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米EVテスラCEO、車もトップも「中国色に染まってもいい」

マスク

2019年1月、上海での工場着工式典に出席したイーロン・マスクCEO

REUTERS/Aly Song

米EVメーカーテスラのイーロン・マスクCEOが、社内チームとの最近の懇談で「テスラのグローバル本社は将来、中国に置かれるだろうし、将来のCEOもエンジニア出身の中国人になるだろう」と発言したと、中国メディアが21日に報じた

テスラの現在の売り上げはアメリカに集中しているが、今後の成長は世界最大のEV市場である中国にかかっている。しかし米中貿易戦争のあおりを受け、テスラの中国事業は2018年以降苦戦を強いられている。

マスクCEOは懇談で、

「EVの最も重要な市場である中国で勝つために、テスラは中国風味を増やしていく。ぱっと見完全に中国の車になることも辞さないし、新車を中国で最初に発売する可能性も否定しない」(マスクCEO)

とも述べ、中国市場への強い期待と決意が鮮明になっている。

モデル3

テスラの入門車「モデル3」は好調な売れ行き。

撮影:伊藤有

テスラは2019年、入門モデルと位置づける小型EVセダン「モデル3」がヒットし、グローバルでの販売台数は前年比2.4倍の約24万5240台に伸びた。一方、関税引き上げによる販売価格の上昇が原因で、同年の中国での販売は約2万台にとどまり、売上高も同13%減少となった。

同社は中国てこ入れのため、2018年11月、2019年3月に続き、7月16日に値下げを発表。モデル3価格は約6%下げ、35万5900元(約560万円)からとし、関税上昇を値下げで対応している。

2019年1月には上海で年間生産能力50万台の大型工場「ギガファクトリー3」の建設が着工、1期工事は年内の竣工を目指し、稼働後の生産体制は2018年の同社の世界生産台数に匹敵する25万台。

上海工場ではモデル3と、2020年発売予定の小型SUV「モデルY」を生産予定で、上位車種のモデルSとXは米国からの輸入を維持する。最近の報道によると工事は計画より前倒しで進み、設備の搬入も始まっている。中国産テスラは関税だけでなく、部品調達費、輸送費、人件費を圧縮できることから、現行の車両価格より大幅に安くなり、中国EVメーカーとの競争力も高まることが期待されている。

マスクCEOは今年6月中旬の株主総会で、「中国のギガファクトリーは増えるかもしれない」と、将来的な生産拡大に意欲を見せる一方、「資金の問題もあり、そんなに急には拡張できない」とも語っている。

(文・浦上早苗)

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