は114億ドル、同社の3つのセグメントの中で初めて最も大きな売上高となった。他の2つ、パーソナルコンピューティング、プロダクティビティ&ビジネスプロセスは、それぞれ113億ドル、110億ドルとなった。

マイクロソフト取締役会のジョン・ソンプソン会長は、最も重要な成長の原動力は「サティアがリードしたカルチャーの変革」とBusiness Insiderに語った

「チームがお互いに対して抱いている態度、顧客やパートナーとの関わり、オープン性と包括性に対する信念、そのすべてがナデラのリーダーシップで変わった」


[原文:How Satya Nadella’s leadership style catapulted Microsoft to a trillion dollar valuation — and what you can learn from it

(翻訳:一柳優心、編集:増田隆幸)

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