7月に発売したソニーのデジタルノイズキャンセリング技術搭載ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM3」
撮影:小林優多郎
- ソニーが7月に発売した完全独立型ワイヤレスイヤホンが人気
- デジタルノイズキャンセリング技術の高さが最大の特徴
- バッテリーの持ち具合的には、短~中距離程度のフライトに最適
ソニーが7月13日に発売した新しいデジタルノイズキャンセリング対応イヤホン「WF-1000XM3」がネットを中心に好評だ。
WF-1000XM3は、ソニーの高価格帯ワイヤレスイヤホン「1000X」シリーズに属し、アップルの「AirPods」などと同じく、ケーブルがなく左右それぞれの耳に直接差し込む完全独立型の製品だ。
その魅力はなんといっても、コンパクトで携帯性の高い製品でありながら、非常に高精度なデジタルノイズキャンセリング技術を搭載している点だ。
写真左から私物の「WI-1000X」、試用機の「WF-1000XM3」(上がバッテリー内蔵ケース、下がイヤホン本体)。
筆者は、2017年10月に発売された同シリーズの首かけ型製品「WI-1000X」を愛用しているが、購入当時、WF-1000XM3の旧型である「WF-1000X」も当然購入候補に挙がっていた。
しかし、ノイズキャンセリング性能がWI-1000Xより劣る点などを考慮して購入を見送った記憶がある。
従来機から約2年を経て、名称も1世代飛ばすことになったWF-1000XM3が、どれほどの実力か。海外取材に持ち出して試してみた。
ノイキャン性能は機内でも必要十分
WF-1000XM3はブラック(写真左)とプラチナシルバー(写真右)の2色展開。
海外取材を試用の場に選んだのには理由がある。筆者がWI-1000Xの魅力が最も感じているのが、飛行機や電車の中での利用と考えているからだ。
とくに、飛行機でのフライト時は、密閉空間の中に長時間拘束されるうえに、エンジン音に限らず、周囲の乗客の話し声などノイズが多い。ノイズキャンセリングがうまく働くほど、単純に機内での快適性が高まるからだ。
今回は第5世代iPad miniとつなげて使ってみた。
さて、今回筆者は7月に、片道6時間強かけて東京からタイ・バンコクまで飛んだ。往路も復路もあえてWI-1000XとWF-1000XM3を機内に持ち込み、フライト中の使用感を比べてみた。
デジタルノイズキャンセリングの効き具合で言えば、どちらも「かなり快適」だった。今回は第5世代iPad miniに接続して音楽やネットフリックスの動画を視聴したが、やはり機内エンターテインメント機器を使うより、画面も音もキレイと満足できるレベルだった。
WI-1000XにはWF-1000XM3にはない、気圧最適化機能がある。
もちろん違いはあった。WI-1000Xには気圧に応じたノイズキャンセリング性能の最適化機能が備わっているが、WF-1000XM3にはそれがない。前述の通り、どちらも標準で満足できるレベルではあるが、気圧最適化後はWI-1000Xの方がエンジン音をさらにカットできている印象を受けた。
“ケースに入れて充電”は便利
WF-1000XM3のケース。WF-1000XM3を3回充電できるバッテリーを内蔵する。
また、完全独立型イヤホンと言えば、バッテリー駆動時間も気になるところだろう。WF-1000XM3は公称値で最大6時間の連続音楽再生(ノイズキャンセリングがオンの状態)が可能だ。
筆者が乗った6時間強のフライトで離着陸時以外で使っていたところでは、電池はギリギリもった。
アジア諸国のような比較的近い地域へのフライトであれば、あまり心配はないだろうが、アメリカやヨーロッパへの行く際にはフライトの途中で一度ケースに入れて充電する必要はありそうだ。
機内搭乗前に使っていたが、搭乗後にはすでに充電が完了していた。
ところで、この「ケースに入れて充電」という完全独立型イヤホンの特徴も、普段使い慣れていない分、レビュー前はやや不安に感じていたところだった。が、自宅から空港への移動中(だいたい2時間)もWF-1000XM3を使って、離陸後までの間はケースに入れておいたら、バッチリ充電完了していて、なるほどと感心した。
ケースのない私物のWI-1000Xの場合は、電車移動中に使ってしまえば、当然そのぶん電池が減り、充電したい場合はモバイルバッテリーなどで充電する必要が出てくる。WF-1000XM3の場合は、「聞き終わったからケースにしまう」という自然な動作で、充電できる。めんどくさがりな自分にとってうれしいポイントだ。
音量コントロールにはスマホが必要
WF-1000XM3のコントロール機能は「Music Center」で設定できる。
あえて物足りない点をあげれば、再生中に使える音楽コントロール機能の種類だ。
WF-1000XM3も音楽コントロール機能はある。左右どちらのイヤホンにも付いているタッチセンサーをタップして操作する。
また、ソニー製ワイヤレスイヤホン専用アプリである「Music Center」で設定すれば、Googleアシスタントの呼び出しや外音コントロール(周囲の環境や装着者の動作に応じて、外音を取り込んだり、ノイズキャンセリングを有効にする機能)のオンオフに割り当てられる。
タップ操作は左右それぞれにある側面の丸い箇所で行なう。
ただし、WF-1000XM3の設定の中に音量調整だけがない。音楽によってちょっと音を上げたい/下げたいと思ったときは、必ずスマートフォンなどで操作する必要があるのだ。
WI-1000Xの場合は、ネックバンドの左側に音量調節用のキーがあったので困らなかったが、これは小型化された完全独立型イヤホンの形状ゆえの特徴と言えるだろう。
3万円弱の価値は十分にある
2年間の眠りから覚めたソニーの高級ノイキャンイヤホンは、非常に“買い”と思える端末だった。
とはいえ、前述のとおり、WF-1000XM3の満足度は非常に高い。
直販価格は2万5880円(税抜)と、ライバルのAirPods(ケース付き税抜1万7800円)やサムスンの「Galaxy Buds」(税抜1万5879円)などと比べると1万円ほど高価だが、その価値は十分にある。
実際、家電量販店などでは店頭・ECを含めて在庫切れの状態が続いており、入荷したとしてもすぐに売り切れてしまうぐらい人気を博している。
ぜひ、店頭に並んでいるサンプルなどでその性能の高さを体験してみて欲しい。
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(文、撮影・小林優多郎)