銀河系は歪んでいた! 2400の星をプロットした最新3Dマップで判明

研究者たちは、チリのラスカンパナス天文台の望遠でセファイド変光星を見つけ、銀河系の全体像を捉えた。

研究者たちは、チリのラスカンパナス天文台の望遠でセファイド変光星を見つけ、銀河系の全体像を捉えた。

K. Ulaczyk / J. Skowron / OGLE / Astronomical Observatory, University of Warsaw

  • 最新の3Dマップは、銀河系歪んでいる様子をこれまでにない正確さで描いている。
  • 研究者は銀河系に広がる2400の星と太陽との距離を測り、3次元の座標にプロットした。
  • 我々の銀河系や類似の銀河が、なぜS字状に歪んでいるのかはまだ解明されていない。

我々は、ガス、塵、そして無数の星で構成された巨大な、回転する円盤の中心から外側に伸びる渦状腕のひとつに位置している。適切な時間に適切な場所から空を眺めると、夜空にこぼれたミルクの筋のようなものが見えるだろう。ミルキーウェイ、つまり我々の太陽系を含む銀河系だ。

ポーランドのワルシャワ大学の研究者たちはこのほど、 銀河系に広がる何千もの星と我々の太陽との距離を測り、3次元座標にプロット。かつてないほど大きなスケールの銀河系3Dマップを作り上げた。

3Dマップを見ると、銀河系は端の方が緩やかにカーブし、S字状に歪んでいる。下の図は3Dマップのアニメーションバージョン。

「マップを見ると、銀河系の円盤は平らではないことが分かる。中心から遠く離れた周縁部は歪み、ねじれている」と研究の共同執筆者であるプルゼメク・ムロズ(Przemek Mroz)氏は動画で語った。

「銀河系を3次元で描くために、一つひとつの星を使うことができたのは今回が初めて」

科学者たちはこの50年間、銀河系はかつて考えられていたように平らではなく、周縁部は歪んでいるとしてきた。銀河系の歪みを捉えた初めての3Dマップは2019年2月、北京にある中国科学院の研究者によって発表された。

ワルシャワ大学のチームは新たな3Dマップに、北京の科学者たちと同様の技術を用いたが、1000個以上多くの星のデータを使った。中には銀河系の最遠部にある星も含まれている。

この新たな3Dマップでは、より大きなスケールで、より詳細な我々の銀河系の姿を見ることができる。

周縁部の星のマッピングで銀河の歪みが明らかに

銀河系は平らではなく、端がS字状に歪んでいる。太陽のマークは、太陽系の位置。

銀河系は平らではなく、端がS字状に歪んでいる。太陽のマークは、太陽系の位置。

J. Skowron / OGLE / Astronomical Observatory, University of Warsaw

研究者たちはチリのラス・カンパナス天文台の望遠鏡を使い、観測可能な銀河系を100回以上画像化してマップを作った。

「銀河系の内部構造と成り立ちは、まだよく分かっていない。その理由の一つは、銀河系の周縁部にある星の距離を測ることが極めて困難なこと」と研究の筆頭執筆者、ドロタ・スコウロン(Dorota Skowron)氏は動画で語った。

そうした困難な計測を行うために、スコウロン氏のチームは「セファイド」変光星に着目した。

「セファイド変光星は若く、明るさが変わる巨大な星」とスコウロン氏。

セファイド変光星は規則的な周期で明るさが変わり、太陽より数百倍(時には数千倍)の明るさになるため観測しやすい。変光星の変光周期を用いると、95%以上の精度で距離を計測できる。その星の光度と、地球から見た明るさを比較することで距離が計測できるのだ。

また変光周期から、その星がいつ生まれたのかを推定することもできる。

そこでスコウロン氏とそのチームは、太陽と2400の変光星との距離を計測した。

太陽より1万5000倍明るいセファイド変光星。NASAのハッブル宇宙望遠鏡が捉えた。

太陽より1万5000倍明るいセファイド変光星。NASAのハッブル宇宙望遠鏡が捉えた。

NASA, ESA, and the Hubble Heritage Team (STScI/AURA)-Hubble/Europe Collaboration

これらのセファイド変光星の位置が明らかになったことで、銀河系は中心から離れると歪んでいることが、かつてないほど詳しく、正確に描き出された。

他の銀河も同様に歪んでいるが、その理由はまだ解明されていない。北京の研究者たちは、銀河系の回転する力や中心部の巨大な円盤が歪みを引き起こしていると考えた。だがムロズ氏は別の可能性を示唆した。

「過去に起きた伴銀河(より大きな銀河の周囲を公転する銀河)との衝突、銀河間ガス、あるいはダークマターとの相互作用が歪みを引き起こしているのかもしれない」

約250万光年離れたアンドロメダ銀河は、我々の銀河系の近くにある銀河では最大のもの。

約250万光年離れたアンドロメダ銀河は、我々の銀河系の近くにある銀河では最大のもの。

NASA/JPL-Caltech

マップの作成によって銀河の成り立ちが明らかに

ワルシャワの研究者たちは観測する中で、同時期に生まれたセファイド変光星が銀河系の渦巻きに沿って並んでいることに気づいた。若い星は銀河の中心近くに集まり、古い星は端に散らばっている。

研究者たちは一群のセファイド変光星は同時期に生まれたという仮説を立て、シミュレーションでその仮説を検証した。シミュレーション結果は実際のマップに極めて近いものになった。

下図はシミュレーション(左)と実際のセファイド変光星のマップ(右)を並べたもの。赤い点は4億年前に生まれた最も古い星、青い点は3000万年前に生まれた最も若い星、中心からやや下にある小さな太陽のマークは我々の太陽系の位置を示す。

シミュレーション(左)と、実際のマップ(右)。

シミュレーション(左)と、実際のマップ(右)。

J. Skowron / OGLE / Astronomical Observatory, University of Warsaw

このように銀河系の星の位置と年齢をマップに落とし込む研究が進めば、我々の銀河系がどのように生まれたかの解明に役立つだろう。


[原文:A new 3D map of the Milky Way reveals our galaxy's warped shape in unprecedented detail

(翻訳:仲田文子 編集:Toshihiko Inoue、増田隆幸)

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