大ヒット『天気の子』聖地・代々木会館が8月1日で取り壊しに ── 最後の日に行ってみた

代々木会館

撮影:西山里緒

7月19日の公開から11日で興行収入40億円、観客動員300万人を突破するヒットとなっている新海誠監督の最新作映画『天気の子』。

都内には新宿・歌舞伎町、田端、代々木、高円寺といったエリアに劇中シーンの「聖地」が誕生し、夏休みシーズンということもあってその場所をまわる「聖地巡礼」を楽しむファンも多い。

天気の子

『天気の子』公式ウェブサイトでは、聖地巡礼に関するお願いが掲載されている。

出典:『天気の子』公式ウェブサイト

8月1日、そんな聖地の1つが消える。JR代々木駅から徒歩1分ほどのところにある代々木会館(東京都渋谷区代々木)は『天気の子』の作中でも、もっとも重要な舞台のひとつだが、老朽化のため取り壊しが決まっている。

7月31日は、代々木会館の完全な姿を目にできる最終日。現地を訪れてみると『天気の子』ファンが次々にやってきては、昭和の雰囲気満点の建物をスマートフォンのカメラに収める様子を見ることができた。

JR代々木駅からすぐの場所にある代々木会館は、1974年に放送されたドラマ『傷だらけの天使』のロケ地としても有名だ。

代々木


代々木駅構内にも、『天気の子』の大きなポスターが。

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7月31日の午後4時ごろ、現地に行ってみると、20人ほどの人々が入れ替わり立ち代わり、ビルにカメラを向けていた。 立っているだけで汗が吹き出してくるような暑さだった。

代々木会館


重装備のカメラを3台ももって撮影に臨む人の姿も。建物は交通量の多い道路から2メートルほどしか離れておらず、撮影するのはやや大変そうだった。

代々木会館


映画では、家出して東京にやってきた主人公の少年・帆高と複雑な家庭の事情がある少女・陽菜の二人の物語の起点になった場所として、代々木会館は描かれている。ビルの窓には、現実から取り残されたように「再開促進中」という文字が貼られていた。

代々木会館


現場にいた人に話を聞いてみた。すでに公開初日と7月30日の2回、『天気の子』を見に行ったという男性(30)は、ビルが取り壊しになることをTwitterで知ったという。「来るなら今日しかない、と思って」。

天気の子


現地には外国人の姿も目立った。建物の周りを歩きながらスマホでライブ配信していた、中国語を話す女性の姿も。

代々木会館


IT企業に勤める、シンガポール出身という男性(27)は、「今日は仕事が休みなので、散歩がてらに来てみました」。 他の聖地巡礼にも興味はあるが、「あまりに暑いので、もうちょっと涼しくなってからにしたい」と苦笑い。

天気の子


ビルを正面から眺めると、パチンコ店やビリヤード店の看板、「中国関係図書 輸入販売 東豊書店」と書かれた色あせた文字が。それらが夕陽に照らされながら、時代を静かに物語っていた。

代々木会館


前作『君の名は。』の国内興行収入は250億円をこえた。『天気の子』がどこまで伸びるのか。今夏、注目のできごとになるのは間違いないだろう。

作品上映中の「聖地の解体」を、新海誠監督が意図的に狙ったものなのかは分からない。ただ、作品を観た人なら、思わず代々木へ足を向けたくなる「仕掛け」として、強烈な舞台道具になったのは確かだ。

(文・写真、西山里緒、伊藤有)

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