DeNA、サイバー、経産省も賛同。就活は黒髪でなくてもいい「#令和の就活ヘアをもっと自由に」

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出典:P&Gキャンペーン動画

企業の人事担当者の78%が「自分らしい自由な髪を推奨する採用が受け入れられる世の中になってほしい」——。しかし一方で、6割超が企業としては「個性を表現できる採用」は発信しにくいと感じていることが、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)の調査で明らかになった。

こうした実態を受け、P&Gのヘアケアブランド「パンテーン」は就活口コミサイトのワンキャリアの協力を得て、多くの企業が内定式を行う10月1日に向け、「#令和の就活ヘアをもっと自由に」キャンペーンへの賛同企業を募っている。

すでに、東京海上日動火災保険、サイバーエージェント、経済産業省などが名乗りを上げており、新たに参加したい企業から問い合わせが相次いでいると言う。

今後、賛同企業が広がれば、“黒いリクルートスーツに黒いひっつめ髪”に象徴されるような、画一的な日本の就活から「一人ひとりの個性を尊重した前向きな就活」に脱皮するきっかけになるだろうか。

P&Gはワンキャリアの協力を得て、個性を表現する採用や就活への賛同を募っている。

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出典:P&Gのキャンペーン動画

「人事関係者の皆様へ」髪から始まる“もっと自由な就職活動”を応援しませんか?次は令和元年10月1日の内定式に向けて令和を代表する企業の皆様と共に、プロジェクトを作っていきたいと思います。貴社の賛同をお待ちしております。

との文言で、特設サイトで募集をかけている。

2019年7月にP&Gが実施した調査では、企業人事の 72%が「個性を表現できる採用活動をしている自信がない」と回答。

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さらに「自分らしい自由な髪」を推奨する採用が一般的になれば、「組織はもっと活気付く」と回答している人事担当者も73%。にも関わらす、65%が「企業としては(そう)発信しにくい」と回答した。

P&Gは2018年にも就活の髪型を問いかける広告で、話題を呼んだ。今回のキャンペーンはその続編だ。

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2018年9月の、P&Gのキャンペーン。こちらも話題を巻き起こした。

撮影:伊藤有

広告にびっしり書き込まれた文字も動画CMに使われているフレーズも、アンケートの自由記入欄に書き込まれた生の声なのである 。

こちらの記事では、その広告の意図を深掘りした。

「就活をもっと自由に」CMで訴えるP&G —— 就活生の違和感と企業の本音埋めたい



日本テレビ放送網、ディー・エヌ・エーなど人気企業がキャンペーン開始の7月25日時点で、賛同を表明。

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出典:P&G

キャンペーン開始から、さらに複数の企業が参画したいと名乗りを上げているという。

賛同企業には、霞が関から経済産業省も。同省採用担当の秘書課長補佐、八木春香さんにその理由を聞いたところ……。

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撮影:滝川麻衣子

「実は経産省は2019年の採用から、面接時にリクルートスーツを着なくてもいいし、髪型も自由で構わないとしました。もともと自由な気風の省庁ですし、個性を生かしていこうと言っているのだから、服装の強制はなくていいよねと」

そこへ、P&Gの『#令和の就活ヘアをもっと自由に』プロジェクトに参加しないかとの連絡が、直接八木さんに来たという。

「ぜひぜひ!とお答えし、すぐに直属の上司や関係者にメールをしました。いいね!と即返事が来たので、その日のうちには『経産省も参加します』とお伝えしました」(八木さん)。

大組織の霞が関で、即日即決は驚きのスピードだが、八木さんはそのスピードの理由をこう言う。 「いい人材を採用することがいかに大事か、省内は理解しているからです」

「人は資源だ。いかに優秀な人材が来るかが、組織の、つまりは国の今後を左右します」

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Gettyimages/AzmanL

そう、経産省秘書課長補佐の八木さんは言う。

いい人材を集めることにつながりそうな取り組みなら、敏感に反応し、即答していくと言う構えだ。

実際、霞が関も採用難だ。

人事院によると、国家公務員採用総合職試験の申込者数は、前年比で10数%レベルの減少。 ここ数年、減り続けている。

「無個性で右ならえの時代ではない。社会を作っていく、個性とクリエイティビティを持った人材が欲しい。だったら、画一的な衣装を着せる事は不要ですよね」(八木さん)。

78.3%の企業の人事担当者が「自分らしい自由な髪を推奨する採用が受け入れられる世の中になってほしい」。

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GettyImages


「#令和の就活ヘアをもっと自由に」を合言葉に、賛同企業を巻き込みながら、P&Gは今後「個性を尊重した就活」を発信するという。

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撮影:今村拓馬


世界一の少子高齢化が進み、人口減少する日本で「人材こそが企業の財産」との実感はますます強まるだろう。

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撮影:今村拓馬


就職氷河期に広まったとされる、黒いひっつめ髪にみんな同じのリクルートスーツ。それに象徴される就活は、どう変わるのか。

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撮影:今村拓馬


P&Gの調査では、企業に合わせて自分を偽ったことがあると答えた学生は81%。グローバル化が進み、多様性が求められる社会で、就活も変わる時が来ている。

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撮影:今村拓馬


(文・滝川麻衣子)

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