東京・大手町で2019年度第1四半期決算説明会を開催したNTTドコモ。
撮影:小林優多郎
NTTドコモは7月26日、2019年度第1四半期決算を発表した。営業収益は1兆1593億円(前年度同期比1.5%減)、営業利益は2787億円(同10.1%減)となった。
減益の主な要因は、モバイル通信サービス(通信料金)収入の減少と、ネットワーク関連費用の営業費用増加となっている。
違約金1000円・割引上限2万円問題には「見極めが難しい」
NTTドコモ社長の吉澤和弘氏。
決算説明会の質疑応答では、総務省が打ち出した「違約金は1000円固定」「端末割引は上限2万円」という新規制に関するドコモの対応について問う内容が複数回飛び交った。
吉澤氏は「総務省の(決めた内容の)影響をどうみているか」という質問に対し、「見極めきれない部分がある。どういうふうに影響するのか、精緻な計算というのはできていない」と、現状では今後の業績に与える影響は不明瞭である旨を一貫して主張。新規制の施行は10月の予定のため、吉澤氏は「(次の)第2四半期の決算などで、どう対応していくか申し上げられると思う」と話している。
「ずっとドコモ特典」の詳細。契約期間もしくは一定期間内の対象dポイント獲得量によって、ステージとそれに伴って獲得できるポイント数が変動する(1ポイント=1円相当で利用可能)。
出典:NTTドコモ
また、総務省は長期契約者を対象とした優遇施策についても懸念を示している。ドコモでは、契約期間の長さとも連動して年1回最大3000円相当のdポイントを付与する施策(ずっとドコモ特典)などを実施してきた。ポイントであっても規制の対象となるという見方もあるが、吉澤氏は「何ら補助だとかには当たらないと考えている。いまのまま進めると考えていて、そのように(パブリックコメントなどでも)申し上げている」と、継続していく考えだ。
第1四半期は引き続きdocomo withとシンプルプランが影響
営業利益の主な増減要因。
決算説明会でドコモ社長の吉澤和弘氏は今期の結果について「年間予想に対して順調に遂行中」と話す。
ドコモは2023年までに4000億円規模のユーザー還元を実施すると発表している。6月1日から開始された新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」はその一環だが、ドコモの第1四半期は4月1日から6月30日まで。そのため、今回の減益の主な要因は新料金プランというよりも、一部の対象端末を購入することで契約中は常に毎月1500円割引となる「docomo with」や、月額980円で従量課金の通話プラン「シンプルプラン」の提供によるものだとしている(いずれも5月31日で新規受付は終了)。
“分離プラン”となる新しい料金プランはほぼ順調に加入者数を伸ばしている。
新料金プランの加入者数は、7月23日時点で375万人。この中の3割弱のユーザーが月30GB利用できる「ギガホ」に加入していることが明らかになった。加入ペースについて吉澤氏は「想定よりたしかにちょっと少ない」としつつも、「だいたい想定通り」と計画は順調だという認識だ。
NTTドコモは複数の領域でキャッシュレス決済を展開しているが、どのサービスも順調に成長していると見ている。
なお、同社が4000億円規模の還元をカバーする要素としてあげている非通信サービスを中心としたスマートライフ領域については、前年同期比10%増の売上を記録。
吉澤社長はその中でも、金融・決済分野の成長について触れ、2次元コード・オンライン決済の「d払い」やクレジットカード「dカード」、非接触決済「iD」の各サービスの合計取扱高が前年度同期比28%増となる1兆1300億円を突破したと発表。「QRもカードもiDも、3つが全体的に拡大するようこと(キャンペーン)を考えてやっている」(吉澤氏)と今後の展開も意欲的な姿勢を見せている。
(文、撮影・小林優多郎)